2019年度第3四半期(10ー12月)運用状況の公表をベースにして試算した
年金積立金(GPIF)の損益分岐点18,000円を13日に下回った。
参院財政金融委員会での3月10日黒田東彦日銀総裁の答弁に拠ると、
日銀が保有するETF約29兆円の損益分岐点は日経平均株価で1万9500円程度。
13日引値では日銀の経常利益2兆円に匹敵する含み損を抱えている概算。
仮に3月末時点で日銀の経常利益がETFの含み損に対する引き当てが
ゼロもしくは赤字となると、日銀から政府に国庫納付金が支払われなくなる。
政府の歳入が減ることとなり国民負担が増すことにつながると野党の鼻息が粗い。
円高加速の際に資産買い入れ増額など量的緩和で対処中心の日本銀行の選択肢には
更なるマイナス金利でアナウンスメント効果という手法も現実味を帯びてきた。
具体的には無担保コールレートを事実上の政策金利として復活させ、
マイナス金利政策を骨抜きにすることで小手先技術での時間稼ぎになりそうだ。
一方、大統領選がらみの米トランプ政権は複数のカードを切り始めた。
まず言うことを聞く米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを実施したが、市場は冷めた反応。
金融緩和では新型コロナウイルスの感染拡大による混乱を収める決め手にはならないと次を催促。
FRBがマイナス金利導入にまで踏み切る選択をした場合、アメリカの金融機関のBSやPLに対しては
日欧の金融機関が経験した以上に多大なる影響を及ぼすことになるので金融緩和は手詰まり。
そこでトランプ米大統領が示唆していた「国家非常事態」を13日に正式な宣言にしてNY市場好感。
発令された「the Stafford Act(スタッフォード法)」の予算が2020年1月31日時点では
340億ドル(約3兆6千億円)の残高だったのに500億ドル(約5兆4千億円)で想定以上の為。
ただし、バブルの背景は米国の社債市場と証券化したローン担保証券(CLO)であり
サブプライム問題の際の債務担保証券〈CDO〉と同類のもの。
つまり米国の株価がCLOの調達資金で自社株買いされた結果なのがいつか来た道だ。
タフなビジネスマンの嗅覚は米中貿易摩擦緩和の演出や大型減税の使い処も探っている。
【蚊を介して人に感染する西ナイル熱がニュージャージーとニューヨークで流行した件】
緊急事態や大規模な災害が発生したときに大統領のみが行使できるスタッフォード法は、
竜巻や大洪水など主に多数の被災者が出るような緊急時に大統領が「緊急宣言」をすることで、
米国土安全保障省内にある米連邦緊急事態管理庁(FEMA)の救助隊や災害医療チームが
被災者救済や支援に動けるようになる。
尚、災害救済金として巨額の資金が米議会によって与えられている。
「災害」とは一般に自然災害を指すが、新型コロナのようなパンデミックも含まれているので
2000年当時のビル・クリントン大統領が発令しこの収束に資金の一部を充てたことがある。
【日銀の黒田東彦総裁は10日の参院財政金融委員会で、】
日銀が保有する株価指数連動型上場投資信託(ETF)の時価が簿価を下回る損益分岐点について
「2019年9月末の保有状況を前提にすると、日経平均株価が1万9000円程度」と述べた。
そのうえで「その後の買い入れ実績を踏まえると19年9月末に比べ500円程度切り上がった可能性がある」
との試算を示し、現在の損益分岐点は日経平均で1万9500円程度との見解を明らかにした。
【2019年度第3四半期の運用状況の公表にあたっての髙橋理事長コメン』ト】
2019年度第3四半期(10月~12月)は、米中貿易協議の進展等から、
国内外の株式市場は大幅な上昇となりました。また、世界的に金利は上昇、
為替は対ドル・対ユーロで共に円安が進行しました。
このような結果、10月から12月までの運用資産全体の運用実績はプラス4.61%となりました。