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企業レポート

スペシャリティ異彩 スズケン 2月24日 (2021.02.22)

コロナ後に巻き返す 
創業、上場に続き3度目の創業
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 スズケン(9987)はピンチ。まる1年底練り。反転の足場を固めた。2月3日下方修正によるもので、昨年12月東京地検特捜部に独禁法違反で起訴され、関連特損34億8200万円計上。緊急事態宣言再発令に伴い受診抑制を加味するとあく抜け。むしろ、チャンスだ。創業(1932年)、上場(1996年)に続き第3の創業を表明。「取引」から「取組」に舵を切りソリューションビジネスを目指すもので、新中期成長戦略(3年)初年度コロナ禍に見舞われ足払い。見直しに追われているためだ。2月17日ワクチン接種が始まったものの、国をはじめ行政の対応も地につかず、事実上医薬品卸の仕事。それもコロナの因果関係が不明なまま特例承認によりアストラゼネカやファイザー製を即金で緊急輸入。ワクチンのDNAが後日影響を与える懸念もある。国内で富士フイルム(4901)が4月にも「アビガン」の治験再実施といわれ、65歳以上の軽症者と基礎疾患のある同50歳以上が対象。医師も患者も本物かイカサマかわからない状態で進行する見込み。集団免疫75%といわれ日本らしい。コロナや独禁法違反の対応が将来を左右するだけに、新薬頭打ちや特許切れ、薬価切り下げなど未妥結・仮納入、総価取引を巡る懸案持ち越し。メーカーの納入価下落抑制と納入価を下げ薬価差益を確保したい医療機関・薬局との板挟み。海外では単に物流を担っているのに過ぎない。メガ卸4社でシェア80%超といわれ、2020年71社(1978年615社)に集約。頂上決戦が本格化する見通し。日本医薬品卸売業連合会によると、コンプライアンス強化にコロナ感染症下の医薬品安定供給、医薬品流通を巡る環境変化への対応が2021年の重点事項。同社は昨年12月再発防止策と報酬減額を通じてコンプライアンス遵守の決意表明。新年度も厳しいという。しかし、4セグメントのうち医薬品製造事業(3Q 連結累計7.0%営業増益)と医療関連サービス等事業(同52.7%同増益)が健闘。異彩を放っている。後者の希少疾病薬や再生医療等製品を含むスペシャリティ医薬品の流通モデル構築、MS(医薬品卸売営業担当者)活動に伴う多様な協業が印象的。取引から取組にビジネスモデルを転換。前回述べた「キュービックス」(得意先同士、導入後半年で廃棄ゼロ)のほか、昨年4月資本業務提携した「ユビー」とコロナ感染症に対応したAI問診を共同展開。さらに、同5月サスメドと資本業務提携によりブロックチェーンやAI自動分析システムなど治験薬物流、キュービックスCTと連携。同11月、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)のプラットホーム立ち上げに乗り出した。コロナ後に巻き返しが見込まれる。
 2021年3月期(連結)は、売上高2兆1220億円(4.1%減)、営業利益40億円(87.7%減)、経常利益123億円(70.3%減)、純利益40億円(85.8%減)に見直した。配当72円(期末36円)を据え置く予定。設備投資204億円(前期95億円)の計画。2021年運気上昇。自信を持って前向きに行動する年という。宮田社長(60)も同運で拍車がかかりそうだ。創業、上場当時も混乱を吸収し面目を一新した。今回、人脈に恵まれ前向きな工夫をすると、無理と諦めていたことも成功する可能性があるという。

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