証券ビュー

森羅万象

名馬見分ける名人 駄馬も見分ける (2018.07.26)

昭和の風林史(昭和五七年七月九日掲載分)  
すべての旗にそむいても
勝者は勝ちやすきに勝つという。
小豆買い方は
流れに逆らって頑張っているが徒労。
当限新規百万円の二番新規五十万円増証や
建玉、受け渡し玉の氏名等の報告は
第四次規制になる。
要するに期近限月の片寄った建玉を
ほどくための規制強化なのに、
挑戦するかの如く強引に買い玉をふやされては
役所も取引所も心中穏やかでない。
『期近二限月の新規玉増証は、
〝手付け〟みたいなもので、
今後状況次第で、
次々対策が出るのは当然』(東穀森川常務)。
店別建玉規制や、当限新規建玉停止、
あるいは割増証拠金等も
〝市場管理要綱〟の趣旨と照合しながら
検討は進められ、
ともかく市場の正常化に
行政当局は真剣に取り組んでいる。
そのような時に、7日の強引な買い煽りは、
買い方にとっては墓穴を掘る格好となった。
先二本限月は作柄順調を反映して実勢相場。
大衆は、
この先二本に的を絞って期近は敬遠すべきだ。
取引員自己玉は東西合計して
ようやく売りが買いを上回った。
高場の東京を売り、
安場の大阪を買うサヤ取りも多いが、
相場の基調が期近二本以外は、
やはり下のものだけに、
いつ崩れがきてもよいシフトをとるのは当然。
折りにふれて
輸入予備枠発券が話題になったが、
予備枠よりも次期枠の早期発券が、
いまのように現物の偏在が続いて
円滑な流通が阻害されると判断された場合は
決断をもって実施される機運になってきた。
作柄のほうは少し遅れたのを
綺麗に取り戻して至極順調。
平年作以上は大丈夫という人気になった。
ものの売れ行きのほうは不需要期とはいえ、
さっぱりのようだ。
買い方は〝すべての旗にそむいても〟
という映画の題名もどきスタンスである。
それは〝栄光なき戦い〟である。
産地に
〝太陽がいっぱい〟の音楽が流れていた。
●編集部註
 眼に見えているものが全てではない。
文章には〝行間〟というものがあり、
比喩や暗喩という表現もある。
風林火山は、暗喩の名手であった。
 直言するよりも、
古典や映画からの引用等で
より深く理解する手法は、
不勉強者には伝わらない仕組みになっている。
それで良いのかも知れぬ。
 今や好人材を育てる人物の
代名詞となった古代中国の伯楽という人は、
名馬を見分ける名人で、
教えを請うべく中国全土から
人が集まった。
その者達に、
彼は惜しみなく名馬の見極め方を
教えたのだという。
しかし、伯楽自身が有望と認めた人だけ、
努めて駄馬の見分け方を教えたのだとか。

危機感 人の口を借りて言わしめる (2018.07.25)

昭和の風林史(昭和五七年七月八日掲載分) 
煽られると売り方は沈黙
買い方に煽られると売り方は声もない。
先二本の戻りを待って売り直すところ。

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逆相関の相場 保合いから再度急騰 (2018.07.24)

昭和の風林史(昭和五七年七月七日掲載分)
『お先に失礼』『待って下さい』
先限がお先に失礼と実勢反映。
いずれ期近も、待って下さいと、
あとを追うのです。

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中段の秒読み段階 天の理、地の利、時の運 (2018.07.23)

昭和の風林史(昭和五七年七月六日掲載分) 
中段の底抜け秒読み段階
今度は売り警戒人気が強いだけに、
アッケラカンと
劇的な崩れにつながりそうだ。
産地は快晴続き。気温も上昇。
生育好調。
夏型の天候は今週、来週と続く予報だ。
役所のほうも、
ようやくあわただしくなった。
期近限月の玉をほどく対策は、
かなりきつい手段に出るかもしれない。
月曜は共産党機関紙〝赤旗〟が
小豆買い占めについてまた書いたそうだ。
農水省は国会で
六本木筋の小豆買いが問題になって以来、
田沢大臣、渡辺食品流通局長、
今大臣秘書官、伊藤商業課長等が
市場問題を真剣に検討し、
関係取引所に対する指導も、
渡辺局長が国会で、
はっきりと「異常事態」と
明示していることから
『異常ないない、打つ手がない』では
済まされないという態度。
取引所には
〝市場管理要綱〟というものがある。
これが役に立たないようでは意味がない。
その点も検討しているようだ。
ともあれ相場としては
先二本が〝死に体〟になった。
在庫増、作柄良好、
安徽小豆の大量入荷、
相場の日柄による疲れ、規制強化。
こうなったらダムは決壊するしかない。
相場は
天の理、地の利、時の運という。
目下の買い方は、
この三要素すべてに背を向けている。
市場はまだ売るのを怖がっている。
前場は早々の利食い。
やれやれの利食いが先行した。
戻したら売り直そうというつもりだろうが、
売らせずに抜けてしまう相場に
なってしまった。
無理したトガメである。
●編集部註
 平成最後の年の夏、
文科省の事務次官候補の
呼び声も高かった局長が
受託収賄疑惑で逮捕された。
 この報道を受け、
ある番組に出演していた社会学者の
指摘に膝を打った。
 要約すると、この報道が事実なら、
日本の教育を司る省庁の
トップになる予定の人が、
教育に対して何の哲学や理念もなく、
〝こうであるべき〟といった美学もなく、
普通に自分の権力や立場を
自分の欲望のために使った事になる。
それは罪深く、恐ろしい事であると。
 話を昭和の小豆相場に戻そう。
この時、異常はあったが違法はなかった。
 ただ、風林火山の筆致と行間からは、
管理する側、運営する側の
無為無策ぶりは読み取れる。
 そして、平成の今だからこそ言える。
先物市場に対して何の哲学や理念もなく、
〝こうであるべき〟
といった美学もない人たちが
市場を管理、運営すると、
結果的にロクでもない事になるのだ、と。

筋目の悪い場 無理したトガメ出る時分 (2018.07.20)

昭和の風林史(昭和五七年七月五日掲載分) 
無理したトガメ出る時分
無理が、どこまで続くかだけの問題で、
それもようやく先が見えてきた。

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