証券ビュー

森羅万象

視点と視座 変えねば見間違える (2018.12.05)

昭和の風林史(昭和五七年十一月九日掲載分) 
体力のない小豆は落ちる
世間一般が病気しているのである。
小豆だけが衰弱しているのではない。
輸大然り。
小豆相場は薄商いだ。
相場のほうも
強気が多い割りに芯がない。
相場背景としては
今期輸入枠の絞り込みとか、
発券時期の先送りなど臆測が飛び、
それをなによりの強気材料と
する人も多いが、
相場そのものは、
非常に〝だるい〟。
これはなぜだろうか。
消費地在庫は
数字の上では軽くなろうが、
中味は北海産がふえて、
輸入小豆を
使い馴れした実需筋にとっては、
腹に〝モタれる〟。
投機家が元気な時なら
商い高も弾むところであるが、
新しい血が入らないし、
どちらかといえば玄人といえど、
よれよれになっている。
過ぎし六本木相場で傷つき、
生糸戦線に残存兵力を移して
これが討たれ、
輸大市場に斬り込み隊を投入して
未だ帰還せず―の図。
先物市場がそうなら
ザラバ現物流通経路も
不況による実需不振と
信用供与不安があって
パイプが細くなっている。
要するにわれわれは
物を見る目、体力のない小豆は落ちる
変えなければ、
今の現実を見間違えるのだ。
筆者が、この小豆、
来月あたりになると
二万五千円、六千円があるだろう
というのもそれである。
産地農家手取り
一点張りによる相場価値判断は
古きよき時代の強弱だ。
まさか、よもやが突出するのが
今の世の中。
相場は相場に聞けという。
小豆先限にしろ三月限にしろ
線は泣いている。
役所の価格政策や
ホクレンの一元集荷などで
相場が左右されるものならば、
誰が小豆なんか思惑するものか。
人気は更に離れよう。
輸入大豆は、当限野中の一本杉。
結局はこれも順ザヤまで崩れる運命だ。
農水省は
生糸市場の建玉調査を始めたが
輸大市場の建玉も調べるそうだ。
嫌気される材料である。
●編集部註
 この時、街ではあちらこちらで
沢田研二の「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」が
流れている。
風林火山の業界へのユ・ウ・ウ・ツは
留まる事を知らない。
実際、杞憂は現実化した。
 平成最後の年に
何かと世間を騒がせた沢田研二だが、
彼はこの曲のヒットでソロシンガーとして
オリコンのシングル総売り上げが
山口百恵を抜いて歴代一位となる。
そこから9年間、
一位の座を明け渡す事はなかった。
 この時山口百恵は芸能界にいない。
80年に三浦友和と結婚、引退した。
 シンガーソングライタ ーになった長男は
夕方にラジオ番組をやっている。
彼の声を聴くたび、
嗚呼、時代はどんどん過ぎていくのだなと思う。