22、23年正念場 福島印刷 1月6日 (2022.01.05)
中長期チャンス到来
前期20年ぶりピーク更新し一服
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福島印刷(7870)は正念場。前期20年ぶりピークを更新し一服。中長期チャンスとみられる。第1四半期減収減益を受けたもので、前期上振れたIPDP(4.9%増収)・DMDPサービス(19.4%増収)の反動。急増した関連販促費の見直しも課題で22、23年踊り場。好ポジションにつけた。コロナ禍に拘らず、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)の需要拡大が主因。国や自治体、産業界の人手不足に応えるもので、印刷業界が1991年8兆9200億円をピークに30年後約半減。じり貧をたどる中で97年上場、99年セキュリティ室を立ち上げ、相次ぎDP(データプリントサービス)設備導入など先行投資が実を結び始めた。ペーパーレス化や展示会減、生産年齢人口減などデジタル化に対応。20年に国内で「板紙」の生産が「紙」を上回ったのに符合する。印刷・情報00年、新聞用紙06年がピークという。矢野経済によると、国内のBPO市場毎年1000億円レベルの伸び。23年度4兆6800億円(20年度4兆4200億円)の見通し。昨年9月、NTT印刷、廣済堂(7868)と同社が業務提携。高解像度デジタル印刷機を最大4ライン同時稼働する旨合意した。NTT印刷がグループや官公庁・金融機関に強いほか、廣済堂も大手出版社に実績があり、同社が小回りの利いた企画提案でDMメーリングサービス。相互補完により短期発送やコスト競争力強化に立ち上がった。仕込みに傾注し大口受注もこなす運び。上場後、売上高50億円台で試行錯誤を重ね遂に解をもたらした。同社の場合、紙加工とデータハンドリング、表現の三つがコア技術。前期「素材管理システムの改修」と「Fusion cross 多台生産体制のレベルアップ」が加わり、納期遵守が求められる中でBCP(事業継続計画)にも踏み込んだ。10年後の初動に匹敵する。常に「お客様のお客様」を考え人材育成に打ち込んできた。上場来25年、外部から指折りの人材が集まり人口動態でいうボーナス期。これから10、20年一番伸びる場面。自前主義から連携に移行し売上高倍増も考えられる。第1四半期17.0%減収、営業損失1億7200万円で元の木阿弥だが、第2、第3四半期従来のイメージが変わりそうだ。
2022年8月期(非連結)は、売上高83億5000万円(2.4%減)、営業利益3億1300万円(46.6%減)、経常利益3億2500万円(45.9%減)、純利益2億0600万円(47.5%減)の見通し。配当12円(中間6円)に戻す予定。設備投資6億円(前期7億6700万円)の計画。会長が相談役に就任。下畠社長(66)が会長を兼務する。役員も若返り「新体制」に向かって動き出した。前回述べたラスクル(4384)もそうで、黒字が定着し配当に踏み切ると本物。AIや5G、DXなどデジタル革命が印刷業界をリード。何より、踊り場でNTT印刷、廣済堂と三社で何ができるか興味深い。同社の運勢によると、今までの経緯を見つめ直す2年。チャンス到来だ。前に進むだけでなくトラブルの原因を探る。神仏に恥ずかしくない行動を取る。天が与えてくれた2年を有意義に過ごす。中長期初動に変わりない。※9月29日発表予定の決算にご注目ください。