欧米デフレ日本インフレ モチベーション高い上場企業 (2012.05.31)
円ドル79円台、円ユーロ4ヵ月ぶり98円台の揺り戻し。日経平均8600円前後で売り買い痛み分け。引くに引けないようだ。黄金分割によるもので、借金又借りで相場を張るヘッジファンドもお手上げ。上がっても下がっても困るところにきた。6月17日ギリシャ再選挙も決め手にならず、やむなく相場が黄金分割で答えを出したわけだ。円ユーロを見ると、6日連続円高に振れ、目先10日目にあたる6月5日がポイント。ポスト・ギリシャを巡るもので、シカゴのユーロ先物買い戻しが転機と述べた。欧州は借りた者が勝ちの世界。諦めの悪い体質が特徴で、デフレを避けようと打つ手、打つ手が自分たちの首を絞める。早ければ31日のアイルランド国民投票で動揺。通貨統合失敗が明らかになるとみられ、「住専」グローバル版拡散。主要国もデフレに追い込まれ、ユーロ圏全体で財政のほか経常赤字も続く見込み。消費が稼ぎより多いわけで今年からツケが回ってくる。米国もアップルの株主還元発表とフェイスブック上場が借金経済のフィナーレ。第3次追加緩和でひたすら延命を図るが、ファニーとフレディの「住専」が足かせ。欧州と前後してデフレに入る。これに対し日本が面白い。「失われた20年」の間、猛烈な円高、デフレ、2度の大震災に見舞われながら前日述べた個人金融資産1400兆円、海外純資産250兆円、経常黒字を確保。政府債務1000兆円に対し同資産650兆円も見逃せない。今後欧米が恐慌になり類が及んでも一番長く持ちこたえられるはず。ドイツは域内16ヵ国の累積赤字が黒字の原資で、ユーロにとどまる限り金融支援せざるを得ない。日本は中国、韓国とも一線を画し身軽。昨年31年振り貿易赤字になったのも大震災、原発事故が主因。2月に日銀が追加緩和を表明し、インフレターゲット1%を掲げてデフレ解消宣言。4月に上乗せしたが、その後株安で往って来い。ギリシャ再選挙前14〜15日の政策決定会合に見どころ。19、20日FOMCだけになおさらだ。欧米がデフレに入る一方、日本だけインフレ。このベクトルが復活の手掛かり。不動産・株高につながるためだ。ユーロ崩壊に傾けば、ワンワールドを目指すグローバル・フォースもゲームオーバー。日本は持ち場、持ち場で最善を尽くし、震災復興、インフラ再構築、行財政改革など懸案に取り組めばいい。事実「失われた20年」に16人首相を入れ替え、大幅な需給ギャップを埋めるため公共投資でしのぎ、一貫して経常黒字を確保してきた。上場各社は延べ62兆円の現金ポジションを持ち復活に意欲。取材先でモチベーションが伝わってくる。円安になると利益が出る。株も上がるはずだ。
日経平均は23円安。引けにかけて持ち直し8633円。出来高16億2000万株、売買代金9400億円。値上がり658に対し値下がり868でまちまち。外資のポジション調整が尾を引いている。6月1日から円と人民元の直取引が始まるが、ドル交換に伴う手数料がなくなり、米国が見返りを要求するはず。上海がアジア最大の金融市場になるとすれば、アングロサクソンの介入なしに考えにくい。■■■(****)は逆三尊の底入れ。信用の投げ、現物の見切りを吸収しボトムアップ。治験III相入りした★★★-★★1の■■■■(****)とともに目を離せない。■■■■■(****)が29日、抗体医薬品「ポテリジオ」(白血病リンパ腫治療薬)を発表したが、ペプチドワクチンも射程圏にある。(了凡)