証券ビュー

企業レポート

流れ一変し踊り場 岡谷鋼機 1月1日 (2018.12.31)

国内外差し引きプラス 
二つの中期計画次のステップを左右
企業HPご案内   前回の企業レポート
 岡谷鋼機(7485)は踊り場。今年前半、正念場。流れが一変した。まる1年米中貿易戦争をしのぎ連結最高益を更新しただけに、年明け日米通商交渉再開が気懸かり。自動車や農産物で大幅な譲歩を迫られ、年間対米貿易黒字7兆円のうち4兆円自動車とあって厳しい数量制限も予想される。同社は鉄鋼が連結売上高の4割、自動車も単体同2割と影響が大きい。このため、2017年末1万3440円(14年9月5株を1株に併合)を高値に1年後一時9000円割れ。時価総額が連結純資産(前期末2111億円)の4割強に落ち込んだ。景気が伸び切った上、米中対立の煽りを受けたもので、米国の安全保障が根っこにあり避けて通れない。19年が創業350周年に相当し、新中期計画Gih-2020の折り返し。4Q前途を左右する見込みだ。新年早々、山場を迎えた。昨年10月から市場が乱高下。米中の景気減速、後退を巡りリスクオフが目立つ。原油先物安を受けてジャンク債利回りが上昇。デフレ懸念が再燃している。同社は動じない。50、100年前を含め延べ350年の信用によるもの。1995年上場から20年余り。直近、ピーク更新中だ。当時新卒が現在40代半ばになり稼ぎ頭になっている。2011年度Gih-15の実績に明らか。連結売上高7854億円(目標1兆円)、純利益128億円(同100億円)、海外取引高31.6%(同30%超)をもたらした。08年のリーマンショックを吸収。2016年度Gih-2020につながるもので、連結売上高1兆円、純利益200億円が目標。前中期計画同様グループ全員で決めた。上場後10年国内、その後10年で海外拠点も30以上に大幅増加。素材流通より部品加工で稼ぐ体質に変わった。350周年に感慨を込めながら時代の曲がり角に差しかかり、幕末・維新か戦前・戦後の岐路。格別な記念行事を考えていないという。式典のほか郷土支援のチャリティーコンサートを例年以上にひきたてるのが決まった程度。グループ全員で議論している。二つの中期計画が次のステップを左右するだけに、折り返し地点といわれる今年前半が肝腎。幸い地元をはじめ国内子会社が伸びているし、海外もタイ子会社の高い伸びが見込まれる。上場によりコンプライアンス(法令順守)、ガバナンス(企業統治)、CSR(企業の社会的責任)、人材登用にも活路。長寿企業エノキアン協会加盟世界46社(日本8)の中で異色の存在になった。Gih-2020でグローバル(海外取引拡大)、イノベーション(先端商品・技術への挑戦)、ヒューマンリソース(人材育成)に傾注。若宮祭、奨学団体支援、チャリティーコンサート、教育支援、募金活動、三重県紀宝町との協定など社会貢献にも熱心だ。
 2019年2月期(連結)は、売上高9200億円(8.1%増)、営業利益200億円(11.0%増)。経常利益230億円(2.6%増)、純利益170億円(12.9%増)と従来通り。10円増配し200円配当(期末100円)の予定。設備投資41億円(前期28億3700万円)の計画。2016年、JISQ9100(航空・宇宙及び防衛分野の品質マネジメントシステム)認証取得が印象に残る。2月から上昇運。岡谷社長(74)も同運だけに踏ん張りどころ。昨年12月、同社と米国子会社、大同特殊鋼(5471)グループの合弁子会社がケンタッキー州の本社移転と設備投資を発表。株安にも前向きで期待をもてる。国内外、差し引きプラス。乗り切る公算が大きい。

>>購読ご案内