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企業レポート

顧客の懐に飛び込む マルサンアイ 11月25日  (2020.11.24)

コロナ禍豆乳がリード 
構造的なものでスーパーサイクルも
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 マルサンアイ(2551)は確り。連結12期連続増収。コロナ禍モノともしない。主力の豆乳(前期10.8%増収)がリード。2017年立ち上げたマルサンアイ鳥取(連結子会社)の年間5万kl+α。グループ同15万kl体制本格稼働。新年度、連結売上高300億円を突破する見通し。第3次中期計画(2021~23年9月期)に盛った300億円、営業利益率4%、投資と資本政策を支えるキャシュフローなど加味したもの。日本豆乳協会によると、直近10年倍以上になった国内豆乳生産量(2019年約40万kl)が最大の手掛かり。20年1~3月期107.4%、4~6月期106.6%、7~9月期103.5%とピーク更新。出荷も順調だ。外出自粛を受けて低迷した「その他」(業務用)さえ7~9月期-9.1%。1~3月期-52.8%を底に昨年のレベルまで戻した。少子高齢化に伴う健康志向を背景に飲み方や食べ方、料理を提案。フレイル(加齢による認知・身体機能低下)対策に打ち込んでいる。直近、「かき氷れん乳風味」や「豆乳シュレッド(チーズタイプ)」にもアタリがきた。前回述べたように、戦後牛乳を口火に昨年トマトジュースブーム一服。2014年から豆乳・ヨーグルト市場が伸びている。豆乳の場合、第1次(1983年)、第2次(2006年)に続き第3次ブーム。構造的なものでスーパーサイクルも考えられる。同協会、50万klが視野に入ったという。2019年687億円市場といわれシェア推定18.8%。大手4社で90%以上占め、中部・中国地区トップ。発売10年の「豆乳グルト」が10億円レベルに育ち成長期入り。新年度、研究開発・広告宣伝費を3億円投入し減益の見込みだが、みそ事業49億2400万円(3.5%増)、豆乳207億3400万円(3.8%増)と意欲的。本社のみそ集約・省人化から10年を数え基盤が安定してきた。2019年みその市場1001億円といわれ、同社4位でシェア5.3%という。長野県勢3社が合わせみそで50%占めるものの上場企業同社のみ。47都道府県「手前ミソ」でひしめき合っている。5G・量子コンピュータの時代を迎え量より質。みそ・豆乳に続く3ド(鮮度・チルド・アーモンド)+バルク、海外挑戦も新中期計画の目玉。豆乳原料の生産・出荷拡大とアーモンドミルク、商品力の強化待ったなし。豆乳グルト、豆乳シュレッドの成長に大豆関連新製品の開発続行。2021年、すべて整理整頓を迫られるという。大器晩成型だけに自ら顧客の懐(ふところ)に飛び込まないと理解を得られない。プロテイン(蛋白質)補給の開発を促す一方、コロナ禍見送った試食、キャンぺーンなど対面アプローチが鍵を握っている。
 2021年9月期(連結)は売上高300億0300万円(1.8%増)、営業利益6億4900万円(29.0%減)、経常利益6億0900万円(33.8%減)、純利益3億5600万円(50.3%減)の見通し。配当30円(前期70円=普通60円・70周年記念10円)の予定。設備投資13億8000万円(前期25億8400万円)、償却15億1600万円(同14億4400万円)の計画。何より渡辺社長(64)が前向き。2021年、今まで無理だと諦めていたことも成功する可能性が出てきた。※2月1日発表された決算にご注目ください。

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