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企業レポート

もう一皮むける 名工建設 6月22日 (2021.06.21)

コロナを境に軌道修正 
デジタル化ITインフラ待ったなし
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 名工建設(1869)は踊り場。コロナを境に軌道修正。2021、22年正念場とみられる。前期の受注高804億4900万円(15.0%減)、次期繰越高687億0300万円(9.5%減)に対し、今期の受注高835億円(3.8%増)の見込み。土木が官公庁や鉄道など高水準な一方、民間建築の落ち込みが目立ち、コロナ後受注減の影響が出てくるためだ。4~6月期、ホテルや商業施設の不振、木材の高騰など混乱の走り。しかし、第18次経営計画(3年)スタート。重大な労働災害・運転事故ゼロ、受注・売上高800億円以上、経常利益率4.0%が骨子。信頼、競争力、実行力を機軸に社会情勢に左右されない盤石な経営基盤を目指す。前回述べたように、2013年夏、名古屋駅前の旧本社を日本郵政と共同で再開発したのを口火にリニア構想具体化と連動。東海道新幹線大規模改修工事と相俟って記録的なビジネスチャンスになった。前期末連結総資産951億円(2012年3月期578億円)、同純資産558億円(同221億円)、同自己資本比率58.5%(同38.1%)、同1株当たり純資産2202円(同871円)にも明らか。実質無借金となり出来上がった印象だが、20日静岡県知事選に拘らずもうひと山ある。2027年開業予定のリニア中央新幹線を控えているためだ。関連インフラやガイドウェイ工事など仕込みに余念がない。筆頭株主JR東海(9022)の決算によると、前期連結営業損失1847億円に対し今期営業損益2150億円黒字転換の見通し。通期運輸収入の推定も前期34%(対2018年度)にひきかえ今期66%(同)とポジティブ。品川~名古屋間の総工費約7兆0400億円。工事資金の確保と健全経営の確認が不可欠。リニア実現の有無が4~6月期をはじめ2021、22年の業績にかかっている。同社はコロナ前まで受注増と工事採算改善により業績を伸ばしてきたが、コロナ後業務の効率化を迫られデジタル化、ITインフラ整備に意欲。新たな対応が注目される。
 2022年3月期(連結)は、売上高810億円(8.7%減)、営業利益32億円(49.2%減)、経常利益35億円(47.1%減)、純利益24億円(47.1%減)の見通し。配当未定(前期30円)。設備投資8億円(前期9億3100万円)の計画。日本の高度成長期が1960年代でインフラ寿命50年といわれ、2011年の東日本大震災から10年だけにインフラ老朽化の時代を迎えた。旧聞だが、国土交通白書によると、2011年度から60年度まで更新費約190兆円。このうち約30兆円困難という。デジタル化、ITインフラ待ったなしだ。同社の場合、10年先に次の山が見える。遅かれ早かれリニアと連動するもので、この間JR東海の運気好調。2021、22年を乗り切るともう一皮むける。※11月14日の決算発表にご注目ください。

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