証券ビュー

森羅万象

なまくら小豆を敬遠 手亡古品限月で勝負 (2016.07.19)

昭和の風林史 (昭和四九年七月十七日掲載分)
天井打たず底打たず
なまくら小豆に嫌気して、
凶作決定的な手亡なら
サヤのある古品限月を買う。
「千早ふる神代の石や鮓の石 草城」
小豆は九千円中心の相場が続いている。
市場は閑だ。
手亡に期待がかけられているが、
こちらのほうも充満した熱気
というものは感じられない。

お客さんは、売っているのか、
買っているのか。
A社・大手の顧客が
小豆と手亡を買っているが、
一般マバラ筋は売ったままだ。
B社・小豆は両建てが多い。
手亡は買いにくいようで手を出さない。
C社・顧客筋は小豆を弱気している。
売って引かされた格好。
D社・小豆の期近限月の
高値掴み玉がそのままだ。
手亡は先日の叩き込みでチャブついた。
店によって違うが、
全般的に小豆は値ごろ観が気になるのか。
強気しにくいようだ。

いまとなっては手亡の決定的な凶作
(強気する人は二分作という)で
早晩手亡相場は小豆とクロスするだろう。
品質のよい手亡の古品に
長期思惑的手当が見られるのも
当然の成り行きである。

線型から言っても
手亡の七月限の一万三千四百六十円抜けは
一万四千三百円→一万五千二百円を
指向していて暴騰含み型。

七限で時間切れなら八限、九限で
一万五千円抜けが展開されることであろう。
すでに手亡九月限は
一代の高値一万五千四十円抜けは
時間の問題である。
新穀二本が買いづらい水準であれば
八、九限の買いが判りやすい投機だ。
小豆の古品と違って手亡の古品在庫は少ない。
また新旧のサヤ開きが当先四千三百円もある。
必ずや新旧のサヤは詰まるだろう。
現物を持つつもりで
八、九、十限手亡を買ってみるのも
方法である。

それにしても小豆のほうは
輸入発券を控えて気が重い。
古品在庫の圧迫。
長梅雨による需要不振。
高値買いつきの内部要因。

小豆も不発だろうが、
凶作に買いなし
―の相場になろうという見方が
出るのも今の市場環境から言えば、
うなずける。

まさしく天井打たず底打たず、
中途半端で持ちも下げもならない。
〝なまくら〟小豆とでもいうべきか。
やはりそうなると
手亡で勝負してみようとなる。

●編集部註
 ハッキリ言うと
展開が読みにくい場面である。
良く判らない時は
様子見するのが一番である。
ただ相場記事はそうは行かぬ。
何らかの文章は載せなければならぬ。
じりじりとした心理が
行間に表れている。

【昭和四九年七月十七日小豆十二月限大阪一万九〇五〇円・一七〇円高/東京一万九〇五〇円・二一〇円高】

ノーモア煉獄の虐殺 手亡張り付け天井か (2016.07.15)

昭和の風林史 (昭和四九年七月十六日掲載分)
―市場管理の仕方に万人の神経が集中―

きょうも東穀のドームから
フランチェスカのチャイムがなる。
ノーモア40年小豆の祈願を込めて。
「業苦よび起す未明の風鈴は 波郷」

手亡が出ていく小豆が残る。
残る小豆が恨めしい。
手亡の凶作は、ほぼ決定的である。
値が残っているうちに買い玉を
建てておこう―と、期近限月も買われだした。
規制が強化されるだろうし、
最終的には上限値制限か、
新規売買の停止という場面か、
過去の市場管理の仕方なら充分に予想出来る。

この場合、自社株、即ち懐玉が、
どういうポジションにあるかによって、
これまでは、規制の仕方がいろいろ違った。
現在は、懐玉が制限されているため、
『客に買われて、上値無制限では店が食われる』
―という事などあるまい。
穀物市場が信頼されていない大きな原因が、
これまでのデタラメな市場管理の仕方にあった事は
万人認めるところである。
筆者は、事あるごとにそれを攻撃してきた。

懐玉が買われている時
(店が顧客の買いに対して
売りポジションになっている時)は、
早々と規制して自粛の名のもとに
上限値を決めてしまう。
その逆の時(
顧客が売りポジションで店が買っている時)は
規制のテンポがゆるく、
張り付け(天井)にしないで
踏みを充分に取っていくやり方。
業界の一部のボスによる〝きたない手〟が、
まかり通った時代があった。

