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企業レポート

コロナに大わらわ マキタ 3月17日 (2020.03.16)

ブレなくOPEに重心 
戦後の転換期に匹敵する踊り場
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 マキタ(6586)は転機。3Q連結15.3%営業減益。年度末、新年度の対応に大わらわだ。新型コロナの影響が3月から表面化。昨年10月30日修正発表した着地点が見えなくなった。円高や米中の追加関税、株安など実体経済を直撃。国内外、見通しが立たないためだ。SARS(重症急性呼吸器症候群・2003 4/16~7/5)の際、大量にストックしたマスクを放出し急場しのぎ。主力中国(昆山)の従業員が8割戻ったという。2月中旬2割操業に追い込まれ回復急ピッチ。直近4割視野に入り、ルーマニアと岡崎工場増産で乗り切る構え。この上、WHO(世界保健機関)の非常事態宣言解除、ワクチン開発が突破口とみられる。前期連結最高益を更新し一服。製品コードレス・脱エンジン化に伴うもので、グローバルな円高と販管費増、設備投資(償却負担)が先行。新年度、コロナのほか原油先物急落の影響も考えられる。直近2008年のリーマンショック、1948年の苦難期当時に相当し踊り場。世界中「幕末」気分となり、数年後「維新」も考えられる。同社の場合、草創期(1915~37)や確立期(1938~45)より、激動期(1946~54)と転換期(1955~60)に匹敵するもの。トップが5回入れ替わり、1958年国産初の携帯用電気カンナを発売するまで10余年。その後、伊勢湾台風(1959)や東京五輪(1964)、大阪万博(1970)など特需が追い風。1963年から無借金経営になった。現在、コードレス化推定50%、OPE(園芸工具)同10%の構成。製品のコードレス・脱エンジン化にブレがなく、2015年(創業100年)を境に電動工具からOPEに重心を移した。市場が電動工具(2兆円)の倍といわれ、未曽有のピンチがビジネスチャンスに見える。バッテリーやモーター、電装品開発が課題。電動工具に使うバッテリーがそのまま使用出来るし、コストパフォーマンスも高い。3月6日からイメージキャラクターに八村塁を起用。NBA(プロバスケットボール)を通じてタフなバッテリーが乗り移った。泣きどころの北米を後押しする狙いもある。コードレス製品に安全・利便・快適さのほか、排ガス・騒音・燃費の改善など見込まれ、モーターから電動工具に変わった1958年以来の転機。むしろ、コロナと原油先物安がモーターや充電技術、パワーアップを刺激。開発・生産・営業挙げて現場主義。年度末、新年度の対応が前途を左右しそうだ。
 2020年3月期(連結)は、売上高4800億円(2.2%減)、営業利益630億円(19.5%減)、税引前利益同(21.2%減)、純利益440億円(21.1%減)に見直した。中間配当10円、期末連結配当性向30%(前期62円)が基準になっている。設備投資440億円(前期238億円)の模様。来期以降500億円のイメージ。2018年以来、米中対立による関税引き上げの応酬が限界に達し、コロナや原油先物安ときっかけに需要がストップ。世界中、換金売りに見舞われた。スペイン風邪(1918~19)、新型インフルエンザ(2009~10)の例から終息2年。長期戦に強い。大器晩成型でエネルギッシュな社運。2020年、今までの価値を見直す時という。国内が3Q累計11.7%増収。気合が入っている。※ 改めて 5月21日に発表された決算をご参照ください。

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