証券ビュー

森羅万象

売りに行くと掴まるが 触れなば落ちん風情 (2019.03.08)

昭和の風林史(昭和五八年二月二五日掲載分)
小豆触れなば落ちん風情
日柄食い過ぎた小豆相場は
売りに行くと掴まるが
触れなば落ちんという風情だった。

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“行間” まさに薄氷踏む思い (2019.03.07)

昭和の風林史(昭和五八年二月二四日掲載分)
輸大自己玉売り過ぎ怖い
一万六千枚の自己玉売りが
薄氷踏む思いで、
これが踏んでくる材料が
出れば狂乱だ。
小豆は全般安納会。
輸入大豆は、どれほど安いか
と思わせて、
なんのことない強いじゃないか―と。
大阪脇田は
四百円で受ける態勢だったが、
その値にとどかん。
東京は金屋の玉が投げて
山種から和光の受け。
名古屋もモノが一番多い
といわれながら強い納会。
これはなにかあるねと・・・。
なにかあるとすれば中国だ。
ニチメンが
富士川の水鳥の羽音に
あわてた平家の公達(きんだち)の
如く大量売り玉手仕舞ったのも、
その“行間”を読まなければならない。
中豆成約20万㌧、20万㌧と
騒ぐけれど入船分は
八万五千㌧ぐらいで、
しかも入船が遅れ気味。
交易会であとの成約が
できるとしてもあの国は、
いつなにが発生しても
不思議でないから怖い。
シカゴ期近が急落して
腹をくくっていた強気筋だったが
円安ときて帳消し。
ある取引員社長がいっていた。
『自己玉東西の売り買い差し引き
一万六千六百枚売りは、
まさに薄氷踏む思い。
この輸大、
下に千円下げることはないが、
上に千円上げる可能性がない
とはいえん。
怖いですよ。
だから、下げたところは
自己玉の売りをはずすから、
強力な抵抗ができている』。
流れさえ変われば、
売り屋は
買い方の強力な味方になる。
踏んで踏んで、また踏んでと、
部厚いこの取り組みが恐ろしい。
予備校行って、
やり直しと諦めていたところへ、
スベリ止めが
パスした通知がきたみたいな、
実力があればこそという格好。
これで戻りをまた売ってきても、
三市場四千円を買い切ると、
上げピッチに加速度がつくが、
喜びもはしゃぎ過ぎは禁物だ。
小豆はくたびれてきた。
八千円割ると、ナダレである。
この一カ月の買い方努力相場の
裏目が出よう。
●編集部註
 「団塊の世代」
「巨人・大鵬・卵焼き」
といった造語を生み出した作家、
堺屋太一が先日亡くなった。
享年83歳であった。
 まさかこんなに少子化が進み、
予備校も斜陽産業になるとは
誰が想像していただろう。
 少なくとも、二人知っている。
一人は堺屋太一。
彼が
2002年に上梓した小説
『平成三十年』
で少子化問題が登場する。
 もう一人は田中康夫
 1980年に発表した小説
『なんとなくクリスタル』

芥川賞候補になったが、
当時物語のラストに
付記されていた出生率データが
意図する高齢化とその未来を
指摘する者は誰もいなかったという。

忍の一字で辛抱 四月下旬か五月上旬まで (2019.03.06)

