証券ビュー

森羅万象

月にうそぶく虎 にぎやかさは虚 (2018.04.18)

昭和の風林史(昭和五七年四月五日掲載分) 
 踏むなかれ大暴落が来る
凶作の翌年は
三月旗四月乗せ五月崩れとしたものだが、
五月待たず四月崩れも多い。
今年の小豆は去年と違うと思う。
振り返ってみると五年間も上げた勘定だ。
高値になれてしまった。
市場は強気の声ばかりだが、
弱気だっている。
ただ時節柄、ものをいわないだけだ。
次期枠二千五百万㌦なら暴騰だ―という。
筆者は暴騰せんと見る。
一瞬買ったらおしまいだ。
買い玉がこの場合上値を抑えるからだ。
中国、台湾にモノがないというが、
なければ中国安徽小豆が一万㌧ある。
このうちの五千㌧を買ってくればよい。
また小豆の枠が足りなければ
白系の枠で竹小豆を入れる。
竹小豆はスソものの増量用に手当てする。
強気は格付けの手直しがあれば
輸入小豆の黒板の値は四万円だという。
これは昔にもあったことで
明治31年(戊戊11月甲)前年米不足で
輸入米の値段暴騰。
三月29日三期限月総解け合い。
格付けを改正し
外国米との格差七円に改め四月四日発会。
この時相場は
10円80銭から16円20銭に暴騰したが、
瞬間天井。あと続落。
12月には9円まで売られた。
今の小豆は10年前の47円(豊作)型でないか。
夏の天気は悪くないと見る。
作付けは三万一千㌶を上回る予想。
最低90万俵収穫と予測。
台湾、中国は増産に入るだろう。
目先、買い方の努力相場で陽動しても
六千円は抜けない。
政策があるからだ。
相場師による買い占め、買い煽りは
実需者を刺激するだけで
自由化の声が高まる以外にない。
このようにみてくると、
強気は、月にうそぶく虎である。
売り方は忍の一字で
時間待ちが最後の勝者。
今月は上に行けないし、
来月は崩れる。
九紫火星戌の年の特色は
六月崩しでもある。
強気も信念だが
烏合の衆のにぎやかさは虚である。
売り方は音なしの構えで熟すのを待て。
すでに五年の上げ相場、
この終焉待つべきものあり。
●編集部註
 昔からのアノマリーに
戦争が起こると商品価格が上がる―というものが。
 実際、第一次世界大戦で
鈴木商店は大儲けした。
この辺りは
城山三郎の小説「鼠」
漫画「栄光なき天才たち」に詳しい。
 この時イギリスとアルゼンチンとの間で
フォークランド紛争が勃発。
アノマリーでは買いである
 ただ、現代の戦争は昔と違い
情報の伝達スピードが速い。
この紛争や湾岸戦争が勃発した時の
日米の金相場を見てみるとその違いが良くわかる。

月に叢雲、花に風 材料織り込み (2018.04.17)

昭和の風林史(昭和五七年四月二日掲載分) 
信は力なり煎れたら仕舞
売り急がずに六千円あたりから売ろう
という待ちの姿勢になった。
煎れたらしまい。
相場というものは
材料を織り込んでしまうと、
それはもう材料ではない。

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べからずの幟 憶測だけが飛ぶ (2018.04.16)

昭和の風林史(昭和五七年四月一日掲載分)
花の散る頃相場も崩れる
四月は下げる番だ。
花の散る頃買い方追証がかかろう。
相場は皮肉に動くものである。
小豆相場の
コントラリーオピニオン(強気指数)
出すとすれば恐らく
90(百人中90人が強気)に
なったのではなかろうか。
アメリカでは指数30以下になった(弱気が70%)。
商品は売ってはいけないとされ、
80以上の商品は
買ってはいけないとされている。
相場は人気の裏を行く
という原理をアメリカ人らしく
数字でとらえる。

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思案どころ 相場の敵は喜怒哀楽 (2018.04.13)

昭和の風林史(昭和五七年三月三一日掲載分)
追い証入れるか玉踏むか
先日の安値を売った玉が捉まって
“追証入れるか玉踏むか”と迫られているところ。
小豆三月限納会について大穀は
(1)取引員各社にお詫びの表明、
(2)業務部の体制を強化、
(3)関係役職者の処分(減俸)
という事になった。
おとうさんまた減俸ですかと妻なげき―。
取引所側は
『非常に初歩的ミスであるため弁明の余地がない』
としているが、
納会最終節の立会いは
事務局理事、市場管理委員長が
高台に位置すべきが原則である。
この点、大穀は納会を、
ないがしろにする所内のたるみがあった。
また市場代表者の集まりである親和会からも
取引所側に高台職員の未熟さについて
過去に申し入れが
たびたびなされていたと聞くが、
これが事務局上層部に
無視されていたきらいがある。
今回の件は初歩的ミスではなく、
一種の積み重ねによる慢性化の不始末だ。
この事は取引員側はよく判っている問題だが、
取引所事務局上層部は
不徳の至すところか判ろうとしない。
さて小豆相場のほうだが、
売っている人からの電話が多くなった。
これは売り玉に追証がかかり踏むべきか、
辛抱すべきか思案に迫られているわけで、
ここで一発伸びきれば出来高増となる。
辛抱できないという段階がくると
必らず電話がふえる。
過去の例からいえば
五千五百円~七百円あたりは
一つの急所である。
市場ムードとしては
強気の材料、強気の声、
強気の人で満ちている。
花も咲いた。相場も高い。
玉は回転、浮いた浮いたである。
しかし相場の敵は喜怒哀楽だ。
喜ぶな。悲しむな。
売り方失意の時は泰然が肝要。
●編集部註
 魚は頭から腐るというが、
腐った頭には腐っている自覚はない。
「ベンチがアホやから野球がでけへん」
と発言した野球選手は監督批判と受け取られ
、野球界を追われた。
 夏目漱石の草枕の冒頭に
こんな記述がある
〝…閣僚の肩は数百万人の足を支えている。
背中には重い天下がおぶさっている。
うまい物も食わねば惜しい。
少し食えば飽き足らぬ。
存分食えばあとが不愉快だ…〟。
倫理観と教養のない政治家なんて
そんなものだろう。
 天下国家の未来より
目の前のうまい物に転ぶ政治家が
明治の頃からいたのか、
それとも単に
政治家を揶揄しただけなのかは判らない。
 先日「官房機密費の支出、
9割が領収書不要」という報道があり、
第2次安倍内閣発足から5年で56億、
月平均で9千万支出されたと知り、
柄にもなく、政治の話題で憤ってみた。

ふらふら戻しても 相場は疲れてる (2018.04.12)

昭和の風林史(昭和五七年三月二九日掲載分)
たるみきった大穀刷新を
小豆相場は疲れている。
ふらふら戻しても常に暴落を内蔵している。

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