証券ビュー

森羅万象

場勘を取る 肩の力を抜いて待つのみ (2019.02.21)

昭和の風林史(昭和五八年二月七日掲載分) 
肩の力を抜いて待つのみ
輸入大豆相場は大器晩成型かもしれない。
この辺で肩の力を抜いてみようか。

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春立つや愚の上に又愚にかへる 小林一茶 (2019.02.20)

昭和の風林史(昭和五八年二月四日掲載分) 
立春大吉小豆安・大豆高
輸大は、また押し目を買うのがよい。
小豆は二月新甫天井か。
努力相場もむなしい。
一茶は、
春立つや愚の上に又愚にかへる―と。
中国の詩人猛浩然(もうこうねん)の、
春眠暁を覚えずは、
旧暦四月頃の春日遅々の時分か。
寒(かん)が明けると、
なんとなく心ほのぼのする。
相場市場のほうは全般、
早春の閑である。
小豆相場は
三晶が買っても反応がない。
むしろ東京市場から
気崩れの前兆(二月2日)を思わせた。
去年は二月10日に年間の天井を打っている。
大阪先限八千五十円割れから売り線。
薄商いを強気が努力して上げてきたが、
まったく人気が寄らない。
反対に二枚、三枚、二枚、三枚と
大衆筋が売り上がってきた。
この大衆筋は、小豆戦線生き残り、
相場上手の古兵殿である。
九千円があっても
売り上がるゆとりと楽しみを
持った張りかただから勝てん。
連隊や師団の戦術は知らなくても
弾の下をくぐってきた歴戦の下士官は
今の小豆を善戦連勝している。
だから、カラ鉄砲の買い煽りや、
場勘計算の陽動など、
昔の姿でやってますという、
相場師の手の内を読みきって、
怖がらない。
小豆は、
へたしたら七千円割れに崩れる。
輸入大豆は、
ますます大衆の買いが
人民義勇軍のように増大する。
米国中西部の大豆主産地が、
まったくの雪不足で、この分だと、
播種後の土壌水分不足が怖い。
穀取相場は押し目を入れているが、
新甫の夜放れ高で利食いが利いて、
これからの押し目を、
また仕込む段取りである。
売り方は、夜明けが怖い毎日。
シカゴが五㌣、七㌣
突き上げ可能な場味だけに、
当方S高が、
いつあってもおかしくない。
シカゴ暴騰―朝まだ暗いうちから
電話の入る日の朝食は、
なぜか落ち着きがない。
●編集部註
 同時代、同じ大阪で、
しかも同じ大阪市内の投資日報とは
目と鼻の先に新大阪新聞社があった。
英国の「ザ・サン」のような
大衆的な夕刊専売の新聞社である。
 ここに風林火山と
あまり齢の変わらぬ編集者がおり、
毎週「週刊ファイト」という
プロレス新聞を発行。
活字プロレス〟の
先駆けとして後年知られる。
 片やプロレス、片や商品相場、
ジャンルは違えども、
あらゆる表現で場の臨場感を
筆の力で再現するのは一つの芸である。
 今回の小豆相場のヤリトリは、
差し詰めレマルクの「西部戦線異状なし」か、
最近はとんと劇場で観る事がない
スタンリー・キューブリックの「突撃」か、
いずれにせよ第一次世界大戦の塹壕戦での
地獄絵図のようである。

怖がらない ゆとりと楽しみを持った張りかた (2019.02.19)

昭和の風林史(昭和五八年二月三日掲載分) 
小豆は下げだすと土石流
小豆が節分天井で下げだすと、
この下げ早い土石流なみ。
輸大の基調は不変。

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韋駄天走り 降りる人を降ろして身軽 (2019.02.18)

昭和の風林史(昭和五八年二月二日掲載分)
輸大ここ両日は暴走族だ
輸入大豆は
今週中韋駄天走りだろう。
S高もあってよい。
シカゴが革命している。

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ボルトとアンペア ボリウムの威圧がない (2019.02.15)

昭和の風林史(昭和五八年二月一日掲載分) 
小豆は売りのままでよい
小豆は
総強気・マバラ大衆売り上がり。
相場は買うほどに
反動安がきつくなろう。
値段を上げた割りに
小豆の出来高が大きくならない。
また取り組みも増大しない。
これは限られた資金しか
小豆市場に参加していないからで、
パワーというものが感じられない事と、
ボリウムの威圧がない。
電力でもそうだが、
電圧(ボルト)メーターばかり高くても
電流(アンペア)メーターが
上がらなければ動力にならない。
この逆の、電流ばかり上がっても
電圧が低くては機械は作動しない。
今の大豆は
ボルト・メーターばかり
上がっている格好。
反して小豆は
アンペアメーターのみ上がる。
小豆は先限サヤを買って生まれて、
八千五百円の七月限を
期待している人が多い。
否、強気になりきった人は、
九千円台→三万円を夢見る。
主催・ホクレン。協援・農水省。
協賛・高値掴みグループ。
しかし動員される観衆はマバラ。
そのような姿の小豆だ。
入りが悪いなあーと
企画者は首をかしげる。
もう一段高に上げようと思えば
上がるだろうが、
息切れしそうな相場を
無理押しすると反動がくる。
もう一ツ。
これは
天の理というか人の道というか、
去年、場を止めて、
あれだけ大きな迷惑を
業界にもたらせた人が、
一年まだ喪も明けぬうちから、
やたら表面に出てきては、
商売の道、相場の道。
そんなものでない。
謹慎中の身が、
相場で大儲けできたら、
この世は闇だ。
そんな資力があるなら
業界に返せの声高い。
輸入大豆は、
東京七百七十。大阪八百円。
これを
先限引き継ぎで買うわけだが、
売り方だって
マンホールのフタが
ふっ飛ぶようなガス充満を
警戒している。
ボリウムが
日増しに増大しているのだから、
マッチ一本大爆発。それが怖いのである。
●編集部註
 言わずもがな、
風林火山はこの時、大阪の中心部、
キタとミナミの
本当に真ん中付近にある事務所で
原稿を書いている。
 マッチ一本で大火事に至る実例を
10年前に間近に見ているはずだ。
 それは相場の比喩表現ではなく
本物の大火事、
千日前デパートの火災がそれである。
むしろ、この火災があったからこそ
相場の比喩表現に
火事を用いたとも言える。
 煙草に火をつけた後の
マッチを一本、ポイと捨てて
死者118名である。
 そういえば、
82年のホテルニュージャパンの
火災も宿泊客の煙草の不始末が
原因であった。