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企業レポート

社長より社員 矢作建設 9月5日 (2012.09.05)

世襲ストップ新体制
今、来期の仕込みで巻き返し

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矢作建設工業(1870)は巻き返し。転機を迎えた。4月8日前社長急逝によるもので、二人三脚だった藤本社長(59)中心に新体制。8月3日1Qを発表したが、中間、通期修正なし。一念発起、さばけた印象を受けた。前社長の遺志といわれるトップの世襲がストップ。オーナー経営を軌道修正。社長より社員、社内より顧客評価で動く体制にシフトしている。直近3期減益だけに、今、来期反転のきっかけが欲しいところ。ピタコラムが学校耐震を口火に先行し、木質系戸建てウッドピタが続くという第1波の踊り場。補修工学を通じて構造物の予防保全、長寿命化、総合メンテナンスに取り組むショーボンドHD(1414)を共通するものがある。ピタコラムがピークアウト(2011年3月期235億円)し、今期140億円(26%減)の見込み。これまで倍々ゲーム。震災後に首都圏の引き合い5倍というウッドピタ。それでも当面10億から20億円レベル。このため、「ラグナヒルズ」(名古屋)「バンベール ルフォン辰巳」(東京)などマンションが支援材料。今期の引渡延べ599戸(80%増)にのぼる計画。名古屋と首都圏中心に年平均300〜400戸持続的成長を見込んでいる。復興需要の本格化に際しパンウォールフィルウォール工法、ハイブリッドソイルミキサーなど低コスト、短工期、高品質な地盤改良を提案。土木でも防災分野の動きが目立つ。新体制になり、土木、建築、設計を集約し施工能力引き上げを図っている。1995年の阪神大震災が耐震補強事業立ち上げのきっかけ。3年後「外付け工法」を実用化し稼働施設に採用された。文科省が2015年までに小中学校耐震100%(今年度90%)を打ち出し拍車。08年に名古屋大学と共同開発したウッドピタで二の矢を放った。ピタコラムの学校耐震実績累計2500棟。都市部が一巡し地方が対象。今後、公共施設、集合住宅など一般の取り込みが焦点という。ウッドピタの物合、国内の未耐震1000万戸が潜在需要。首都圏をはじめ耐震補強相談会を各地で実施。補助金が支援材料だが、欧米債務危機、円高、消費税引き上げなど逆風も事実。反転は今、来期新体制の仕込みにかかっている。
2013年3月期(連結)は、売上高630億円(1%増)、営業利益20億円(35%減)、経常利益15億円(43%減)、純益9億円(30%減)の見通し。3円減配し11月配当(中間5円)の予定。15年後、JR東海の品川〜名古屋間リニア開通を目指して名駅再開発が動き出した。同社は名鉄が筆頭株主で地下、地質調査を実施。リニアと連動するインフラを受注する見込み。09年(60周年)を節目に次世代の転機半ば。今年後半から上昇運。来年一服し本格化。ビジネスチャンスを迎える。社長も安定運からステップアップ。ともに2、3年後上昇運。4日319円で引けたが、2、4Q切り返しが注目される。

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