証券ビュー

森羅万象

七千円乗せへ 騰勢侮り難し!! (2016.03.02)

昭和の風林史(昭和四九年二月二七日掲載分)
当面一万七千円乗せ。
押した幅の倍返し。
時に三倍返しもある。
相場は上伸するために存在する。

「田楽もかたき豆腐にかたき味噌 虚子」

>>続きを読む

換物思想再燃 今が買い時だ!! (2016.03.01)

昭和の風林史(昭和四九年二月二六日掲載分)
海外商品の暴騰が必ず日本に大きく響き、
再び換物思想が津波のように押し寄せる。

「加太の海の波のり舟ぞ若布刈 左右」

名古屋米常の安田甫氏は今年に入って
小豆相場に関する限り実によくお見通しである。
大発会から弱く、二月四日で底入れと断定、
その後一万六千六百、七百円まで上伸する
―と強気を一貫
そして22日千枚以上の買い玉を利食いした。

これからの相場について安田祥雲斉氏は
『千円押しと見ている。
千円押し地点で買ってくるようなら、
もう少し下があるでしょう。

その場合は三月六日前後まで安いと見る。
方針としては大勢あくまで強気で、
千円押し以下の地点は再び買い場となろう。
次の上値目標は一月四日の高値挑戦である。
今年の北海道の天候は小豆に関しては平年作以下と思う。
静岡筋の小豆相場に対する取り組みかたは、
千円下げようと二千円下げようと
頑として強気一貫である。

納会では現物を受けたが
古品を手持ちしておけば
今年は必ず大きな利益をもたらす』―。

巧者筋は皆さん千円押しを予想している。

三、五百円の浅い押しぐらいで済む
―と当初は軽く考えていた。

それがここに来て千円押し。
しかし一様に押した後は大幅高と予測。

見ていると手亡が悪役になっている。

手亡相場が腐るにはそれだけのわけがある。

しかし、海外消費市場は
ロイター商品指数に見る如く暴騰している。
換物思想が再燃しているのだ。

ロンドン自由金価格がそれを表示している。

日本の国会は企業の利益追求行為に圧力をかけ、
選挙資金集めの〝なれあい〟

猿芝居をやってござる。
一時的な流行であるが、
気分的に頭を抑えられているようで面白くない。

しかし世界の商品相場を見ていると、
なにもかも高い。
日本の政府は三月いっぱい、
なんとか物価を抑えようとしているが、
四月解禁ともなれば、
諸物価は昨年末以上の値上がり率を示すだろう。

その時、小豆相場は一足早く上昇に転ずることは
火を見るよりも明からである。

人々が千円押しと見るならば、
五、七百円押し地点から買い下がるのが
相場の実践方法である。

先高を楽しみに、間違っても弱気をしてはならない。

●編集部注
 戦後の悪性インフレに伴い
敗戦国通貨の信用は地に堕ちた。
ならばモノに換えておこうというのが
〝換物思想〟である。

【昭和四九年二月二五日小豆七月限大阪一万六四六〇円・一四〇円高/東京一万六三三〇円・三五〇円高】

相場厳然たり 浅く押し猛然高 (2016.02.29)

昭和の風林史(昭和四九年二月二三日掲載分) 
利食い先行。きわめて警戒的だ。
それだけに浅く押せば、再び猛然と相場は立つ。
買い一貫。
「辛子菜の花は過ぎけり宿の裏 沙美」

京橋の脇田米穀は
数年前に自前の鉄筋ビルを建設したが、
それ以前は、一見碁会所風で、
道行く人は大きな硝子戸の中に見る異様な空気を
奇異に感じたものである。
筆者はその時分、これが硝子でなく
障子紙か油紙でも張って〝山サ〟の紋でも書いておけば、
あわてものの渡世人あたりが
草鞋をぬごうと挨拶に来かねないと思ったが、
今や磨きぬかれたビルのオフィス。
そうなると将棋も五目並べも御禁制で、
一時は土曜になると
競馬なんかで人気を集めたが、
これもキッパリ打ち切って
ステテコに腹巻き姿の商店街の、
おっちゃんなんかも近寄れなくなった。

なんとなく
昔のほうがよかったみたいに思うのは
筆者の時代感覚のズレであろうか。

脇田の阿竹寿夫専務は
『千丁押しが入ると見て利食いをすすめた。
なぜ千丁押すかといえば、
やや熱狂し踏みも出た。
また、ここに来て
人気が非常に強くなっているからだ。
押して三、五百円と誰もが思うようになった。
しかも十人か九人まで
押し目買い方針になっている。
手の悪かった人までが買い気を出している。
異常天候についても
テレビなどでとりあげるから
相場関係者以外の人まで
小豆相場に関心を強めている。
私は大勢的には
終局二万五千円目標の
超強気方針でよいと思うが、
場についているもの
(毎節相場に接することの出来る人間)としては、
二千丁も利の乗った玉は利食いをすすめ、
深い押しありと見れば
売りをすすめるのは当然だ。
弱気ではないが、
買いたい弱気とでも言いますか』。

