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企業レポート

巻き返し躍動 トランシ― 1月17日 (2019.01.16)

創業120年天の計らい 
サプライチェーン可視化を目指す
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 日本トランスシティ(9310)は巻き返し。主要新拠点が続々稼働。躍動している。案件拡大によるもので、先行した準備費用一巡。償却負担を吸収し大幅増益。トータル延べ230億円にのぼる次世代投資だ。古い体質を一新するもので、2015年(創業120年)を境に顕在化。ビジネスチャンスとみられる。一例が新倉庫「霞バイオマスセンター」。本社のある三重県四日市港の霞地区保有地(1万4246坪)に鉄筋平屋(3969坪)と事務所棟一式。バイオマス(生物資源の総量)燃料の荷受、保管、出荷、配送など物流業務を受注している。今年10月竣工予定で総投資約42億円。四日市で港湾運送事業に必要なすべての免許を取得しており、輸出入貨物のハンドリングから手続き、貿易実務処理まで何でもこなし最高の案件。北海道から九州まで全国10ヵ所の港湾通関免許を取得し、コンテナ貨物を取り扱っている。国内のロジスティクス(兵站)事業をはじめグローバル化、グループ経営基盤強化、同CSR(企業の社会的責任)推進の4つが中期経営計画の骨子。昨年5月、Trancy Innovation 2019をスローガンに、連結売上高1100億円、経常利益55億円(2020年3月期)を打ち出した。同社にとって四日市港の貨物取扱拡大と多様化が不可欠で、昨年4月新設した海外本部主導のもと、ハンガリー駐在員事務所、同5月取得したGMS(大メコン圏)越境交通ライセンス活用にタイ2社目の現地法人を立ち上げた。グループ4つの現場(営業・事務・作業・輸送)を通して社員が活躍できる諸制度の再構築を進めている。2Q連結によると、売上高の4割を占める倉庫の期中平均保管残高51万2000トン(11.8%増)と記録的な伸び。同2割の港湾運送も20フィート換算11万3000本(1.3%増)と堅調。手ごたえが感じられる。有利子負債352億円に対し支払利息軽微。自己資本比率48.2%でR&I格付Aマイナスと確り。日銀が2016年1月マイナス金利に踏み切り天の計らいになった。自己資金のほか借入による調達も目立つ。このほか、ハイブリッドトランスファークレーン導入やバルク(粒状貨物)専用コンテナ輸送、貯炭物の廃水循環システム・資源リサイクルなど環境負荷軽減の取り組みも本格化。おしなべて、海外から国内まで一貫したサプライチェーンの可視化を目指すという。
 2019年3月期(連結)は、売上高1000億円(4.6%増)、営業利益32億円(40.7%増)、経常利益42億円(34.6%増)、純利益28億円(34.3%増)に見直した。配当10円(期末5円)を据え置く予定。設備投資41億円1100万円(前期89億2800万円)の計画。3、4Q順調という。一連の新拠点が動き出したもので、自分の代から新しい流れをつくる初代運の会社。小川社長(70)も同運で仕込みがタイムリーに決まった。米中対立やブレグジットにも動じない。

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