証券ビュー

森羅万象

急反発は売り 未だ底値確認せず (2015.09.16)

昭和の風林史(昭和四八年九月八日掲載分)
先限の一万九百円どころで止まるだろう。
だが精一杯反発して千二百円幅だ。
また売られる。

「水垢に細る筧や吾亦紅 芳美」

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空前の在庫量 買い方押し潰す (2015.09.15)

昭和の風林史(昭和四八年九月七日掲載分)  

下げるは下げるは、
奈落の底まで下げる小豆・手亡。
だが下げ足が早ければ転機も早くなる。

「葛の葉にうらみがほなる小雨(こさめ)哉 蕪村」 

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まだ戻り売り だが底値に接近 (2015.09.14)

昭和の風林史(昭和四八年九月六日掲載分) 

積極的に弱気する時期は過ぎている。
戻り売りである。
強気するにもまだ少々早いところ。

「虫売のひろげて屋台大いなり 蛍子」  

昭和46年の増山相場の時と市場規模も環境も違うけれど
二万一千四百円という小豆の高値を付けたあとを、
振り返ってみるのも、なにかの参考になるだろう。

この時の相場の天井は九月17日。
それが彼岸まで崩れて、あと反発、
もう一度十月新ポ叩かれたあと
十月七日の大天井を取りに行った。

十月七日、この日帯広に霜が降りたが
ストップで買った値段が
穀物史上最高の二万一千四百円である。

これが崩れだした。
十月中も、十一月中も崩れた。
そして十二月も安い。

一月大発会後も下げ続け、
遂に先限は一万三千円を一月12日に割った。

十月七日台天井から三カ月を下げて、
一月12日ひとまず底入れした。
その相場が二月12日まで丸一カ月反騰して、
およそ四千円幅を戻した。
八千円下げの半値戻しに当たる。

その事を思うと今回の相場は七月11日大天井して、
まだ日は浅い。
昔ほど、ゆうちょうな事は
言っておれないかもしれないが、
せめて二カ月ぐらいは整理に日柄を要するだろう。
悪くいけば46年のときみたいに
三カ月を要するかもしれぬ。

しかし筆者は一万三千円前後の相場は
弱きしても駄目だと思う。

これが下げ日数不足にもかかわらず、
急反騰するなら、もちろん絶好の売りになる。

だが、安値低迷、あるいはジリ安の相場なら、
一歩一歩底値に接近していくのであるから、
長期方針で細く長くあせらずに
買っていくほうが判りやすいと思う。

そして、いったん大底を確認すれば、
もうそのあとは強気強気で
押し目買いに徹すればよいのである。

現時点では強気方針を打ち出すには、
いささか早いし、
さりとて積極弱気も、もう過ぎている。
従って戻り売りであるが、
水準の低い売り玉は持たないように
心がけなければならない。

要するに底打ちを待つ。
天井した相場は、やはりどこかで大底する。

大底した相場は、あと、
どのような悪い材料が出現しようと出直っていく。

それが相場である。

どこで大底を打つか、
いまはそれを待てばよいのではないかろうか。
なにもあわてることはないところだ。

●編集部注
まだ撃つな、充分引き付けよ―。
古今東西の戦争映画でよくある光景だ。

【昭和四八年九月五日小豆二月限大阪一万三〇三〇円・二四〇円高/東京一万二九九〇円・一九〇円高】

安値叩き警戒 強気まだ早いか (2015.09.11)

昭和の風林史(昭和四八年九月五日掲載分)   

安いという事は底値に近づく事である。
高い時のように積極的な弱気は出来ない。
利食い専念。

「虫の音や夜更けてしづむ石の中 園女」  

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とぼとぼ相場 夜道に日暮れず (2015.09.10)

昭和の風林史(昭和四八年九月四日掲載分)
夜道に日は暮れぬ。
小豆相場は、とぼとぼ安値を低迷するだろう。
戻せば売りの相場である。

「秋の宵二階の人に声かけぬ 愛子」

小豆はストップ安ときた。
三日新ポなんてけったいなぐあいだ。
生糸も毛糸も足場を踏み外して暴落した。

この期におよんでの小豆の放れは、
買い方にとって致命傷である。

戻した値幅分の倍落としだと、
先限あたり一万三千円を割る。

期近限月も一万二千六、七百円から
八、九百円あたりで
ダンゴにもんだ分がスカーンと、
ほぐれるような下げだから、
この相場の行き着くところは、
もう近づいているとも思えるが、
値はとどいても回復に日数を要しよう。

ともかく一万九千円という高値を
熱気に包まれてつけた大相場が、
エネルギーを燃焼しつくし、
相場本来の姿に戻って
それまで無視していた在庫を嫌気し、
作柄を売り、取り組みの悪さを見直し、
そして無理に無理を重ねてきた夏までの疲れが
ドッと出たようなものである。

すでに買い方主力が
どうのこうのという問題ではない。

相場を相場としてみていく相場観でよいのだ。

筆者は、規制が緩和されたら暴落すると見ていた。
案の定である。

相場に生命力のある時なら、
規制の緩和で、再び運勢を盛り返したであろう。
ところが、一万九千円に乗せた時点で、
この小豆相場は燃え尽きていた。

しからば、この小豆相場の今後を、
どのように予測すればよいのか。

とりあえず、戻した幅の倍落とし。

一月限で一万三千二百円あたり、
二月元で一万三千円どころ。
そのあたりで止まるだろう。

そこで値ごろ観の買い物や、
売り方の利食いなどが出て反発したり、
ジグザグしたりするかもしれない。
だが作況の状態によっては
もう五百円下の一万二千五百円があるかもしれない。

金融は締まり、在庫のみ多く、
消費は停滞する傾向が非常に強く表面に出ている。

小豆相場は、まだまだ買い目がないし、
日暮れて道遠しの感が深い。
そして、夜道には日が暮れぬという、
とぼとぼした足取りで
安値を低迷することであろう。
戻せば売りの相場である。

●編集部注
 夜明け前が一番暗い。

 ソ連が崩壊したのは
ゴルバチョフからエリツィンの頃だが、
その頃の東西緊張は急速に高まった印象が
皮膚感覚にあった。

 世界金融危機の時も、
アジア通貨危機の時も、
相場が大底をつける直前に総悲観の下げが来た。

 売り屋が売り買い屋が売ったら底を打つ。

 まだ、買い屋は売っていない。

【昭和四八年九月三日小豆二月限大阪一万三四九〇円/東京一万三四九〇円】