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企業レポート

最高益の折り返し 文溪堂 12月20日 (2018.12.19)

2019~20年見もの 
指導要領に東京五輪、創業120周年 
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 文溪堂(9471)は確り。連結最高益の折り返し。もう一皮むけそうだ。次期学習指導要領改訂によるもので、小学校2020年(移行期間18~19年)、中学校21年(同18~20年)全面実施の予定。直近4年連続1Q増益となり、シェア上昇が有力な手掛かり。。19~20年見ものだ。4~6月入学・進学シーズンにあたり、1・2学期品や上下刊品、年刊品など一括計上するため。後半費用がかさみ例年赤字。にもかかわらず、今期小学校向け出版物の改訂費用4期目でゼロ。中学校同20%にとどまり上振れ余地。20年度以降、大学入試改革に直結するといわれ浮かれていられない。ゆとり教育の反省や学力テスト10年を振り返るもので、今後答えが教科書の外にあり一つと限らないだけに、教師の後方支援も新たな手掛かり。数年前から算数好きな子どもを育てる授業実践講座。「てんまる」(得点集計・個人別診断ソフト)。特別活動・キャリア教育を盛った「楽しい学校生活」(教師用指導書)などバックアップ頻り。先生の毎日を応援する「ひと・ゆめ」(教育マガジン)にも精を出している。少子高齢社会と一緒にやってきたAI・ロボット・IoTの時代。従来の黒板や教科書を使った授業からデジタル化が伝えられる中で試行錯誤。知識をAI教材に任せ宿題や試験をなくす一方、知恵や応用を外部から取り込む試みも始まった。84年ぶり(天王星の公転周期)といわれる時代の過渡期。偏差値だけでは使い物にならない踊り場。日本の場合、初等教育こそ世界指折りでも大学教育が締まらない。中国では学部レベルでAIをこなし比較にならないという。寺小屋をルーツに1900年創業。2020年に120周年を迎える同社にとって気になる情報だ。何より、国内経済の構造的基盤といわれる出生数が2017年度94万人に落ち込み戦後最低。今後生産人口や税収減が見込まれる中で、昨年3月告示されたのが小・中学校学習指導要領。これまで具体的な研究が進んでいるほか、子どもたちが社会の担い手になれるよう学校・家庭・地域の役割分担と教育力の充実、教師の業務負担軽減など課題山積。各教科移行措置がとられる中で、「特別の教科道徳」や「特別活動」、小学校3・4年生の外国語活動と5・6年生の外国語科指導も異色だ。日本は初等教育のおかげで欧州列強の移民地支配を免れ先進国の一角。バブル崩壊30年(リーマンショック10年)を通じてナンバーワンとオンリーワンが残った。同社のように、直近4期連続増益で折り返し2020年新学習指導要領完全実施。同時に東京五輪、創業120周年とあって最大のクライマックス。あらゆる困難を乗り切って前に進むほかない。天も後押ししている。
 2019年3月期(連結)は、売上高118億2500万円(0.7%増)、営業利益7億6600万円(1.8%増)、経常利益7億8400万円(0.7%増)、純利益5億1400万円(1.4%増)と従来通り。慎重だけに上方修正を期待できる。配当30.70円(期末15.35円)の予定。単体の配当性向40%が基準になっている。会社が19~20年山場を迎える一方、水谷社長(61)の上昇運入りが支援材料。受け売りだが、新しい教育は子どもや教師にとって詰め込みより難しい。それでも、子どもを将来貧困から守るには能力観が必要という。19年が首尾よくいくと、20年にハレの日が予想される。

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