証券ビュー

森羅万象

未だ天井せず 逆襲強烈ならん (2016.08.02)

昭和の風林史 (昭和四九年七月三十日掲載分)
ここで押すことにより相場の寿命は先に伸びる。
そしてスケールも大きくなる。
未だ天井せず。
「ゴム草履はき捨ててあり月見草 惣一」

>>続きを読む

「これよりの百日草の花一つ たかし」 (2016.08.01)

昭和の風林史 (昭和四九年七月二十九日掲載分)

買いあるのみ 作柄と相場は別
手亡は行く所まで行かざるを得ん。
小豆は押し目を入れたあと大幅高騰を演じよう。
強気不変。
「これよりの百日草の花一つ たかし」

山大商事の杉山重光社長と同社の関口営業部長。
そして脇田の阿竹専務が
『バカンスだよ。ゴルフやりに来たのだよ。
豆の畠は、そんなに回っちゃいないよ』
―と帯広の北海道明治の鈴木社長のところで
週末朝の相場を眺めていた。

杉山氏は『この五、六日で作柄は直っている。
手亡だって内地では下が赤くなり
もう駄目だ―なんて言っているが冗談じゃないよ。
花もつき始めたし作は直っているよ。
日曜日は釧路でゴルフさ。
きのう(26日)もゴルフよ。
駄目だよ強気なんて書いたら』。

阿竹氏は『中間地帯は見ていないが
日々作柄はよくなっている』―と。

丸五商事の伊藤徳三社長の自宅には
早朝から産地の各場所の農家や業者から
作柄のレポートがはいる。
『どうなんだろうね。中間地帯の旱ばつも
心配することはないと言ってくるし、
帯広も徐々に回復していると報告があった。
場所場所で随分違っている』―。

産地視察がこれから活発になる。
豆の畠を土煙りあげてバラスをはじき
突っ走っている車は顔なじみがぶつかる。
やあ来ていたのですか?。
そこで情報の交換がある。
また行った先で、どこそこの誰がきのう来ました
―などと言われる。
どうも変な臭いがすると思ったなどと
気心の知れた相場師仲間は軽い悪口を叩きあって
胸の内は、それぞれ思惑を秘め、
強気している人は悪い場所の印象を刻み込み、
弱気している人は直った直ったと気をよくするわけだ。

相場が当たっている時は(見えている時は)
産地を見てはいけないと言われる。
畠を見たがため、相場勘が狂ってしまうことがある。

46年10月相場は、
すでに相場が天井しているのに
増山さんは凶作の畠を眺めて
さらに強気になって逃げ場を失った。

どうやら杉山元帥の一行は
弱気していたが相場が高い。
面白くねえ、というので半ば気が持てず
畠を見に来たが、作が直りつつあるのに
気をよくしたところではなかろうか。
そこで勢いに乗って売り玉を増やしてくると
若い相場は押し目完了で再び火を噴くことだろう。

作柄の相場は時にして別の動きをするものだ。
筆者は強気方針でよいと判断している。

●編集部註 
貴重な生の声である。 

冒頭、歴史上の相場師が
実際に「休むも相場」を思考し、
実行している場面が描写されている。

【昭和四九年七月二七日小豆十二月限大阪一万九四八〇円・一七〇円安/東京一万九五三〇円・一四〇円安】

火柱高もある 日柄の若い相場 (2016.07.29)

昭和の風林史 (昭和四九年七月二十七日掲載分)
手亡の新規買いは、ゆっくり間に合う。
小豆も今始まったばかりの若い相場だ。S高含み。
「百日紅この叔父死せば来ぬ家か 林火」

大阪穀取が天神祭で後場休会しているあいだに
他市場の相場が走った。
隔週週休二日制になって、
取引所は地域社会のお祭りでも休会しないようになったが、
大穀は伝統を重んじる。
人は感覚がズレていると評する。
阿波座の、ぬるま湯のよさであり悪さであろう。

東京小豆先限は
昨年七月13日の天井値段を買い切ってしまった。
あとは46年10月七日の〝増山相場〟の
大天井値段(東京)二万一千三百六十円があるだけだ。
市場では二万円を付けたら押すと見ている。
深く押すか、浅く押すかであるが、
ものの千円は下げきれないから、
二万円乗せの後の惜しめは、
売り方はドテン買いの最後のチャンスだし、
買い方は利食い後の再度の仕込み場になる。
見ていると利食い足が早くなっている。

踏みも出ているが、このほうは、
まだまあ総煎(い)れにはならない。
二万円を付けたあとの相場は、
ピッチが早くなるだろう。
二万一千円→二万三千円は修羅場である。
売り方は千千(ちぢ)に乱れる。

相場が沸騰しているのは
日本の穀物市場だけではない。
ロンドンの砂糖取引所はストップ高で
史上最高値を突き抜いて湧いている。
シカゴもニューヨークも熱狂している。

