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企業レポート

3Q様変わり 藤久 3月10日 (2020.03.09)

手作りマスクが呼び水 
新型コロナ奇貨に改革繰り上がる
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 藤久(9966)は浮上。3Q様変わり。光明が見えた。1月末から手づくりマスク需要急増がきっかけ。長期化する見込みで、ガーゼをはじめ関連商品日増しに玉不足。ゴム紐が決定的に品薄という。新型コロナウィルス(COVID-19)蔓延の影響で市販の使い捨てマスクが品切れ。ハンドメイド切り換えによるものだ。ガーゼに型紙、ゴム紐さえあれば素人でも出来るし、洗えば何度か着用しデザイン自前。にわか特需に違いないが、スペイン風邪(1918~19)や新型インフルエンザ(2009~10)の例から2年程度続くとみられる。2月7日希望退職者30名(1Q特損1億0300万円計上)、同12日下方修正を発表した矢先、巡りめぐって風が吹いた。2018年7月から構造改革本格化。「リボーンプラン」によるもので、直近3期連続営業損失をやむなくされ、不採算店舗を3年で100(前期末451)閉鎖するほか、トータル6つの課題を果敢に断行。昨年7月から客足が戻り始め、2020年1月既存店累計102.2%。単月全て前期を上回っている。バブル崩壊後約30年、超低金利政策で利子を取り上げられ、消費税3%が10%に引き上げられじり貧の内需。3月6日発表された総務省の家計調査報告(2人以上の世帯)によると、2019年10月の消費支出-4.0%、11月-1.4%、12月-3.3%。20年1月も-3.9%ときつい。同社が如何に健闘しているかわかる。希望退職者30名の対象が年齢45歳以上、且つ勤続10年以上の社員(20年1月15日現在)だけにやり切れない。手芸業界をリードする大手の一角。新たな取り組みとして大宮ステラタウン店が話題。内装を含め品揃え、価格、会員制度など徹底的に見直し基幹店舗に脱皮した。前期の実績を大幅に上回っている。このほか、顧客の要望にこたえ「生地を強化した店舗」を12設置。前年実績を上回った。2015年「300億円赤字」に揺れたマクドナルドがどん底からV字型回復したのは顧客の信頼回復。前社長が国内全店舗回って顧客と従業員のニーズを突きとめた。ピンチはチャンス。手づくりマスクが呼び水。昨年7月末からオンラインショップで「店舗受け取り」サービスを始めた。
 2020年6月期(非連結)は、売上高185億2500万円(2.2%減)、営業損失10億1800万円、経常損失11億0300万円、純損失21億6600万円に見直した。無配の予定。設備投資1億6700万円(前期1億4600万円)の計画。上方修正を期待できる。出店3(退店37)の見込みで期末417店舗。来期黒字転換を目指し、売上高202億0300万円、営業利益13億0600万円(2022年6月期)が「リボーンプラン」の目安。2020年、向かうところ敵なし。数年後、夢が叶うという社運。後藤社長(63)も同運で次第に拍車がかかる見通し。新型コロナウィルスを奇貨に構造改革が繰り上がりそうだ。

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