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企業レポート

スケールアップ 医学生物 7月24日 (2012.07.23)

ポストゲノム具体化

国内と海外に独自の展開材料

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医学生物学研究所(4557・JQ)は堅調。徐々にスケールアップ。尻上がりになってきた。1年前述べたポストゲノムの初動。新本社、新社長、新会長もスタートダッシュ。前期から懸案具体化が目立つ。福島の子会社(G&Gサイエンス)が被災したものの、思ったより大震災の影響が小さく、渦中の同社が大腸がん・KRAS(ケイラス)遺伝子変異検査薬で収益貢献。99年住金から事業継承し一皮むけた印象。このほか子宮頸がん・HPVもあり材料豊富という。得意の自己免疫疾患検査薬が医療費抑制と円高に伴う海外企業の参入で競合激化の折り、血漿蛋白定量試薬、多発性骨髄腫の検査薬フリーライト、抗p53抗体検査試薬の需要増による腫瘍マーカーなど二ケタの高い伸び。さらに一つ上市が見込まれるという。がんワクチンは国内外で次世代がん治療薬として注目され、盛んに研究開発が行われている。がんワクチンが製造承認、保険適用されると、がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導できているかを確認するツールとしてテトラマー試薬の需要が伸びる見込み。伸びるといえば、昨年9月以降発売された「ステイシア MEBLuxテスト」シリーズ。現在3項目体外診断用医薬品の製造販売認証を取得し保険適用になったが、今後9項目追加し、最終的には25項目ラインナップする予定。さらに、検体ラック自動供給装置を連結。約3時間連続稼働と自動再検査機能を装備。600検体、1000テスト測定できるシステムを準備中。自己免疫疾患やがんの検査で圧倒する構えだ。一方、4月20日臨床検査薬の代理店契約を結んだ中国バイオ最大手子会社、2つの米国子会社を結ぶグローバル構想も逐一具体化。中国の場合新年度1億円レベルとみられるが、米国子会社BIONが開発・製造拠点といわれ、米中相手にどんなビジネスになるか楽しみだ。まだある。治療用抗体の開発。ポストゲノムの本命であり、現在がんに有望なターゲットEGFファミリーEGFRファミリーに絞り多種類の抗体を作製。案件三つ製薬メーカーに導出交渉が進んでいる。まとまれば、同社にとって初の抗体医薬品誕生に道筋。提携先も話題になりそうだ。

2013年3月期(連結)は、売上高70億5400万円(7.5%増)、営業利益3億9100万円(3%増)、経常利益3億800万円(横ばい)、純益1億9000万円(40%減)の見通し。配当は期末4円を据え置く予定。今後、米国と中国の子会社を通じて海外売上高の伸びが焦点。ステイシアもパンチのある材料で今、来期実績が出来るとしめたものだ。にもまして、治療用抗体導出となれば世界レベルの創薬誕生に期待がかかる。ちなみに、前期連結研究開発費12億円。売上高の18%に相当する。今年も昨年に続き上昇運。ポストゲノムの初動が伝わってきた。1Q結構厳しい模様だが、めいめい材料が具体化。懐妊期間も長いだけにスケールアップしている。

 

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