一流ブランド目指す セリア 11月14日 (2023.11.13)
足場固め新次元に対応
100均死守し縮小再生産に活路
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セリア(2782)は潮目。転換点の折り返し。逐一足場を固める。「新次元への対応」を巡るもので品質や機能、デザインなど先行したユニクロ、無印良品に次ぐもの。2022年4月オープンした銀座店の成功が新たな材料。100均のSPA(製造小売業)として一流ブランドを目指している。直近銀座に出店した価格均一ショップ4店舗に共通するもので、高価格帯を展開する最大手ダイソーと一線を画した展開。イオンのほかセブンイレブン、ファミマなど100均を取り込んだ新業態も登場しコロナ明けから人流回復、ペントアップ(待機)・インバウンド需要回復が焦点。2024~25年紆余曲折を経て円高に転換。反転が見込まれる。10月31日発表された4~9月期(非連結)によると、2.6%増収に対し23.2%営業減益。予想より減収に拘らず採算が改善した。10月も3.0%増収で損益比較的確り。すべて100円均一で仕切り、自動的に売れ筋を入れ替える発注支援システムが最大の手掛かり。在庫管理に不可欠でデータ分析が生命線。最近「ぬい活」がヒット。若者が好きなキャラクターのぬいぐるみを着せ替えるもので、1年でアイテム3倍、販売個数4倍。「推し活」も缶バッジやクリアファイルなど同2.4倍という。共同開発したメーカーから全量買い取り脱皮頻り。前回述べた「ウィリアム・モリス」のヒットと畑違いだ。毎年2万点の商品を3割見直しアップデート。日本の100均が抜群の品質といわれる所以。30年前100均のルーツを物語る中国浙江省の里(上海から南西300キロ)が「一帯一路」の影響で近年ヨーロッパ行きの貨物列車に切り替えた模様だ。国内が30年デフレから需給ギャップ解消を経てインフレ。海外は米中はじめ40年グローバル化の反動で「日本化」に向かうとみられ転換点。同社はライバルが高価格帯に移行する中で唯一100均を死守。拡大によらず縮小再生産に活路を見出した。コロナ禍にウクライナ・イスラエル危機で原材料や燃料、電力・輸送費など高騰する中、30年給料が上がらずストライキなしの国で経済を回す道理を実現したのが同社。なるほど、回転寿司やドン・キホーテ、ニトリなど似たような経緯。欲望の資本主義を棚に上げ、どんな低所得であれ一通りのものを供給できる日本独自のビジネス。同社も先頭集団にある。
2024年3月期(非連結)は、売上高2200億円(3.6%増)、営業利益129億円(16.5%減)、経常利益130億円(16.8%減)、純利益85億円(17.1%減)に見直した。配当70円(期末35円)を据え置く予定。設備投資68億円(前期65億8600万円)の計画。出店140(同132)。退店61(同43)の見込みだ。巣ごもり特需の剥落とコスト高が尾を引くものの、セルフレジ全店導入をはじめ一連の見直しで改良・改善を進めピンチをチャンスの走りにする構え。算命学によると、2024~25年地上に降りた天使。飛べない竜になる。「もっと大きくなりなさい」という。河合社長(56)は出番に備え呼吸を整える場面。人生に「休息」の二文字なし。世のため人のために働き、やがて巨万の富に恵まれる。27年人生最大のチャンスがやってくる。※1月31日発表予定の決算にご注目ください。