証券ビュー

森羅万象

「乱手」 売り過ぎのとがめ (2018.11.12)

昭和の風林史(昭和五七年十月十五日掲載分) 
輸大期近も生糸も山場か
輸大期近と生糸期近が
役所にとって頭いただ。
両方とも山場である。
百鬼夜行という感じを
受ける昨今の商取界の各市場。
超閑散の小豆が
一夜明けたらストップ高。
輸入大豆期近限月は
実勢遊離の大逆ザヤ。
生糸市場は
売り方、買い方にらみあい。
東京砂糖市場の粗糖は、
ひやかしみたいな売りの手ぶりを
ガバッと取られてしまうし。
お役所のほうも関係取引所も
困った困った
当限の玉がほどけぬことには。
今年は荒れ狂う年というわけか。
円相場に金相場。
そして政局は一寸先は闇だし。
ところで小豆だが、
ある事情通、仕手関係について、
買い方スルリと
抜けてしまうかもしれないよ―と。
仕手関係だけでみるならば、
これこそ一寸先は闇である。
しかし相場つきや日柄、
そして二万八千五、六百円を
売り込んでいる取り組みなどみると、
三万円大台乗せの相場といえよう。
輸入大豆にしても
安値売り込み型の取り組みが
踏まされている。
要するに売り過ぎのとがめである。
大豆の環境としては
旧穀の需給逼迫を騒ぐ割りに
実需離れで、
ここまでくると
買い方仕手の乱暴が非難されだす。
穀取も市場管理面で
厳しい姿勢をとらざるを得ん。
なぜならば実需筋の
突き上げがきつくなるからだ。
買い方も、ここまできたら、
ほどほどにすべきであろう。
十分これで勝ったのだし、
煎れに向かって
玉も抜けられるのであるから、
戦況有利のうちに
終戦すべきでなかろうか。
生糸期近限月は15日か18日あたりに、
なにか流れが変化する可能性が濃い。
売り方の手には
意外なほど速いピッチで
現物が集まっているそうだ。
役所の動きもあわただしい。
●編集部註
 手ぶり、といっても
何の事やらもう解るまい。
 平成も
バブルに浮かれる直前くらいまで
証券取引所も商品取引所も
手と指の動きで注文を入れていた。
1990年に倉本聰の脚本で
日本テレビで放送されていたドラマ
「火の用心」で
石橋貴明が演じていたのが
東京証券取引所で働く手ぶりの
証券マンであった。
 筆者がこの業界に入ったのが
1997年。
商品取引所ではゴムの板寄せ取引が
箱崎の仮設取引所で行われており、
その模様を見学に行ったことがある。
さすがに本文中で
出て来る「乱手」まがいの
取引はなかった。
 更に鎧橋を超えて
東京証券取引所に行くと、
「手ぶりロボット」
というちゃちな機械が
注文の仕方を解説。
嗚呼、お金が余ってるんだなと思った。

天高く 底を買いたい秋底 (2018.11.09)

昭和の風林史(昭和五七年十月十四日掲載分)
秋底確認で小豆軽やかに
小豆の足の軽さは、
ただごとでない。
このような相場を弱気すると
大怪我します。

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煮え詰まって 悪材料を織り込んだ時に (2018.11.08)

