証券ビュー

森羅万象

「地の底にあるもろもろや春を待つ」 たかし (2017.02.07)

昭和の風林史(昭和五十年二月三日掲載分) 
七月限嬶質買い 五千丁利が乗る
七月限の小豆、手亡買いは、この限月が前に回る時を思うと
五千丁替えの利益を手にしたようなもの。
「地の底にあるもろもろや春を待つ たかし」
怖いもの見たさという言葉もあるように
相場も怖い動きをする手亡のほうに人気が集まる。
一月28日の叩き込みを瞬間的安値としての斬り返しは、
まさに天災期における動きにも似た激しさであった。
人気が集中している証拠である。
一万四千円乗せから四千七百円あたりまでは、
これは安値を売った反動。
即ち孫子兵法でいう勢いである。
〝勝を見ること衆人の知る所に過ぎざるは善の善なるものに非ざるなり。
戦い勝って天下善しと曰うは善の善なるものに非ず。
故に秋豪を挙ぐるは多力となさず。日月を見るは明目となさず。
雷霆を聞くは聡耳となさず。
いにしえの所謂善く戦う者は勝ちやすきに勝つなり〟―。

悪戦苦闘して勝ったり、世の人々がほめたたえるような勝ち方は、
善の善ではない。
本当の勝ちは楽に勝つことで、兵法家はそういう勝ち方をしなければ意味がない。
手亡の一万三千円どころ。これを買えば下値の心配はない。
そして千円幅は楽に取れる。
こういうところを買わなければ相場する資格はないのである。
そこで、これからの動きであるが、
先限七月限が一万四千七百円を抜くと二、三月大波乱相場の幕開けだ。
六月限の四千五百円抜けは踏みも出ようし利食いもはいろう。
そこで三百円押しがあって、その押しを、はね返してくれば、
もう千丁の上値、六月限で一万五千四、五百円があるはずだ。
人気の動向から言って、手亡相場は五千円台に乗せてからが
本来の穀物相場らしい動きをするのだ。
小豆はどうか。
一月17日の高値を31日抜いたことは、重要なことがらである。
押し目幅六百円の倍返し(六月限で)一万七千八百九十円。
もとより七月限の八千円抜けである。
先限で七千八百円を抜くと、これは去年の八月20日以来の高値になる。
二月というこの月に、早くもそのような動きに走れば、
大投機時代の到来で人人が考えもしない凄い相場になるだろう。
七月限買いは勝ちやすきに勝つ方法だ。
●編集部註
 文中に孫子の兵法が登場するが、昭和五十年二月といえば、
司馬遼太郎が昭和四八年から読売新聞で連載をしていた小説
「播磨灘物語」が大団円を迎えた月でもある。 
 戦国時代の名軍師、黒田官兵衛の生涯を描いたこの小説は、
同年六月に書籍化されるとたちまちベストセラーとなった。
【昭和五十年二月一日・休場】

新値抜けてこそ火柱が立つ これからが相場 (2017.02.06)

昭和の風林史(昭和五十年二月一日掲載分) 
底値圏脱出! これからが相場
政府の不況対策本格化。
大きな思惑が穀物市場を包み始めた。
手亡に火柱が立ち、小豆も燃える。
こんどは売り方が唖然とする番である。
人気が燃え、投機の歯車が回転し始めたと見るや、
早くも年初来の高値奪回を目指す姿だ。

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地にひそむ龍 雨雲を待つ姿だ (2017.02.03)

昭和の風林史(昭和五十年一月三一日掲載分)
地にひそむ龍 雨雲を待つ姿だ
小豆は地にひそむ龍である。
必ず雲を得て天駈けゆかん。
そのエネルギーは充分に出来ている。
「早春の門こしぬれ朝のあめ 貞」

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「ふつふつと粥わく音や水仙花」 碧梧桐 (2017.02.02)

昭和の風林史(昭和五十年一月三十日掲載分) 
手亡沸騰含み 小豆晩成型
手亡の相場は沸騰したがっている。
S高含みともいえる。小豆は大器晩成型の大相場を暗示。
「ふつふつと粥わく音や水仙花 碧梧桐」 

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strong>投機の車軸が 大回転するのだ (2017.02.01)

昭和の風林史(昭和五十年一月二九日掲載分) 
投機の車軸が 大回転するのだ
投機の車軸が大回転しだせば
ピーであろうと手亡であろうと豆から火が吹く。
小豆だってそうだ。
「鶯や薮の中には去年の雪 子規」
小豆相場を見ていると、下げていくという感じは受けない。
手亡が(ピービーンズが)足を引っ張らなければ
50万俵のタナ上げで舞い上がった相場である。
考えてみれば、いま小豆が手亡に引っ張られていることが、
先に行って大相場を展開させる原動力になるように思う。
大器晩成型とでもいうか。
作付け面積の大幅な減反。これは見えている。
従って生産者も天災期の大相場を狙って現物を抱いている。
天佑を保有し現物を保有するのである。
思えば昨年七月の一万九千円台の相場。
あの時でさえ生産者は大挙して売らなかった。
ということは、小豆の流通機構が昔と違って
変革していることもあろうが、
生産者は、懐にゆとりが出来、
気に入る値が出るまで換金を急がない。
ホクレンの50万俵タナ上げもさることながら、
生産者の換金を急がない現実は、
ゆうに50万俵以上の実質的なタナ上げといえよう。
俵は幾万ありとてもそのうちの
百万俵が凍結されている現状を見ると、
消費地は、どこかで極端な品ガスレをきたすだろう。
早や二月。七月限は天災期の限月である。
天候相場は、つい先ごろ終わったような気がするが、
月日の経つのは早いものでもう天災期限月が建つ。
目先的に、先限の17日の高値(大阪七千二百九十円)を
抜けば、倍返し七千九百円の相場である。
新値一本、二本、三本と押して
23日寄りで押し目を終わり、再び疾走の態勢にある。
この事は、手亡と言うお隣りの相場を気にしながらも、
小豆は小豆という自尊心を小豆が持とうとしているあらわれで、
そうだ、Pがなにさ。手亡がなにさ。
小豆は相場の花形じゃないか。
歩兵の本領は散兵戦、散兵戦の花は機関銃。
小豆の本領は天候相場。
手亡にしてもピービーンズを渡されたら
処分出来ないなどというが、
投機の車輪が大回転しだせば、
手亡だろうとピービーンズだろうと証券は証券で、
株券のつもりで、掴んだピーはすぐに
次の手に渡してしまえばよいわけだ。
遠い先に行けばいざ知らず、
相場はこれからという時にグズグズするなといいたい。
●編集部註
 一騎駆けは合戦の華。 
しかし、相手が風車だとドンキホーテとなる。
 勝負時と撃柝一声。
されど後陣が続かなければ、悲しい結末が待っている。
【昭和五十年一月二八日小豆
大阪一万六九一〇円・二〇円高/
東京一万六九五〇円・三〇円安】