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企業レポート

潔く軌道修正 名工建設 8月12日 (2020.08.11)

対処すべき課題に傾注 
4つすべてワンランク上を目指す
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 名工建設(1869)は高水準。1Q 連結19.5%営業増益。回転が利いている。前期最高益を受けたもので工事利益率の改善が主因。期末設計変更を含め3度上方修正している。前期末受注残676億4800万円(6.5%減)。踊り場を迎えた。コロナ禍、3月から東海道新幹線の乗降客が大幅に落ち込む一方、リニア中央新幹線の着工遅れも気懸かり。鉄道関連工事が約6割占め軌道修正に追い込まれた。東海道新幹線の利用状況(東京口、前年比)によると、2020年1月103%に対し2月92%、3月41%、4月10%、5月同、6月28%、7月32%(30日まで)とリバウンドが弱い。コロナ第2、3波懸念のほか3密やテレワーク等の影響とみられ、治療薬・ワクチン開発も当てにならない。経済活動の停滞から不況の深刻化、建設業界の受注も不透明という。7月31日、JR東海が発表した1Q 連結72.7%減収、営業赤字836億円(前年同期2062億円黒字)。百貨店やホテルなど主な子会社も不振。事業継続にふるいがかかった。同社の場合、対処すべき課題に傾注。第17次経営計画(2018~20年度)に集中している。事故を未然に防ぐ「安全最優先の企業風土定着」。新幹線大規模改修工事や同脱線・逸脱防止対策工事など「長期プロジェクトの確実な施工」。鉄道を基盤に官公庁・民間工事の強化を目指す「バランスのとれたゼネコンとして総合力強化」。そして、中長期要員を確保し内部統制の充実を図り環境変化に対応できる「持続的成長を目指す経営基盤強化」の4つ。すべてワンランク上を目指し質の向上に全社挙げて取り組むという。外部環境が従来の延長上にないのが泣きどころだ。2013年夏、名古屋駅前の旧本社を日本郵政と共同で再開発し新たなステップ。リニア構想具体化と連動し、東海道新幹線の大規模改修工事と相俟って一皮二皮むけた。前期末の連結総資産890億円(2012年578億円)、同自己資本505億円(同220億円)、同自己資本比率56.8%(同38.1%)と見違えるほど引き締まった。北陸新幹線福井延伸や鉄道関連に限らず新規開拓に意欲。研究開発でポータブル基礎杭打ち機の施工範囲拡大、杭と柱を一本化する構工法、重機接触防止システムなど現場に投入。実績を挙げている。
 2021年3月期(連結)は、売上高885億円(4.8%減)、営業利益47億円(33.6%減)、経常利益50億円(31.8%減)、純利益34億円(32.4%減)の見通し。配当未定(前期30円)と潔い。会社は大器晩成型でエネルギッシュ。今年、これまでの価値観を見直す場面。事実、コロナ禍に見舞われ図星だ。受注環境の激化や資材・労務費等コストアップに対し、選別受注や収益管理強化、経費節減など続行。健全に変わりない。渡邉社長(67)は数年後苦労が実るという。2、3Qのほか竣工が集中する4Q 正念場。不動産事業も一本立ちして軸足を固めた。※ 1月29日に発表された決算にご注目ください。

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