さらに収益拡大 トランシ― 1月10日 (2020.01.09)
非財閥系のダークホース
創業3度目のビジネスチャンス
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日本トランスシティ(9310)は伸び悩み。4Q 追い込み。新年度の助走に入った。これまで輸出取扱減と輸入・国内取扱増が綱引き。年明け米中第一段階の合意にメド。北朝鮮とイラン情勢にもよるが、逆風が和らぐとみられる。次期、霞バイオマスセンター(2019年10月竣工)をはじめ低温危険品倉庫(同12月竣工)、ベトナム初の自社倉庫(20年8月竣工予定)など自社案件稼働の運び。さらに収益拡大が見込まれる。17年5月、新中期計画でTrancy Innovation 2019をスローガンに国内のロジスティクス(兵站)、グローバル化、グループ経営基盤強化、同CSR(企業の社会的責任)推進を表明。連結売上高1100億円、経常利益55億円(2020年3月期)を打ち出した。四日市港の取扱拡大と多様化が不可欠で、18年4月新設した海外本部のもと、ハンガリー駐在員事務所やGMS(大メコン圏)越境交通ライセンス活用にタイ2社目の現地法人を立ち上げた。前回述べたように、グループ挙げて4つの現場(営業・事務・作業・輸送)を通じ諸制度の再構築を進めている。昨年6月トップ若返りも一環。安藤社長(61)中心に経営陣ベストメンバー。創業(1895年)、終戦前後に次ぐ3度目のビジネスチャンスだ。創業当時、営業倉庫を認められた全国16市の1つが四日市。米や魚粕、菜種油など振り出しに四日市の築港工事増強。第1次大戦特需で潤った。その後、反動をしのぎ企業誘致に成功。1932年、豪州から羊毛定期船が寄港し国内指折りの紡績、商社、船会社と取引が始まった。第2次大戦で統制や空襲など未曽有の試練を乗り越え、再び羊毛・綿花の取扱増加。1950年代から石油化学の発展で弾みがついた。ホロスコープ(天体の配置図)によると、現在幕末・維新か戦前・戦後に匹敵する場面。変わらざるを得ない状況がさらに7年続く見通し。同社は、かつての羊毛・綿花、石油コンビナートから今回大型物流センターにターゲットを絞った。年度をまたぎ新計画を実現する構えだ。
2020年3月期(連結)は、売上高1040億円(3.9%増)、営業利益35億円(4.5%増)、経常利益45億円(1.9%増)、純利益29億円(9.1%増)の見込み。配当10円(期末5円)の予定。設備投資55億8900万円(前期37億3900万円)の計画。2Q連結累計19億2700万円の償却を計上している。20、21年正念場。数年後、苦労が実るという。社長も同運で興味深い。初代運の会社で独立独歩の経緯がうかがえる。日本の倉庫業は旧財閥系中心に明治時代設立され、倉庫業法により規制対象にあったが、2002年改正され許可から登録制になった。料金事前届出制が廃止され規制緩和が進む一方、多額の設備投資が必要な装置産業。主要顧客の日系企業が海外に進出しグローバルネットワークを構築。同社も国内外に主要拠点を構えた。四日市港の取扱拡大と多様化。国際複合輸送(2Q連結累計構成比17.9%)の伸びしろが魅力。非財閥系のダークホースだ。