22、23年全開 セリア 3月29日 (2022.03.28)
他の追随を許さない
100円の価値最大限に引き出す
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セリア(2782・JQ)は一服。昨年11月から既存店4ヵ月連続前年割れ。年度末に新年度つかみどころがない。米金融引き締めやコロナ頭打ち、ウクライナ情勢の影響も考えられ中長期化。12期連続最高益を更新した矢先転機を迎えた。巣ごもり需要が一巡しエネルギー、原材料、物流費高騰、円安など世界レベルのインフレによるもの。業界大手が110円から1100円(税込み)まで5段階価格帯を引き上げ新業態に移行。同社のみ110円(同)均一。上げると負けだ。折も折、4月に最大手の旗艦店が銀座にオープン。渋谷、新宿に次ぐもので、同社も同月同5丁目「イグジットメルサ」出店の運び。2000年代にユニクロ、ドンキ・ホーテ、スシローなど銀座に店を構え退却しただけに試金石。22、23年踊り場と考えられる。バブル崩壊から30年余。GDPに賃金、物価も横ばいの日本で業界にとっても未曽有のことだ。
第3四半期(非連結)は、売上高1577億5100万円(5.1%増)、営業利益166億2000万円(3.2%増)、経常利益168億9500万円(4.5%増)、純利益114億0400万円(4.0%増)と概ね堅調。コロナ禍、大阪に続き東京サテライトオフィスに商品部スタッフを配置。複数出店や継続案件が見込まれる企業と連携、未出店地域の重点開拓やシステム活用に傾注。セルフレジ200超(昨年12月末131)を目指し全店で20億円の予算を組んだ。年末の繁忙期降雪に見舞われながら増益を確保。売上高営業利益率10.5%(前年同月10.7%)で業界ダントツだ。2004年リアルタイムPOSシステムを導入し飛躍的に伸びた。販売商品の約9割共同開発。店舗の販売データを共有し、過剰生産や在庫、コストなど事前に問題解消。店舗業務のシフト管理もデータを通して活用。販管費をコントロールしている。2年前、小売業全体の営業利益率が2.6%といわれ、業界トップも公表していない。主力購買層に相当する女性に特化。おしゃれで付加価値が高く来店客の7~8割占める。07年投入した「Color the days」がロングランでヒット。他の追随を許さない。「催事販売」をルーツに全国数十、数百といわれた100均事業者が現在大手4社。事実上2社に絞られた。来年、雌雄が決まるという。新年度、100円の価値を最大限引き出すのが狙い。多様化するニーズを捉える商品開発、戦略出店によるシェア拡大、オペレーション効率化が骨子。ミクロインフレでもマクロデフレ。日本の「失った30年」が世界に先行している。同社の場合、2003年の上場から20年。中長期、人口動態によるボーナス期。百貨店をはじめスーパー、ドラッグ、コンビニがたどった成長と一線を画しユニークな存在。22、23年にかかっている。
2022年3月期(非連結)は、売上高2130億円(6%増)、営業利益220億円(3.4%増)、経常利益同(3.0%増)、純利益150億円(1.9%増)と修正なし。5円増配し70円配当(期末35円)の予定。設備投資68億円(前期65億円)の計画。シェアの低い北関東や中国・四国地方等の出店が続き完成に程遠い。大垣市長が東大から日体大卒となり駆け出したのに似ている。社運にも22,23年エネルギー全開と出ている。※10月31日に発表予定の決算にご注目ください。