証券ビュー

森羅万象

薫風燕返し 織り込み済みという幟 (2018.05.21)

昭和の風林史(昭和五七年五月八日掲載分)  
薫風燕返し売り屋を斬る
大底確認。出直り出発進行の号砲。
四千円まで一瀉千里であろう。
流れが変わった。
目に青葉だが、
目には目を、歯には歯を。
S安には愛をこめてS高。
これが
相場の大底入れのセレモニーである。
大阪が三万一千円(7日)と
安値を叩いた日の出来高が一万七百枚。
先月23日、26日、27日と
下げながらの大出来高。
そのトドメのような商いだ。
東西取り組みが
ジリッ、ジリッとふえている。
完全な安値取り組みだ。
大阪節足新値31本の
四千六百二十丁下げ。
天候相場はこれからだというのに
出来秋の安値にあと四百十円で
とどくところまで叩いては、
そんな馬鹿な―と僕は思った。
富士山でいえば
登り口よりもっと下まで駈け降りた格好。
要するに五月新甫のS安は、
無用の下げだったわけだ。
ものには相場というものがある。
安値を叩いた向きは人の不幸、
即ち仕手崩れを願ったわけで、
資力十分の六本木にすれば、
売り玉一網打尽の絶好チャンス、
風呂敷に包んでしまった。
これで下から強力陽線三本立てれば、
昭和57年度の大底が明示される。
すべての軟材料は
織り込み済みという幟を建てる。
集中入荷を騒いでも、
それは二千五百四十万㌦発表時に
判っていること。
トレンドは三千百円あたりの窓、
三千七百円どころの窓、
恋の丸ビルあの窓あたり埋めるのは簡単。
だから三万四千円は燕返しである。
東京の巧者筋も
相場の流れは変化したとドテンしている。
買い方二大支柱は新戦略。
薫風五月颯爽。
五月は売り屋が相場を高くする
―と書いてある。
そして硬材は後から貨車でくる。弱気征伐だ。
●編集部註
 窓、マド、GAP―。
チャーチストにとって、
この価格と価格の隙間は
非常に重要な指標である。
風林火山がこの時指摘した通り、
その後の相場は、
艱難辛苦の上下変動を繰り返しつつ、
上げトレンドを形成し、
4月に出現した窓を6月頭に埋める。
 しかしこの窓埋め、東京市場で見ると
5月末からの
大きなGAPアップで生じた窓埋めだった。
相場基調は、ここから変容を見せる。
ここを柔軟な頭で臨機応変に対応出来たか否かで
その後の相場成績が
大きく変わってしまうのだから、
相場とは皮肉なものである。
 相場とは全く関係ないが、
82年の出来事を知らべていて、
この年の4月に吉本興業が
大阪でタレント養成所、NSCを設立。
その一期生として、
今のダウンタウン、トミーズ、ハイヒールなどが
入学していた事を知る。

冷水を浴びせる値頃観は通用しない (2018.05.18)

昭和の風林史(昭和五七年五月七日掲載分)  
信ずる者は強し買い場だ
総弱気であるが、買い場だと信ずる。
信ずる者は強し、迷いなど微塵もない。
相場に値頃観無用。
値頃観は通用しないことは百も承知である。
だから今の小麦は安すぎる
という表現は使えないかもしれないが、
三万五千円、六千円の一割安、
三千五、六百円安は一ツの目途である。
昔から
二日新甫の月はよく荒れるといわれるが、
五月は四日新甫であるから、
荒れ方は、もっとひどいかもしれない。
そして新甫のS安は、
買い方をして震撼させた。
思いもよらぬ下げだったようだ。
思うのであるが、
このような値段になると
北海道の小豆作付け面積は、
恐らく増反になるまい。
それでは農業政策上困るわけだ。
しかも新甫は
産地定期をホクレンが売ったという事で
地合いを一気に悪くした。
一体これはどういうことか?
道庁も農水省も
鐘や太鼓で増反運動しているさなか、
ホクレンが
冷水を浴びせるようなことをしてはいかん。
市場は集中入荷。
在庫面からみた荷圧迫懸念。
小交易会。
買い主力筋の逆境などを囃して総弱気だ。
しかし、集中入荷といっても
先に発表された枠の中での入荷である。
騒ぐほうがおかしい。
騒ぐのは相場が騒がせているのである。
今月沢山入れば来月は減る。
いまは、弱気のトークが錦旗に思える。
だが相場というものは、
人が皆弱い時に売って儲かったためしはない。
三万一千円の小豆を売って銭になる
とは絶対に思えないから、
百万人といえど我れ行かん。
相場は気合いである。
S安にはS高で応えるのが礼儀であろう。
反騰、期して待つべし。
●編集部註
 実際、この年の5月の小豆相場は、
振幅幅はあれど上げトレンドである。
それを踏まえた上で、
これからの記事を読むと含蓄があるのではないか。
 さて先般、この年の5月に
シブがき隊がデビュ ーしたと書いた。
調べてみて驚いた。
同月、中森明菜もデビューしていた。
 1982年という年は
稲垣潤一や鳥羽一郎のような
今も第一線で活躍する歌手が
デビューした年であると同時に、
「明星」や「平凡」の表紙を飾るような、
所謂アイドル歌手の当たり年でもあった。
 この年の3月21日、
小泉今日子と堀ちえみ、
今は梨園の妻となった三田寛子がデビュー。
翌4月21日、
石川秀美、早見優がデビューしている。
 浮き沈みの激しい芸能界で、
昭和のアイドルの代名詞と言える人たちが
3カ月でこれだけデビューするのも珍しい。