昭和の風林史(昭和五八年二月二三日掲載分)
だいたい諦めの心境なり
輸大の強気側は、
だいたいあきらめたが、
投げずに、
横になった格好で辛抱している。
泣く子も黙るサヤすべり。
輸大期近限月のサヤすべりを見ていると、
強気側は気もそぞろ。
二、三、四月限の
高値因果玉(T社分を含めて)が
整理されるまで、
あすに望みがないという空気。
中国大豆の消費は進んでいるのだが、
成約量が多い。
入荷は遅れ気味だが、
遅れても入ってくるから
需給に逼迫感がない。
それと、取引員自己玉売りが、
ともかく東西二万三千枚と
急増した。(買い玉六千枚強)。
大衆買い方は中豆の難関と
ヘッジャーの圧力と
取引員自己玉売りとの戦いの上、
為替変動とシカゴ相場にさらされ
追証の矢が飛んでくる。
それに耐えるのが
相場する者の宿命である。
前門の狼、後門の虎、
まさしく窮地にある。
では投げるかといえば、
なかなかどうして。
この相場、
四月下旬か五月上旬まで
忍の一字で辛抱してみよう。
今年は大相場ありと
読んだ上での投機だ。
一説には
ロンドン、シンガポール、東京の
ゴム市場で活躍中の巨大投機集団が、
ゴムを仕上げたら、
次の狙いはシカゴ大豆に
挑戦する可能性がある―との事。
『いや、それは大豆買い方の
願望ではないですか?、
そうあってほしいという』。
一方、ソ連に
世界一安い日本の穀取大豆を
買わせてみようという動きが
あるともいうが、
十万㌧や二十万㌧の量では
少なすぎるだろう。
せいぜい北朝鮮向けであろう。
まあこのように、
市場には夢がなければ
人気は盛り上がらない。
小豆相場にしても、
いまは大衆に夢が持てないから
寄りつかない。
ホクレンや農協の出荷調整や
役所の外貨操作に対して、
投機家はロマンが持てない。
市場は常に
自由に開放されなければ
機能のメカニックは殺されてしまう。
●編集部註
 生産者は高く売りたい。
卸問屋は安く買いたい。
品質の高い商品は高く売れ、
低い商品は安く売れる。
その品質を見極めるのが
目利きの存在であり、
現物食品市場は
その機能が充実していた。
これに投機家による先物市場が加わり、
かくして価格の平準化が機能する。
 大正期の米騒動を教訓として
このような制度が整備されたといわれる。
食料は品質が整い、安定供給され、
リスクをとった投機家は
褒められこそすれ貶されはしなかった。
やっかみはあったかもしれないが、
最大多数の最大幸福という観点からは
理に適っている。
 現在こうしたシステムが崩れている。
モラルも崩れている。
その萌芽がこの頃から見え始めた。 
 バブル景気はまだ先だ。

出直しの予備校入りトレンド踏みはずし (2019.03.05)

昭和の風林史(昭和五八年二月二二日掲載分) 
輸大の下値に抵抗力あり
輸大は、もう一回やり直しの予備校入り。
小豆は超薄商い相場は下げたがっている。
輸大とは売るものなりと覚えたり。
売り玉は回転が利く。
戻ったところを売りさえすれば
夜が明けたら安い。
強気している側は悲鳴をあげている。
前に回ってのサヤすべり。
どこかで期近から歯止めをかけないと、
来月もこの繰り返しになる。
強烈なインパクト(衝撃)で
流れを変えなければズルズルと
今の基調が来月も続くだろう。
高値掴みの買い玉から
順番に追証のフダが貼られて
投げていく。
追証入れるは苦労でないが、
先の見通し立たぬが不安。
そのような場面。
シカゴ期近は作付け計画意向の
予想以上の減少を好感して買われたが、
これが穀取に反応せん。
東京期近の安値は三千三百二十円。
T社玉が受けに出れば
納会暴騰目に見えているが、
T社にテクニック(戦略)なし
と軽視されている。
大阪当限安値は三千四百円。
渡し玉三百枚前後なら受けてよし。
受けざれば、またまた三月限が
売り屋の
鳥なき里の蝙蝠(こうもり)だ。
チャートは
上昇トレンドを踏みはずした。
もう一回
安値から出直しの予備校入りか。
東京五百円上げの半値押し七百六十円。
大阪七百七十円。
急所の半値抵抗ライン死守できざれば
三分の二押しまで攻められる。
では大取り組みが減るかといえば、
減らない。
次から次と人海戦術で
安いほど食いついてくる。
相場格言=勝者は必らず
血まみれに戦った時の
泥によごれたワッペンを持っている(シカゴ)。
小豆は東穀二節45枚という商い高。
いつ棒下げしてもよいダンゴになった。
八千円を割る時は一瞬だろう。
S安もある下げになる。
●編集部註
 この時期、前年の為替急変で
未曽有の円高/ドル安で
国内消費地相場にはひずみが生じている。
 小学館の「戦後史年表」をひも解くと、
この年の春、NHKのニュースが
初めて為替と株の動きを
定期的に伝えるようになったとある。
東京証券取引所で
場立ちが手振りをする様子が、
上田ハーローの円卓に座り、
数本の電話を抱えたディーラー達が
メモを飛ばし合う光景がテレビに流れた。
 知ったら仕舞いとは良く言ったもので、
こういう情報が
世に知られるようになると
相場はおとなしくなる。
ドル/円はナイアガラフォールズから
保合いになっている。
 シカゴ大豆の週足を見ると、
82年10月が実質上の大底であった。
春まで上昇し、
初夏に向けて修正安の後、
夏から秋に向けて吹き上がった。

ウツロな相場 明けても暮れてもワンパターン (2019.03.04)

昭和の風林史(昭和五八年二月二一日掲載分) 
辛抱する木に花が咲く?
小豆の実際はウツロな相場である。
実と見せて虚だ。

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