新年度の反転先取り
コロナ踊り場に10年先の初動
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東洋電機(6655)は巻き返し。下期から次世代のオペレーション投入。10年先の初動に入った。従来ローリング方式の中期計画を単年度に改め、昨年6月役員人事をベースに40代中心の若手集団がリード。SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ受注・売上の確保、生産性向上と働き方改革など6項目に課題網羅。集中して取り組んでいる。半導体不足や物価高、ポストコロナに備えるもので、松尾社長(49)自らSDGsの推進室長。6月に社長就任丸10年。ベストメンバーとみられる。生活や産業に欠かせない電気制御メーカーとして機器、エンジニアリング、変圧器事業をコアに国内外5つの関連子会社と連携。大手が参入できないニッチな分野で高いシェアを持ち、今でも国内7割といわれるエレベーターセンサーが一例。情報を光に変える空間光伝送装置でも知られる。創業者の社是を70年以上引き継ぎ、社員のほか近隣住民に感謝を忘れずオープンな経営。最近、子会社のファシリティーサービス(保守・メンテナンス)が受けている。エレベーターセンサー自体年商10億円程度。大口によらず時代の小口ニーズにこたえるのが真骨頂だ。多様な研究開発に定評があり中長期宝の山。国内設備投資の推移によると、昨年4~6月期5.3%増、7~9月期1.2%増と持ち直した。在庫率も同9.3%、同9.4%に好転している。昨年までDX一辺倒のデジタル化に対し、アナログの巻き返しが伝えられるだけに反転の公算大。新年度を半年先取りしている。
2022年3月期は、連結売上高81億8500万円(5.4%増)、営業利益1億6300万円(74.5%増)、経常利益2億1300万円(2.2%増)、純利益1億4400万円(11.2%減)の計画。これに対し、23年3月期の連結売上高84億5200万円、営業利益2億6800万円、経常利益3億1500万円の見通し。24年3月期まで固定型の計画を組み、下期から次世代オペレーションに切り替えた。会社の運勢によると、今までの経緯を見つめ直す2年。人に頼らず自分との戦いが始まる。天がくれた2年を有意義に過ごせという。08年3月期の連結売上高96億5400万円にひきかえ、20年3月期同91億6600万円計上しWトップ。事実上、コロナで踊り場を迎えた。しかし、1997年の上場から25年。人口動態上ボーナス期に入り今後10、20年最も伸びる。連結売上高100億円突破が現実になりそうだ。ピーク更新に相当するもので22、23年踊り場。10年先の初動と考えられる。中長期、気になるのが研究開発製品。研究でギガビット自由空間光送装置、開発製品ではアナログハイビジョン対応空間光映像伝送装置が目玉。以前述べた四国総合研究所(四国電力の子会社)と新技術・製品開発も10年スパンのプロジェクト。大手にない小回りの利く提案が時代にマッチしている。子会社ファシリティーサービスの業績が伸びているのも事実。トータル巻き返すとみられ、2年後踊り場を抜け出すと考えられる。※5月12日発表予定の決算にご注目ください。