手亡は第一次の規制(増し証)で
いよいよ判り易い相場になった。
まだ間に合うから飛び乗り充分だ。
手亡の二万三千円は見えているから、
仮りに崩れたり(あり得ないが)利食い押しや、
警戒人気で安ければ涼しい顔でもよいし、
ニヒルな顔でもよいから買う事。

小豆の玄人筋は呻吟している。
新値、新値は踏み、踏み、踏む、踏むである。
日柄、日柄と弱気筋はよく言うが、
それは不運なわが建て玉が可愛いから
(不憫な子ほど可愛い)
日柄の目数(かず)を読むのに
遠いところから読み込んで自分を慰めているわけだ。

筆者は、この小豆、若い相場と見る。
一カ月のダンゴ六月28日と七月8日の高値を
付き抜けたところからが相場で、
十月限は五月一日の七千六百九十円抜けから買っても、
千五百円幅は取れるし、九月限も成り行き買いだ。

●編集部註
やめろと言われても
今では遅すぎた

私事ながら通勤中にラジオを聴く。
先日、昭和四九年七月のヒットチャ ートが特集されていた。
西条秀樹の『激しい恋』はこの月のヒット曲だ。

【昭和四九年七月二六日小豆十二月限大阪一万九六五〇円・六〇円安/東京一万九六七〇円・一四〇円安】

想像を絶する 大相場展開せん (2016.07.28)

昭和の風林史 (昭和四九年七月二十六日掲載分)
値ごろ観も強弱も作柄も必要のない小豆、手亡の相場だ。
手亡は押し目買い。小豆は強烈強気。
北海道誠和商品の手亡の買い建て玉が注目されている。
当初小豆を強気していたものを
手亡の証拠金が下がった時点で小豆から手亡に乗り換え、
あと利食いしては建て玉をふやしてきたものだ。
一人、二人という特定のお客ではなく、
数名の当たり屋さんらしい。

相場の世界では当たり屋につけ、
曲がり屋に向えといわれる。

>>続きを読む

新規買い安全 充分間に合う!! (2016.07.27)

昭和の風林史 (昭和四九年七月二十五日掲載分)
ここからが相場だ。下がらない相場。
狂乱沸騰の場面が控えている。充分間に合うのだ。
「ペンキ屋の仕事音なし日のさかり 波津女」
中井幸太郎氏は『これだよ、
千島列島から張り出している冷たい高気圧。
これが昔東北地方の娘が
泣く泣く売られていった冷害の元凶だ。
今年は無気味だね。冷たい夏よ。
居座っているじゃないか』。

手亡戦線で大勝利を得た
と評判の阿波座の乙部幸一郎氏は
『一カ月のモミ合いダンゴを突き抜けたのだから
二万円、二万一千円の小豆になっても
変だとは思わない。
売りたい人は二万円抜けから、九月天井と見て
売り上がるしかないだろう。
まあ今、来月は売りに勝ち目はないな』。

小豆の玄人筋が強気になれず、
暴落を狙おうとして弱いのは
〝早過ぎた強気〟が原因ではなかろうか。

七、八、九月限が先物時代のころから強気して
〝強すぎる強気〟を続け、しびれが切れている。
世の中、皮肉に出来ていて、
そういう〝早すぎた強気〟の玉が投げたり、
弱気に回った時分から相場は言う事を聞きだした。

玄人筋の見方は間違っていなかったのだが
タイミング即ち〝間〟がとれなかった。
ええい、ままよ、それじゃ崩れを狙え
―となるわけで、
高々上があっても二万一千円。
下げの方が幅が大きい
―と、去年の夏の終わりから秋口にかけての
大暴落を夢に見るのだ。

相場は(大阪で)七月限が六千九百五十円。
八月限が七千三百五十円。
九月限の七千六百四十円を抜くようなことになると、
それから市場が割れるような
沸騰場面が到来して新穀二本は二万一千円である。

問題は、店の懐は総体に買われているこの大衆の
買い玉が利食いに向かったあとどうなるか。
時と場合では、
それから玄人が強気に転換するのではないか。そ
うなれば二万一千円では止まらず二万五千円だ。

目下のところ作況は全道平均七分作。
帯広は、だいたいあきらめムード。
中間地帯に弱気は期待しているが、先はまだ長い。
線型は12月限の二万円丁度と
二万七百三十円が目標の急所になっている。

警戒心強く利食いが早いだけに
買いはまだ間に合うスケールの大きい相場だ。
暴落を怖がっている必要はない。これからが相場だ。

●編集部註
 強気相場はつまらないくらいが丁度良い。
そう判るまで時間がかかる。

 罫線にまみれて暮らす事で実感する真理。
得てして吹き上がる相場は長続きしない。
そう判っていても曲がる悲しみ。

【昭和四九年七月二四日小豆十二月限大阪一万九四四〇円・一六〇円安/東京一万九四〇〇円・一八〇円安】