100年の足固め スズケン 7月18日 (2012.07.17)
ピッチ上がる巻き返し
1Qないし2Q発表で目星
スズケン(9987)は巻き返し。ピッチが上がりそうだ。7月9日発表した希望退職者募集が新たな手掛かり。前期連結営業赤字31億円(直前期43億円)計上した医薬品卸売事業の早期黒字転換、同定着が狙い。業界再編を受けて94年に上場以来4度目の募集だが、今度は単体と2つの子会社で500人程度。過去3度の合計に匹敵する規模。2期連続赤字で待ったなしだ。前回述べたように、経済合理性に基づき従来の総価方式から単品単価制に改めるもの。最近では一件ごと個別訪問で地道な努力を積み重ね逐一改善。1Q(8月3日)ないし2Qで目星がつきそうだ。今期は市場の伸び2.2〜2.5%に対し、グループ2.8%の見込み。薬価引き下げ平均6.25%、診療・介護報酬同時改定を加味したもので、11月に創業80年を迎える上で意気込みが違う。一方、大震災を教訓に昨年12月宮城物流センター稼働。非常用発電機、トレーサビリティ、安全・安心対策など入念なもので31億円投入。東北全域を対象に年商1100億円の能力という。ひたむきな被災地支援が評価された矢先に最高の装備。12月岡山を立ち上げると、全国9物流センター完成。安定供給のロジスティックスが出来上がる。これらネットワークを基盤に医薬品製造、保険薬局、医療関連サービスなど事業100年の足固め。ちなみに、医薬品製造事業。今期180億円(2.8%増)見込むセイブル錠をはじめ、SK-0403(DPP-4阻害剤)、SK-0503(黄斑浮腫治療薬)、FYX-051(高尿酸血症・痛風治療薬)に活路。上市に向けてパイプライン大詰め。踊り場に入った。同800億円(4.4%増)の保険薬局事業、同270億円(18.6%増)の医療関連サービス事業然り。縦割りでなく縦横、機動的な対応が見どころ。メーカーと医療機関のほか、製薬、薬局、介護など患者中心に現場を見直す経営に軌道修正した。前期36億円減損処理しアク抜け。今年安定運で来年後半から上昇運。踏ん張りどころだ。
2013年3月期(連結)は、売上高1兆9140億円(3%増)、営業利益120億円(59%増)、経常利益278億円(20%増)、純益160億円(99%増)の見通し。配当50円(中間25円)を据え置く予定。設備投資105億円(前期145億円)の計画。7月6日2783円まで戻し。5月9日の決算発表から2ヵ月で16%上伸。懸案の主力事業黒字転換を先取りしている。海外は延べ4年、中国上海の合併事業堅調。前期370億円レベルで2割成長という。面白いのが製薬。糖尿病治療に特化しており、患者が多く服用も長期にわたるためモノにすると大きい。介護ビジネスは駆け出し。昨年10月立ち上げた子会社エスケアメイト(東京・台東区)が鍵を握っている。異論もあるが、日本は医療のコストパフォーマンスが素晴らしいという。米国と比較し4割足らずのコストで4歳以上長い平均寿命。高齢化が進むほど負担の軽さがわかるという。きちんとした医療を受けられないと高齢化も進まない。