1、2Q誤算 武蔵精密 11月20日 (2012.11.19)
3、4Q上方修正期待
計画通り設備投資220億円
武蔵精密工業(7220)は1、2Q誤算。採算が大幅に落ち込んだ。7、10月末の修正発表によるもので、持ち直した国内、北米にひきかえ、稼ぎ頭のアジア、南米がブレーキ。震災や洪水で動転した前期と逆になった。3、4Q国内、海外ともに景気減速が見込まれ通期でも下方修正している。しかし、前回述べたタイ第2工場5割増強(5億円)、インド南部新工場(39億円)、メキシコ中部同(24億円)など設備投資延べ220億円(前期181億円)計画通り。ピーク(06年3月期230億円)につぐもので、1980年米国進出から10年スパンの仕込みに見どころ。現に北米のミシガンがゼットエフ向けまとまった受注をモノにし、アイシン・インドネシアからトヨタの戦略車向け部品を受注。日産系でも予想以上の受注があった模様。10月末10件の新規案件を発表している。タイ、インド投資がパキスタン、バングラディッシュ、ミャンマーを視野。メキシコが北米と南米を結ぶ拠点。21世紀の市場といわれるアフリカにはホンダ(7267)に追随する意向。そのホンダが来年後半から上昇運だけに現在の仕込みが半年、1年後効いてくる。落ち込んでいる様子もない。2014、15年本格稼働を目指し世界中技術者育成が課題という。同社の場合、独創的な技術開発と一貫生産が特徴。来年1月メキシコ稼働を加味すると、国内の6生産拠点が海外12ヵ国18拠点のマザー工場。外注先を必要としないため付加価値が高い。4輪及び2輪車のシャフトやギア中心にエンジン、足回りの精密鍛造部品で傑出した存在。マイクロメートル(100万分の1)単位の加工がベース。それも現地のニーズにこたえる製品づくりが技術者の使命になっている。
2013年3月期(連結)は、売上高1260億円(0.6%増)、営業利益24億円(75%減)、経常利益15億円(86%減)、純益29億円(34%減)に見直した。配当40円(中間20円)の予定。タイ洪水に伴う保険金16億9000万円を含め28億2800万円を特益に計上。追加が見込まれる。3、4Qも計画を大幅に下回る見通し。一転、上方修正を期待したい。今後の展開も新興国がリード。ホンダが2輪車で圧倒しているブラジル、インドネシア、インドに活路。このうちブラジルが2014年ワールドカップ、16年夏季五輪を控え焦点。モノにすると4輪でも次のステップが考えられる。今年、来年整理整頓の年回りだけに投資一巡から見もの。航空機部品をルーツにミシン部品、自動車部品でも屈指の存在。4輪車がレシプロエンジンからHV、EV、FCV(燃料電池車)に転換する時がやってきた。現在開発中の電動ユニットを中心に次のステップも楽しみ。2018年(創業80年)が目安になる。