昭和の風林史(昭和五七年十二月八日掲載分)
輸入大豆の買い場考える
輸入大豆は
年末に大底を打つ相場癖がある。
三千七百円、六百円は素一の買い場。
輸入大豆の先のほうの限月で
三千六百円あたりがあれば、
絶好の買い場になるだろう。
輸大の相場癖は年末底になりやすい。
人気面からいうと、もっともっと、
まっ暗闇の弱人気になれば判りやすい。
おそらく
T社の買い玉は投げるだろうとか、
中国大豆の入荷が増大する。
物の売れ行きが悪い等々、
悲観材料に事欠かず、
それを声高に唱えられるわけだ。
もっとも
T社大量の買い玉が投げに入れば、
もう少し安いかもしれないが、
多分その時は瞬間的な下げに終わるだろう。
三千六百円あたりなら
強気したいというのは、
中国大豆の圧迫を
過大視しているふしがある。
IOM離れというが、
中豆20万㌧では、
日本の食品大豆の需要は賄いきれない。
シカゴと逆ザヤで商社が
IOMの手当てをおこたれば、
もし仮りに南半球(ブラジル)の
作柄にキズがついたり、
シカゴ相場が底入れ観で
大直り6㌦台に買われたら、
これは穀取輸大相場は大暴騰だ。
そういう時は円相場が
買われるだけ買われたあとの反動で
崩れてきたりするものである。
相場は人気と日柄である。
もちろん需給にまさる強弱なしだが、
需給は気をつけていたら誰でも判るが、
日柄と人気は、知らず知らず
〔買いつき型〕か〔売り込み型〕に
なるものだ。
いまの場合、見渡せば
野も山も弱気ばかりとまではいかないが、
これとて
時間をかければ安値おぼえになるものだ。
先のほうの三千六百円台が
あるかどうかは判らんし、
もしあって、それを買って
すぐ儲かるかどうかも判らんが、
なあに来年二月、三月頃まで
待てばという考えなら、
案外年内利食いできたりするのが
相場の皮肉性である。
●編集部註
〝野も山も弱気〟となれば、
慄きつつも目をつぶって
買わなければならないのが
相場師としての矜持であるといえよう。
ただこの時、
そこまでには至っていないと
分析している。
ここ最近の日米株式の一般紙での
弱気な論調が存外
〝野も山も弱気〟の状態に近いかも知れない。
テクニカルやサイクルを中心に
相場を見ていると、
今回の下げは日柄的にも値幅的にも、
そして星の動きからも、
起こるべくして起こった下げである。
「大衆は全て間違っている」
という一見高踏的な相場格言は
実の所そんなに間違っていない。
存外、こおいう時に仕込んでおくと
騰がるのが相場だ。