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企業レポート

後半持ち直す 中部鋼鈑 11月15日 (2018.11.14)

100年企業目指す 
国内シェアに飽き足りない強み
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 中部鋼鈑(5461)は踊り場。計画を下回る折り返し。後半持ち直す見込み。鋼材市況堅調で販売単価が上昇し、主原料払出単価や製造コスト、運賃上昇など一服。採算の改善が見込まれる。スクラップを溶かす黒鉛電極が3倍強に高騰。電気料金引き上げもあり減益になるが、増収効果と製造コスト低減により乗り切る見通し。建機・産機向けのほか建築・土木など確り。スクラップも上昇しているが、スプレッド(製品出荷と原料購入価格の差)確保も見逃せない。18中期計画に与するもので、連結経常利益40億円、厚板販売量60万トン、コストダウン4%以上。サブコア事業の経常利益5億円、株主配当性向25%以上(2021年3月期)が目安。今、来期肝腎なところだ。米国の通商政策と中国の過剰設備が尾を引くためで、3月の鉄鋼・アルミ関税引き上げ影響なし。現に、米国ニューコアや韓国のポスコも好調。自動車、産機など国内景気が上向き設備投資も回復している。春先インドと東南アジアがリード。中長期底堅いとみられる。世界の鉄鋼市場16億トンといわれ関税引き上げの影響も小さい。同社の場合、被削性改良鋼板やレーザー切断用鋼板、耐塩酸・硫酸性合金鋼板、高張力鋼板などオリジナル製品の開発に見どころ。厚板の国内シェア5.7%に飽き足りない強みがある。連結自己資本比率86%(前期末)、同流動比率494%(同)が物語るもので、前回述べたように2010年(創業60年)から第2の創業機運。国内唯一厚板専業大手として最大級200トン電炉や世界的にユニークな製鋼・圧延直結による連続鋳造設備が決め手。100年企業を目指す上で「複線化」が不可欠になった。将来を見据えた規模や価格、収益見通しなど50、100年先のシミュレーションが始まった。中長期二段構えでダントツの収益改善を目指す。足許で厚板販売量58万トンといわれ目標60万トンが射程圏。連結子会社のレンタル、物流、エンジニアリング事業も連動。レンタル、物流事業で黒字が定着し、エンジニアリングも収益改善。ベトナムで取引先拡大が見込まれる。
 2019年3月期(連結)は、売上高531億円(17.1%増)、営業利益24億円(20.5%減)、経常利益同(21.2%減)、純利益15億円(36.3%減)と従来通り。配当14円(期末7円)の予定。設備投資25億円(前期12億2200万円)の計画。引き続き受電変電所力率改善設備や愛知県半田市に7棟目の危険物倉庫など前向き。前期の株主総会で励ましが目立ったという。2019年後半から上昇運。重松社長(62)は調整運で仕込みにふさわしい。第2の創業を巡るもので電炉の時代を告げている。

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