昭和の風林史(昭和五七年一月二十日掲載分)
目先としては押すべきだ
買い方は、突っ張りをゆるめて、
自然に流されたほうが、あとが判りやすくなるのだが。
冬籠りしているような小豆かな。
気味(あじ)としては
目先三千円割れ(先限)があってもよい感じで、
万太郎の句にある
『飲みくちのかはりし酒よ冬籠り』的情景かもしれない。
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昭和の風林史(昭和五七年一月十八日掲載分)
月末に向かって高いはず
閑散に売りなし。輸入話で売られれば、
申し分ない押しになる。月末にかけて高い。
カネツ商事の清水正紀さんが
『風林は小豆ばかり書かずに、
他の商品をにぎやかに書いて欲しい。
小豆は証拠金が高い。
この分が他商品に回われば
倍の商い高になり、
商品業界全般が
活況を呈することになるのだから―』と。
山大商事の加藤四郎専務が
『去年の秋、
風林が歩いているのを見て
声をかけようと思ったが、
まるで雲の上を歩いているみたいで
風に吹かれているよう。
いけませんよ、あんなことでは。
だが、今年はあなたの運勢は素晴しい。
今年は最高の年だ―』と。
去年は東京に二回しか行っていない。
雑誌の編集にかまけて
名古屋にも三回きりだ。
加藤さんに見られたのは、
きっと川村商事の板崎社長に
お昼からお酒を御馳走になり、
酔って歩いていた時だと思う。
川村の板崎さんに、
お昼はいつもの所でといわれたが、
“あたりや”という店のお酒はおいしいし、
明進彦さんと一緒だと、
つい愉快になって飲みすぎる。
折角、加藤四郎さんにほめられたのだから
御遠慮した。
上京中に岡地の福富専務御来社。
『なんだ風林は
名古屋を飛ばして東京とは、けしからん』。
お酒が入ると
兵学校の将校生徒に戻るような福富さん。
世が世なら海軍少将だね?
『馬鹿たれ、もうわしは中将になっている』。
相場のほうは清水さんじゃないが
語るところでもなさそうな動き。
ただ、方針としては強気である。
できたら千円ほど
押してくれれば判りやすい。
押して五百円か。トレンド不変。
月末にかけて五千円に向かうだろう。
輸入話で安ければ、
結構な押し目と判断するほうがよい。
●編集部註
後に創業者が刺殺される事件に
発展した豊田商事は1982年に
「大阪豊田商事」から
「豊田商事」に社名変更したとある。
この当時、金は上場されていなかった。
トウモロコシも上場していない。
あるのは生糸、乾繭、綿糸、
大豆、大手亡、ゴムだ。
今見ても、
当時の社会情勢と
リンクしそうな上場商品が見当たらない。
他の国と違って日本では
「総合商社」という企業体の力が強かった。
良くも悪くもこれが原因だ。
小豆以外も書いてくれと言われても、
このラインナップで
他の銘柄の事を書くのは少々しんどいな
と個人的には思う。