昭和の風林史(昭和五七年十月一日掲載分)
次は生糸と輸大が崩れる
生糸も輸大も大掃除しなければなるまい。
十月は生糸売り、輸大売りが本命だ。
小豆は斬って捨てた。ウもスもない。
これが相場である。
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選択の岐路 熟慮し、勇気を振り絞って 決断 (2018.10.26)
昭和の風林史(昭和五七年九月三十日掲載分)
小豆も生糸も環境が悪い
小豆相場は上げられるようなものではない。
生糸はますます買い方苦しくなってきた。
小豆は秋底が入っていないから
中途半端に戻すと、その反動で崩れる。
強気をしても駄目ですよというのに、
なぜ買いたがるのか判らない。
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眺め引きつけ 健康体になっていない (2018.10.25)
昭和の風林史(昭和五七年九月二十九日掲載分)
来月は円急騰で輸大暴落
小豆は下げるために戻しているところ。
来月は円急騰→輸大11限暴落。
生糸は売り。
小豆が薄商いの中をフラフラと戻した。
下がらんものは買うしかない
という場面だが、反面、
下げるために戻すとみておきたい。
価格政策期待相場とでもいうべきか。
それで高くなったところを
ホクレンが売るのか、
生産者がヘッジするのか。
いずれにしろ
大きな相場に発展していく力はないから、
戻り具合いを眺め引きつけておいて
売り乗せればよいと思う。
線としては下から陽線連続立てて
食いついていく姿は目先買い線だが、
相場が健康体になっていないだけに、
変な戻りを入れると、
あとの下げが早くなろう。
生糸は規制強化で玉をほどく努力が
水面下でも続けられている。
遠い先の需給観は十人が十人とも
改善されるとみているが、
万人がそう思う時は、
えてして裏目になるものだ。
ところで
店仕舞いする中井さんのところが
豊と江口に自己玉を付け替えた。
この七百七十枚は
栗田氏と肩替わりの分である。
前にT社と肩替わりした分は、
利食いしてしまった。
今のところ中井さんは
現物七百八十俵と六百五十五俵の
合計千四百三十五俵のうち、
納会後50俵を売ったから
千三百八十五俵の持ち。
受けた現物はタンクして、
舞い戻らぬようになっているのは
建前で、なんぼでも裏から出てくる。
十月は、すでに
二千俵の渡し物が見えているそうだ。
これで玉がドサドサとほぐれると
相場は下げるしかない。
そして人気離散は
昔の手亡みたいになりはせんか。
ところで輸入大豆のほうは、
10月は
円高を見ておかなければならないから
11限売りが本命になろう。
円は10月大暴騰に転ずるとみる。
秋の底入れだ。
●編集部註
〝大暴騰〟という言葉が
文字通り円の価値が
〝大暴騰〟するのか、
それとも
ドル/円相場のチャートで見て
〝大暴騰〟するのか
ビギナーは一瞬迷うと思う。
「何故チャートは上昇してるのに
円〝安〟なのか」と、
誰もが一度は思ったのではないか。
通貨は「相対評価」故に、
ドル/円と円/ドルでは
チャートが逆になる。
私事ながら、毎週来るメリマン氏の
英文の訳にかかわり始めた当初、
途中で混乱した記憶がある。
風林火山の予測通り、
円の価値は10月後半から
〝大暴騰〟する。
11週間で
50円弱(48・5円)円高になった。
これは2011年10月から
20 15年6月までの
4年弱の値幅に匹敵―と書くと、
これが本当の〝大暴騰〟であった
という事がご理解戴けるのではないか。
昭和の風林史(昭和五七年九月二十八日掲載分)
輸大期近は利食い千人力
小豆は
秋底入るまで買っても駄目だと思う。
輸大は利食い専一。生糸は重い相場。
輸入大豆が予定のコースで
暴騰納会した。
火薬庫の10月限に火がついている。
生糸のほうは
大量現受けを冷静に判断すると、
相場的には悪い―
と考えるのが当然である。
いうなれば生糸の買い仕手は、
大の字に寝てしまった自分の
蒲団(ふとん)を
持ち上げようとする格好だ。
ただ一ツの気やすめは
来年二月、三月頃になれば
需給が締まるという希望的観測。
しかしこれとて、鬼の笑う来年の話だ。
それより定評のある栗田氏の
〝需給の読み違い〟に気づかず
今の買い方は精神的支柱に
遠い先の需給観を頼りにする。
栗田氏は需給の読み違いでした―
で済むかもしれないが、
巨額な資本を投下し
金利・倉敷の時計に針に
身を刻まれる側は、
たまったものでない。
小豆は納会がないということは、
まるで褌を締めていないみたいなもの。
それでも、下に行きたくないから
戻してみようと、
ただそれだけの動き。
下値は次期枠の絞り込みで抵抗。
上値は今の相場にエネルギーがないため
買い妙味なし。
ここのところ
薄商い続きと相場妙味なしで、
他商品(輸大、生糸、ゴム、精糖)に
関心が移っている。
まして小豆は天候相場が終わって
需給相場に移る。
これが秋底入れての相場なら
強気もよいが
決して底が入ったと思えない。
いわば上げ底である。
二万九千円を割らねば買っても駄目である。
●編集部註
栗田氏とは誰なのか?
インターネットが
これだけ普及している平成の御代でも
あまり情報が出てこない。
ただ鍋島高明氏の著作等から見て、
どうやら栗田嘉記氏である可能性が
高いと思われる。
以前、
板崎喜内人氏の事を当欄で書いた。
板崎氏が桑名筋と呼ばれていたのに対し、
栗田氏は静岡筋と呼ばれていた。
板崎氏と同じくノンフィクション作家、
沢木耕太郎のインタビューを受け、
その模様は「鼠たちの祭り」
という作品で読む事が出来る。
これは新潮文庫から出ている
ルポルタージュ集「人の砂漠」に
収録されている。
手元の情報を総合すると、
浮き沈みの激しい相場師であったらしい。
1972年に1週間で
50憶負けたという伝説も残っている。
沢木氏のルポでも、50億儲けた後に、
61憶負けた件が話題に上っていた。
その際のやり取りの一部は、
鍋島氏の
「マムシの本忠」(パンローリング)
の中でも引用されており、
この作品の裏側にも触れられている。
無理無理の仕手 宙に値が浮いているだけ (2018.10.23)
昭和の風林史(昭和五七年九月二十七日掲載分)
無理無理の生糸買い仕手
生糸の買い仕手は無理の上の無理。
この生糸は七月小豆の二の舞いで
買いは潰れる。
産地の小豆が崩れた。
全般地合は超閑散の中で
玉の出具合いによる値付きだが、
玄人筋の強気多数にもかかわらず
力がない。
この、相場に力がないというのが
一番怖い。
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