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企業レポート

混乱に揉まれ善戦  旭化学 10月23日  (2012.10.22)

潔く減収減益減配見通し

タイ稼働し連結100億円視野

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旭化学工業(7928)は一服。50周年の節目。正念場とみられる。9月以降尖閣国有化を巡り中国の反日抗議がエスカレート。尾を引いているためだ。自動車業界の生産調整によるもので、6億円投入し同月立ち上げたタイ子会社の人件費・償却負担も足かせ。今期潔く減収減益、7円減配の見通し。前回述べたように今年、来年調整運。タイが反転のエネルギーになりそうだ。前期(連結)は、4%増収、11%営業減益、7%経常減益、19%減益。計画を下回った。欧州信用不安長期化、記録的な円高、大震災の影響など混乱に揉まれたもので善戦。01年立ち上げた中国子会社が健闘している。公表通り15円配当(期末11円)を実施する。中国が連結売上高の46%、営業利益で65%を占めるだけに、今期の予想売上高24億円(前期29億円)がポイント。このほか日本32億円、タイ3900万円の見込み。いかにも慎重で周囲が悲観一色だけに上振れも考えられる。ちなみに、トヨタの50周年(1987年)。85年のプラザ合意を受けて大幅減益。記念行事を取り下げトヨタ病院開業にとどまった。同社の場合、リーマンショックを受けた09年8月期の連結売上高49億円、純益1億9500万円がボトム。翌期の実績をもとにその後3年中期見通しを発表したが、1年後に3年先の目標をクリア。前期踊り場にさしかかっていた。

2013年8月期(連結)は、売上高57億1000万円(11%減)、営業利益1億8000万円(48%減)、経常利益2億1000万円(41%減)、純益1億4000万円(46%減)の見通し。配当8円(中間4円)の予定。設備投資一巡からタイの売り上げが焦点。当初1、2億円だが、追って3、5億円に引き上げる模様。投資が中国並みだけに、10年後30億円レベル。マキタのタイ工場、トヨタのインドネシア工場に呼応する立地。懸案の連結売上高100億円が視野に入った。その点、杉浦社長(45)が手掛かり。中国を立ち上げた体験が生きるためで、今年後半から上昇運。来年一服するが再び上昇。今年を含め5年追い風が吹く。兵站が延びているのも事実で中国、タイ、国内も含め海外派遣社員、中堅管理者の育成が急務。心血を注いでいる。調整運をモノにして人材が育つと面白い。電動工具、自動車部品ともに国内最大手の品質をこなし3極体制が回り出す。22日402円(1株当たり純資産1274円)で引けたが、リーマンショック直後の安値261円に対し2番底圏と考えられる。

 

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