証券ビュー

森羅万象

乱気流対応 機動力の最適化 (2020.03.16)

厚生労働省が2月24日付で発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第3回)では、
「流行のピークを下げる」「患者の増加のスピードを抑える」という2つの軸に注力している。
感染者の大半が軽症か無症状で専門の医療機関に入院しているという現在の状況を、
重症者の病床を優先的に確保、軽症や無症状の人は一般の医療機関で受け入れるように
運用を見直すという方針が明確な司令塔組織「入院フォローアップセンター(仮称)」。
「医療崩壊を防ぐ」企図も付加した立ち上げを吉村洋文大阪府知事が3月11日に発表。
広域行政を掲げる首長が医療分野でも統治能力を発揮した好例だ。
   
WHOはパンデミックについて、国境を越えた感染が制御できなくなり、
世界中の誰もが感染の危険にさらされる状態と説明しており、12日に
2009年の新型インフルエンザ以来「パンデミック」という表現を使った。

今月3日に0・5%の緊急利下げを行ったFRBは金融政策を決定するFOMCを
17、18日に開くのを待たずマーケットが開く前の15日今月2度目の緊急緩和に踏み切った。
緊急事態や大規模な災害が発生したときに大統領のみが行使できるスタッフォード法は
新型コロナのようなパンデミックも含まれている「国家非常事態」で財政出動を伴う。
WHOの認定前には示唆しておいて認定後の翌日13日に正式な宣言で発令はタイムリーだ。
   
物事の問題を特定して、適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法
「クリティカルシンキング」に基づき、目的を達成するために総合的に進められる計画や
運用方法「ストラテジー」
を実施していだけでなく、「個別の作戦」であったり
「局地的な戦い方」といった短期的でミクロな視点での戦い方「タクティクス」を
選択し時機を捉えて実施した「プロアクティブ」な点
が米大統領と大阪府知事の共通点。

「パンデミック」認定を受けても、菅義偉官房長官は12日午前の記者会見で述べたのは
「直ちに緊急事態宣言を出すような状況にはない」という最も拙劣な逐次投入戦術
となると国内の感染者数がその後他国に比して大きくは伸びていないことの理由が、
対策の効果なのか、検査件数が少ないからなのかは判然としないことは意図的なもの。
    
インフルエンザの例に従うと指数関数的に患者数が増加するのは4,5週までが多い。
インフルエンザの場合は学童が多く感染し対応はローカルな学級閉鎖だった。
全国的な対応で早期沈静化と期待をプロパガンダしているが休校処置がなくても、
患者数の増加の程度は鈍くなっていく時期を狙って実施された疑いがある。

「予定通り、大会開催に向け、国際オリンピック委員会や組織委員会、
東京都と緊密に連絡をとりながら準備を進めていく。その考え方に変わりない」
と従来の立場を繰り返しているのを、五輪開催に向けた数字の操作で補強する。
国内の感染者数がその後他国に比して大きくは伸びていない実績作りこそ目的