5月を底に急回復 旭化学 11月10日 (2020.11.09)
1人1台から多台持ち
これから1年未来が広がるきっかけ
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旭化学工業(7928・JQ)は好転。前期5月を底に急回復。生産性向上が見込まれる。コロナ禍、国内の成形・加工が1人1台から多台持ちを推進するようになったのが主因。電動工具・自動車部品が9割以上占めるだけに浸透すると大きい。コロナ後、楽しみだ。7月10日から10月9日の修正発表にかけて転機。コロナ禍、電動工具・自動車部品の受注が大幅に落ち込み、前回述べた人材育成、機械設備増強、高精度の金型製作など一時進退窮まった。結局、7月10日未定だった予想が10月9日算定可能となり、6~8月期1億6800万円の連結営業利益(3~5月期同7400万円営業赤字)を計上。起死回生につながった。生産性向上によるもので、10月30日マキタ(6586)、11月6日トヨタ(7203)の決算発表にもうかがえる。事実上、取引先に相当し来年の見通しも悪くない。金型が「産業のマザーツール」といわれ、同社の場合、電動工具・自動車部品に圧倒的な実績。得意先が利益を出し社会貢献しているのに赤字では顔向けできない。2001年立ち上げた中国の連結子会社が健闘。前期の売上高34億6400万円、営業利益2億7700万円。日本の売上高38億5700万円、営業赤字9500万円。タイ4億7700万円、営業赤字9300万円と比較にならない。中国の従業員(約350人)が稼ぎ頭になっている。このため、グループ挙げて人材確保が喫緊の課題。数十年来最も厳しく深刻という。そこで、新型の小型ロボットやカメラ技術を導入し製品の精度を上げ、ハイサイクル成形化や質の高い成形品に挑戦。人材教育に拍車がかかっている。欧米中心にコロナ第2・3波の影響や再びロックダウンが伝えられ、米大統領選に伴う混乱長期化も攪乱要因。コロナ後、ピンチがチャンスになること請け合い。来年前半正念場とみられる。乗り切ると連結売上高100億円が視野に入りそうだ。日本金型工業会によると、国内製造業の出荷額1991年1兆9575億円がピーク。リーマンショック後1兆8747億円に落ち込み、2017年1兆5258億円とピークの78%。事業所も1990年1万3115をピークに2017年7074とほぼ半減。従業員19人以下が86%を占め中小企業が多い。つまり、同社は大手の一角。マキタ過半、イノアック4割といわれ、トヨタグループなど取引先に揉まれ鍛えられた。国内が一念発起。2011年稼働したタイの連結子会社も現地のコロナや政権批判をしのぎ10年。巻き返しのチャンスだ。無借金で身の丈経営健在。「ベーシックインカム」(最低所得保証)や「グレート・リセット」(大変革)がコロナ後のテーマといわれ、首尾よくいけば同社も生まれ変わる。
2021年8月期(連結)は、売上高79億円(3.1%増)、営業利益2億2000万円(133.5%増)、経常利益2億4000万円(65.4%増)、純利益1億5000万円(214.0%増)の見通し。中間配当3円を表明し増配含み。前期増配を取り下げた。設備投資3億7500万円(前期2億2500万円)の計画。これから1年にかかっている。杉浦社長(53)にとって未来が広がるきっかけになりそうだ。※7月9日発表された上方修正にご注目ください。