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森羅万象

押したり突いたりの相場 ふりまわされてくたくた (2019.03.12)

昭和の風林史(昭和五八年二月二八日掲載分)
ふりまわされてくたくた
シカゴ期近崩れにもかかわらず
輸大は堅調ということは
円安の予想とシカゴ離れか。
二・二六相場乱調。金暴落。
シカゴ大豆棒下げ。ゴム安。
生糸急伸。小豆高。輸大安。
シカゴ大豆期近は
下げに勢いがついているから
五㌦60あたりまで早い格好。
穀取はシカゴ離れ。
IOМ大豆に比べて
中国大豆は非常に安い。
資力のある信州の味噌メーカーが
中豆を纒めて手当てしている。
中国大豆の成約は
20万㌧を越えるかもしれないが、
入船は半分にも達せず、入船遅れや、
あとの商談途切れなどみていると、
中国は売り過ぎたのでないか。
押したり突いたりの相場だが、
期近から締まってくるあたり、
見渡す限り皆弱気の中で
三月~四月にひと相場の期待が持てる。
一般大衆は、
もう買い玉の苦労はかなわない
と両建になってきた。
大阪五月限など日足六本連続陽線。
下に千円は下げようがないが、
上に千円はあり得るだけに、
安値を叩いた売り玉のほうが、
気持ちが悪い。
小豆相場はマバラ大衆売りの玄人買い。
買い煽りめいた手を振って
小口の煎れを誘う。
出荷調整で俵が読めているだけに、
売り方不利はまぬがれず、
しかも先二本が天災期限月だけに、
二月中行ったりきたりして
ダンゴになった八千円相場が
九千円抜けとくれば、
辛抱できない踏みがでよう。
週末は一種の踏み上げ線である。
しかし今の取り組みでは
人気化するはずもなく、
触らぬ小豆にたたりなし。
●編集部註
 この当時のチャートを見ると、
鵯越の逆落としの如き罫線をよく見る。
 東京金暴落はNYの影響。
これは当時の日足を並列で見ると判る。
 今となっては、
なぜこのような崩落相場になったのかが
よく解らない。
ただ、テクニカル分析に明るい人間が
両相場を見ると、この下げが所謂
異市場間弱気ダイバージェンス」を
伴って下げているという点、
それ故にこの高値圏が、
何らかの節目になっているという点は
理解出来るかと思う。
 この下げで
確実に地獄の一丁目一番地に
足を踏み入れたであろう人物が一名、
筆者は想像出来る。
金のペーパー商法で
社会問題化した豊田商事の創業者、
永野一男
である。
 金価格が下がってているのに
「純金ファミリー契約証券」の価値が
上がる筈がない。
この時解約すれば儲かった人もいた筈
だが果たしてキッパリと解約出来ただろうか。