蒸し返し 安値取り組みが出来る時 (2018.05.17)

昭和の風林史(昭和五七年五月六日掲載分)  
人気弱いは結構な現象だ
買い方針も強気方針も不変。
駄目底、底練り予定の新ポ安。
五月きわめて急騰あり。

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青葉若葉に奔然と 売り屋が作る上げ (2018.05.16)

昭和の風林史(昭和五七年五月四日掲載分) 
青葉若葉に奔然と上昇だ
連休明けの相場は足の速い上昇になろう。
身が軽いからだ。
奔然という言葉がピタリ。
新ポが四日というのも
正月じゃあるまいし間の抜けた話だ。

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出直りの条件 材料は後から貨車で (2018.05.15)

昭和の風林史(昭和五七年四月三十日掲載分)
好材は後から貨車で来る
戻りではない。
底入れしての大直り、新しい相場である。
材料はあとから次々出よう。
投げも投げたり、
出来高27日も東西二万五千枚。
これで高値取り組みだった相場が
綺麗に安値取り組みになった。
ということは完全に売り時代が終わった。
『強気転換は、
まだちょっと早いのじゃないか?』
といわれたが、
すべての条件が底打ちのシグナルである。
日柄も、きっちりはまった。
罫線に下値目標の値段のところと、
日柄の限界地点に
蛍光ペンで丸印を書いておいたところに、
ビシッと節足線が入った。
ゴルフならさしずめホールインワンだろう。
ゴルフはした事がないから知らない。
ボールを穴に入れるのが難かしいそうである。
あんなもの、
寝ころがって草の目を読まんでも、
ジーッと心静かに穴を見ていたら、
心眼に映る穴が、
どんどん大きくなっていくか
らコーンと叩けば穴がボールを吸い込むはずだと、
怖いもの知らずで強気だけは垂れるから、
シングル級のゴルファーが辟易する。
これ即ち嫌がらせの年齢。
それより相場だが、
『どこまで戻すか?』というから、
相場用語に気をつけてモノをいって下さいよ―と。
戻すのではない。出直りです。
半値回復の三千七百円あたり、恋の丸ビルあの窓あたり。
三千百円、二百円の下の窓埋めは問題でない。
要するに大掃除が終わった。
灰汁抜けた。
取り組みが大変化した。
日柄が十分。人気は弱い。
という事は、
出直り条件すべてパスしている。
大阪九限大引
二千八百五十円以上に引けたら
その瞬間から大変な相場に変身。
新ポの十限買いもよろしい。
買い屋は泣いている間などない。
新戦場に駒を進めよ。
買い材料はあとから貨車でくる。
底が入ったから天井するまで買うだけだ。
●編集部註
 数字で見るより、
図で見た方が説得力があると思うので、
ここは当時の小豆相場を
出来高と取組高と並列で見た方が良い。 
この文章が掲載された頃の
東京小豆相場を見ると
突出して商いが出来ている反面、
既存玉が極端に減っている。
これを〝投げも投げたり〟と
風林火山は表現した。
 この年の4月最終週、
東京市場の総取組高は3
万枚を割り込む寸前であったが、
この出来高を底打ちのシグナルと見たのか
新規売買が増加。
1カ月後の5月最終週に総取組高は
4万枚を突破。
これに伴い、相場は上昇トレンドになっている。