昭和の風林史(昭和五七年十月十三日掲載分)
輸大二番限など売り時だ
輸入大豆期近は煎れ相場。
当限など生糸八月天井に見せたのと
同じ線型である。
輸入大豆10月限の火薬庫に
火が入ってS高の煎れ場面。
10限一代の日足は、
さながら八月上旬に見せた生糸の
天井取りの線型と同じ格好である。
市場人気は輸大前二本に対して、
まっ赤な炎のように強くなった。
売り過ぎだ。品物がない―と。
しかし、このように
人気が強くなった時分が、
相場としては〝売り時〟である。
当限は買い方が煎れを取りながら
受け切って、
来月に戦線を延長すれば…
売り方は、たまらんだろうという。
確かに当限の一連の売りは、
踏まされるのが見えている。
砂糖売り、小豆売りで
連勝してきた筋だが、
どっこい輸大当限は
不覚にも掴まっている。
輸大市場が荒れているから
小豆のほうは超薄商いで、
少々の玉の出具合いによる値付きだ。
これも、一段安ならば買いたい。
戻れば売ろうの気持ちが見える。
小豆の週間足は七月19日安値と
十月1日安値が両足つきで、
本当なら底型といってもよい。
これは、去年の秋の両足つきの
大底と同型でもある。
仮りに先日の安値が
底であるとしても、
売り込みが不足しているように思う。
売り玉は、むしろ利食いしてしまい、
高値の買い玉が引かされて
辛抱している姿は、
相場出直りに、ほど遠い感じでもある。
ただし、なにかのインパクトが
今の相場を刺激すると
値が宙に浮いているだけに
急伸する可能性なきにしもあらず。
これは相場が煮え詰まって
悪材料を織り込んだ時に
発生する現象である。
ただし、今その事を考えて
買うのはどうだろうか。
なんとなく、
もう一段安に放れる格好の
罫線に見えてしょうがないだけに、
あわてることもなさそうである。
●編集部註
 社会も、相場も漠然と、
空気が澱んでいる。
 この前の週、夕張炭鉱が閉山した。
 今でこそ石炭は
新たな活路が見出されているのだが、
この頃の炭鉱は完全な斜陽産業であった。
 各地の炭鉱町は
生き残りをかけた模索が続く。
 関東で生き残り策で
最も成功したのが福島県常磐炭鉱であろう。
76年に閉山したが、
掘削時の厄介者であった温泉を利用して
「常磐ハワイアンセンター」を作り、
今も「スパリゾートハワイアンズ」の名で
年間150万人が訪れる観光地になった。
 夕張メロンも生き残り策の一つであった。
既に一部で有名になっていたが、
炭鉱閉山と同じ年に全国出荷が可能になり、
一大ブランドとなる。

秋底入れにはなるだろう 今すぐ決め手がない (2018.11.07)

昭和の風林史(昭和五七年十月十二日掲載分)
小豆相場の先行き如何?
小豆相場の
これから先の事を考えてみると、
秋底入れにはなるだろうが、
冴えない。
日柄薬というけれど、
小豆の限月も来月くれば六本揃う。
七月解け合いから、
ひっそり息をひそめてきた感じだった。
相場のほうは、そのような時だけに
元気のよい上昇などありようがなく
地すべりが続いた。
作柄も悪くない。大幅増反。
不景気による実需不振。
そして市場管理面の強化と
人気離散など、
更には産地の売り物が値を崩し、
自由化問題が不透明。
行政のほうとしては次期枠操作で
相場下落に歯止めを
かけなければならないが、
これとて今すぐ決め手がない。
市場内部要因は、
買い玉すべて水つかり。
これでなお一段安に崩れると、
辛抱組も気力の限界がくる。
二万八千円ラインを割るのは、
多分、買い方の投げによってであろう。
その時の出来高が比較的多ければ、
秋底になるかもしれない。
しかし雑豆自由化という方向が
強く出るようなら、
根底から相場を考え直さねばならない。
去年は10月19日と11月19日の二点底。
綺麗な秋底だった。
まだ、あの頃は
市場に元気のよい人が存在した。
だから相場の出直りも足早やに
二月10日まで買った。
今年、仮りにこの先秋底入れたとしても、
去年のような精気ある出直りが
期待できるだろうか。
余程、安値で売り込むとか、
強力な行政が打ち出されるかしない限り、
雑豆業界の体力も、商取業界の体力も
弱りきっているだけに、
下げの反動、自律戻し程度でないか
と思ったりする。
●編集部註
 秋風が吹いている。
 それは
商品業界における厳しい冬の時代の
幕開けを告げる風であった。
 この年の
2月から続いていた小豆相場の
下げトレンドはまだ終わらない。
10月の頭に切り返すも、
下旬には反落し、
更なる下げを指向する事になる。
 話は変わってこの年のこの日、
当時ロッテオリオンズに
在籍していた落合博満
首位打者・最多本塁打・最多打点の
3つのタイトルを獲得。三冠王に輝いた。
この記録は、
1938年から現在まで
11回しか作られていない。
ただこの11回中、
落合は82年、85年、86年と
3回三冠王を獲得している。
 落合以外で複数回三冠王を
獲得した選手は巨人の王貞治
阪神のランディ・バースがいるが
(それぞれ2回)、
なかなかに達成出来ない記録である。
 95年にイチローが寸での所で
三冠王を獲得出来なかったが、
この年の
首位打者・打点王・盗塁王・
最多安打・最高出塁率の
五冠を達成している。

硬軟睨み合い もの事腹八分に妙味 (2018.11.06)

昭和の風林史(昭和五七年十月九日掲載分)
輸大二番限売りに妙味が
小豆相場は、
もう少し日数をかけて下値探り
という相場つき。買うにはまだ早い。
円相場が反騰に転じた。
円も相場なら大下げのあとは
底入れ→大出直りとなろう。
要するに
相場の流れが変わったのである。

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