誤解のないように言うが現在は、
自社玉が規制されているから、
そのような事は、恐らく無いと思う。
しかし時々、自社玉規制反対という声を聞く。
自社玉は顧客のためになるという理論は、
あれは真赤な嘘だ―とは言わないが、
昭和四十五年東穀二・一八小豆のハプニングや、
四十三年東穀三月限手亡〝夕方の納会〟。
昭和四十年四月十六日小豆立ち会い停止など、
時の理事長、理事者、市場管理人等
一部のボスによる〝虐殺〟の歴史が
人々の頭から抜けきれない。

そうなのだ。
北海道冷害凶作年の仕手戦は、
煉獄の中の虐殺であった。
なぜ東京穀物商品取引所の
立ち合い場フロアのドームから
フランチェスカの鐘を鳴らすのかといえば、
ノーモア40年小豆、ノーモア45年
二・一八事件と切なる祈願を込め、
燦(さん)と散った犠牲者の冥福を祈るためだと思う。
関係者一同は波乱気味の市場管理に心されたい。

●編集部註
昭和歌謡記述が続く。
フランチェスカの鐘は
広島の原爆への鎮魂歌として知られる。

この時の相場とこの唄と
何かが重なって見えたのだろう。

【昭和四九年七月十五日小豆十二月限大阪一万八八八〇円・一〇〇円安/東京一万八八四〇円・一一〇円安】

天井打たず底打たず 煙も見えず雲もなし (2016.07.14)

昭和の風林史 (昭和四九年七月十五日掲載分)
―今週は小豆艦隊いよいよ出動―
アカシヤの雨に打たれて畠が冷えている。
今週は、きっと小豆艦隊も出動しよう。
「夏川の砂さだめなき流れ筋 蛇笏」

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崩落歓迎気分 灰汁抜きが必要 (2016.07.13)

昭和の風林史 (昭和四九年七月十一日掲載分)
頭づかえながら一度下げておいて、
それから出直せばよい。
当面安い事は楽しみを先に伸ばす事だ。
「ひるがほや川となり又みちとなる 蚊杖」

商品市場全般に参院選の〝後遺症〟

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短期間の整理 大勢的な押し目 (2016.07.12)

昭和の風林史 (昭和四九年七月十日掲載分)  
天候と今夜の作柄次第であるが、
整理に入った相場は
早ければ十五日以降に反発しよう。
「蚊ばしらや眉のほとりの空あかり 蛇笏」
小豆二万円の壁は厚い。
いずれは、あり得る値段ではあろうが、
今の時点で二万円は抵抗感が強い。
台風八号が
北海道に上陸しそうな進路をとったため
連休明けは寄り付きを買ったけれど、
大手買い方は、すかさず利食いしたため
燃えかけた火は消えた。

考えてみれば一万九千円という水準は、
次のようなすべての要因が織り込まれている。
①作柄の悪さ。
②天候不順。
③生産者コストと流通費用の高騰。
④諸物価、特に米価との比較観。
⑤仕手筋の介在と、長期思惑の投機家の存在。
⑥先行きの天候不順と作況低下予想。
⑦市場内部要因。
⑧輸入発券。そして古品の在庫圧迫と実需不振。
⑨新・旧穀間のサヤと小豆・手亡間のサヤ。
考えられるすべての要素を織り込んでの
一万九千円である。

旧穀期近限月の〝七月もの〟一万六千五百円。
目下のところ、これ以上のモノでない
―ということを
過去五カ月を通じ念を押してきた。
先限をタレント化して人気を集め、
牽引車の役割で煽り立てても、
旧穀四月限の腰は重たい。

相場というものは、
買っても買っても騰がらない時がある。
熟していないのである。

平年作は
期待できないであろう新穀の限月だが
一万九千円は十分に買った値段である
という事を証明した。

そこで、相場というものは、
買いすぎたシコリをほぐすための
整理に入って休養する。

高値から千円押し地点。
一万八千三百円あたりが
押し目の限界ではなかろうか。
早ければ今週末。
遅くとも来週あたりから
整理を済ませた相場は、再び二万円に挑戦しよう。

しかし、もし産地の天候が今後順調で、
高温多照となれば、
七月八日の高値が当分の天井となり得ることも
考慮しておかなければならない。

去年の大天井が七月の13日。
値段も大阪一万九千三百円台であった。
なんとなく嫌な感じがしないでもないが、
すべては今後の天候の推移にある。
大幅安は買い場になろう。

 ●編集部注
このあたりが買い場であった、
という事を当事者は後になって知る事になる。

 逆張りは、口だけなら何とでも言える。
実際にやると、己の堪え性の有無が良く分る。
大抵は手酷い目に遭う事で…。

【昭和四九年七月九日小豆十二月限大阪一万八八四〇円・七〇円高/東京一万八七五〇円・四〇円高】