筆者は、そんなに押さないと見る。
ここで千円棒が入ると、
この相場、やり直しになる。
今の環境を見ると、
やり直しが聞くほど時間的なゆとりがない。
行け行けムードだ。
阿竹氏は少し〝上手しすぎる〟のではないか。
巧者、あるいは玄人筋は
見える時は徹底して見える。
しかし上手しすぎると、
青龍刀みたいな鈍器で
冴えわたる細身の名刀も折られてしまう

大相場は、運・鈍・根。まかり通る式。

相場には、なんら反落の兆候もない。
仮りに深押しありとしても七百円弱。
東京先限で新値抜け三段は黒にならない。

この相場は巨大でありすぎるから
正体が掴みきれないのである。

●編集部注 
 鈍も、根も、運次第のところがある。

【昭和四九年二月二二日小豆七月限大阪一万六三七〇円・七〇円安/東京一万六二七〇円・四〇円安】

警戒心が強い だから天井せず (2016.02.26)

昭和の風林史(昭和四九年二月二二日掲載分)
大きくふくれあがった富士商品の売り玉が
壮烈に踏んでくるまでは、
この相場の基調不変。
「此村を出でばやと思ふ畦を焼く 虚子」

>>続きを読む

上伸に加速度 三千円ひと相場 (2016.02.25)

昭和の風林史(昭和四九年二月二一日掲載分)
相場の基調は依然として強い。
上昇エネルギーが爆発しよう。
若い相場の大直り途上と見る。
「春泥や夕暮すこし冴え返り 余子」

昔まだ小豆相場が
今ほど大衆化していなかったころ、
笹川某が小豆相場に手を出して
非情に大きく曲がっていたもので、
曲がるのも当然、小豆を買う時は、
北海道農民、生産者のため、
安い小豆を放置しておけないから買うのだ
―という。

逆に売り方に回ると
手の平を返したように
消費者のために売るのだ―と、
必ず屁理屈がついた。

筆者は、阿呆かいな―といつも思っていた。
農民のためだとか、消費者のためだとか、
いい格好つけて曲がって
損していたら世話はない。

本来、相場するのは
手前が儲けたいがためにするのである。
だから
政治家とか右翼とかいう種族は嫌いだ。
なにかと言えば国家のため、
国民のためと、わめき騒ぐ。

今の小豆相場を、
それに似たような〝おっちょこちょい〟が
弱気していると専らの噂。
親分筋に似て物価抑制のためとか、
消費者のために売るのだ―と言いかねない。

この相場、下がると思えば黙って売ればよい。
いちいち
屁のつっぱりにもならぬ屁理屈を垂れる必要はない。
選挙が近づくと商品相場にも
種族の変わった思惑玉が出る。
選挙資金を稼ごうというわけだが、
相場は
先生方が考えているほど簡単ではない。

週刊朝日に連載していた松本清張氏の小豆相場の小説を
光文社のカッパ・ブックスから
〝告訴せず〟の書名で広告している。

広告文には
〝商品取引の実態を暴きつつ悪の断面を鋭く剔出する…〟
とある。
松本清張氏は東京穀物に数回取材に来ていた。

昔、〝赤ダイヤ〟という小説が
テレビドラマとなり、映画にもなった。

この小説やテレビのお陰で
小豆市場が全国的にPRされ、
大衆化の一役を担った。
松本清張氏の小豆相場を題材にした小説が、
どのような影響を与えるか関心が持たれる。

相場のほうは五千円を素通り、
六千円を突き抜けて
勢いをまだ出しきっていない。
場所としては三分の二戻しの急所にさしかかる。
警戒人気は強いが、
それだけに上値を残している。
相場の基調を見る限り強気一貫のところ。

●編集部註
 選挙資金捻出のために
株や商品が大きく動く話は、
平成の御世でもまことしやかに囁かれていた。
 真相は、闇の中である。
 この記事が掲載された翌年の二月。
「告訴せず」は青島幸男主演で映画化。
この作品、今でもDVDで観る事が出来る。

【昭和四九年二月二十日小豆七月限大阪一万六三五〇円・四〇円安/東京一万六一二〇円・一三〇円安】