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企業レポート

4~6月期底入れ 大宝運輸 9月29日 (2020.09.28)

コロナ禍の仕込みが鍵 
スペイン風邪を乗り切った創業者
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 大宝運輸(9040)は4~6月期底入れ。コロナ禍で黒字を確保。後半乗り切る見通し。10月1日、創業100年。100年前スペイン風邪(1918~20)の免疫抗体獲得が手掛かり。1933年全国初の名古屋―東京間路線免許取得につながった。2019年11月立ち上げた東郷コールドセンターが次の100年をリードする嚆矢。三好支店から21年ぶり新拠点稼働。02年自社倉庫を改造し3温度帯物流のノウハウを蓄積したもので、延べ30億円投入し床3000坪・鉄骨造り・地上2階建て。メーカーや小売、外食対応の総合大型3温度帯庫(常温25度・冷蔵5度・冷凍-25度)をベースに次世代の設備を導入。三好・大高・四日市支店と連動し低温物流集約と業務効率化が見込まれる。複数の金融機関から25億円調達。期間20年で無担保・無保証の折り紙つきだ。立ち上げ人手不足で一時費用の大幅増加に苦戦したが、徐々に稼働率が改善している。9月21日付で幹部の大規模な人事異動もあり一段と好転。後半ピッチが上がりそうだ。7年前、和合塾が30年の幕を閉じて最強のメンバー。この上、「デジタル庁」並みの人材が揃えば鬼に金棒だ。100年前、スペイン風邪で5億人(世界人口の3割)感染。うち2000万~4500万人死亡。日本でも人口約5600万人のうち45万人(0.8%)死亡。東京空襲10万人、日露戦争で9万人の犠牲者だけにパンデミック。当時の顕微鏡でH1N1型ウィルスを見つけることができず、対応できたのが1930年代に登場した電子顕微鏡。三密やマスク着用、患者隔離に流言飛語。全面休校など今も昔も同じ。1920年が過ぎると自然に鎮静化した。今回も似た経緯をたどる公算が大きい。減収下、丁寧にいい仕事で荷主の期待にこたえ黒字を確保するとコロナ後楽しみだ。手洗い、うがい、マスク着用、消毒のほか三密を避け時差出勤、交代制自宅勤務などこれまで感染者なし。処遇改善、長時間労働是正、安全教育など継続中。たとえ緊急事態宣言が出ても、物流業者には社会生活を支える使命がある。これから100年の初動がコロナ。後半本格化する見通し。全日本トラック協会によると、4~6月期の業界景況指数-112.5(1~3月期-82.4)。7~9月期-110.8と僅かに持ち直す。米大統領選前後から混乱も予想される。
 2021年3月期(非連結)は未定。前期並みを念頭に配当(年100円)を据え置く構え。設備投資1億円レベル(前期24億2800万円)。初代運の会社で独立独歩。その儘受け継ぐのでなく自分の代から新たな流れをつくる。2020~21年調整運。この時の苦労が数年後実るという。小笠原社長(52)は絶好調。油断大敵。何事も偏ることなく中庸を保つ。2020年気持ちに変化が現れるという。創業者がスペイン風邪を乗り切ったように、今回もコロナ禍の仕込みが鍵を握っている。※ 4月28日に発表予定の決算にご注目ください。

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