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企業レポート

持ち直す公算大 マキタ 3月15日 (2022.03.14)

ルーマニア工場健闘 
前期10年先の初動でピーク更新
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 マキタ(6586)は連結一服。4~12月期ピーク更新後一進一退。新年度正念場を迎える。丸2年コロナ、2月ウクライナ危機によるもので長期化懸念。3月からロシアデフォルトも視野に入った。同社にとって1935年旧ソ連向け発電機・モーター初輸出、2005年キエフ現地法人立ち上げ以来の巡り合わせ。今回ネガティブで2月25日以降安全を優先しキエフ営業停止に踏み切った。しかし、建築や建設などインフラ関連の需要が根強い上、開戦に伴う復興需要も予想以上。天災にも強い。遅かれ早かれ持ち直す公算大だ。4~12月期連結売上高累計によると、全体5468億3100万円(23.9%増)に対し、欧州が2615億5400万円(27.7%増)を占め47.8%。前期2827億2500万円(30.8%増)を更新する見込み。エネルギーや原材料、コンテナ高騰など一連の合理化に円安(期初予想1米ドル105円)もあり採算確保。何よりウクライナに隣接するルーマニアの工場が再生可能エネルギーを手掛かりに健闘。従業員約2000人無事という。00年中国昆山と並び稼働したもので、予断を許さないものの負けていない。05年リチウムイオン電池による充電式インパクトドライバー投入から国内外独走。電動工具がエンジンから充電式・コードレス切り替により高い伸び。市場が倍(約4兆円)といわれるOPE(園芸用工具)でもシェア2割に迫る勢い。改良・改善が進み世界の流れになった。同社のユーザーがプロ2位、トータルで4位につけ伸びしろが魅力。ともにトップを目指しているためだ。前回、15年(創業100年)を境に次の100年を巡る初動と述べた。10年後を先取りするもので、21年9月17日7050円の高値をつけた。16年1株を2株に分割し実質上場来高値を更新。半年後半値になっている。米利上げに引き締め、ウクライナ危機など織り込んだとみられ、駄目押し・とどめのポジション調整。年度末、新年度にかけて買い戻しが予想される。体制に拘らず需要拡大が続いているためだ。事実、コードレス掃除機。安く軽く丈夫でパワフル。ダイソンと肩を並べる売れ筋。10年たっても壊れない。世界で電動工具を酷使するプロのユーザーに「修理3日体制」が浸透。OPEにも広がっている。また、18Vのリチウムイオン電池2本使って36V仕様が可能になり、予備充電で同社の製品が全て動く仕組み。大半バッテリーバックの規格を共有し、直前までモーターを回したバッテリーでラジオ、ライト、スマホなど充電可能という。
 2022年3月期(連結)は、売上高7100億円(16.7%増)、営業利益900億円(1.7%増)、税引き前利益同(3.2%増)、純利益650億円(4.8%増)の見通し。昨年10月28日当時のもので慎重な構え。配当は第2四半期末10円に期末連結配当性向30%(前期計69円)が基準。後半懸念材料が多く設備投資も計画の750億円(償却162億円)を下回りそうだ。今後エンジンに匹敵する高出力充電機を搭載したOPEを続々投入。生産能力を引き上げる一方、中国に偏っていた分バランス調整。社運によると、22~23年踊り場で自分との戦い。人に頼らず正念場の原因を探り、神仏に恥ずかしくない行動を取るのが先決という。前期が10年先の初動。ピーク更新だけに今、来期締まると問題ない。中長期楽しみだ。※4月27日発表予定の決算にご注目ください。

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