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新刊・書評

新刊紹介 5月2日 (2012.05.01)

借金1000兆円に騙されるな

暴落しない国債、不要な増税

小学館101新書 高橋洋一 本体700円

 

健全さ取り戻す第一歩

身をもって日本復活を提案

 

国債暴落を煽る「財務省ポチ学者」は、数字が読めないか、裏に意図がある輩だ!信用してはいけない。「さらば財務省!」(講談社・第7回山本七平賞)で頭角を表した高橋洋一(57)が日本国債暴落論を一刀両断。永田町、霞が関、メディアの既得権をばっさり。政府債務1000兆円に対し、同資産650兆円。CDS保証枠からトリプルAのフランスより高い市場評価。データをもとに「通説」を論破。自ら日本復活を提案している。東大理学部数学・経済学科卒。政策研究で博士号を取ったベースが、1980年旧大蔵省理財局勤務、プリンストン大学客員研究員でもバーナーキン現FRB議長の直接講義に生きた。その後小泉内閣の総務省補佐官、安部内閣の参事官など歴任。むしろ、官邸を出てバランス感覚に磨きがかかった。2月14日の日銀政策決定会合で追加緩和が出て4月7日第一刷。著者が第5章で震災をきっかけに身をもって日本の復活に具体的な発言をしている。前章の「増税と引き換えに議員歳費を削る」政府案を痛烈に批判し、日本経済最大のリスクと述べているところが呼び水。読者も意気投合して清々しい。政府、日銀はもちろん、国民のレベルでも健全さを取り戻す第一歩になる。