証券ビュー

森羅万象

日柄の分岐点 実勢がついてこない (2018.10.17)

昭和の風林史(昭和五七年九月二十一日掲載分) 
玄人筋は強気の小豆だが
薄商いだ。玉の出具合いで高下する。
上昇力のない小豆は、
下げ落ちるだけである。
生糸市場のほうは買い大玉と
売り大手の抜け解け合いということで
一般市場利用者は、
密室での取り引きに嫌気している。
一体どうなっているのか、
さっぱり判らん。
こんな、まやかしのインチキ市場は
玉がほどけてしまうと誰も
相手にせんだろう。
要するに
生糸取引所滅亡の前の狂宴である。
小豆は百九万俵(九月一日現在)
収穫予想の数字を基準にして
強弱判断のところ。
どちらかというと
玄人筋が強気である。
帯広のサヤつきが悪い。
立ち枯れが出ている―等々。
しかし、相場の地合いからいうと、
トレンドを上向きにしたがっているが
実に頼りない。
商いの薄いところを
煽るつもりで手をふれば、
ある程度値は吊れても、
実勢がついてこない。
相場は相場に聞け。これしかない。
極力相場は相場に聞くようにしたい。
もう霜による怖さもない。
絶対安心とまではいかないが、
収穫期は年々早くなっている。
東西取り組み合計は漸増して
四万枚を越えた。
解け合い当時二万三千枚だった。
限月が建つごとに微増してきたが、
今月新甫から四千枚ふえている。
大衆売りの自己玉買い。
大衆売りの玄人買い。
特に西市場は
小豆に対する根強い投機層が多い。
そして、
これが相場上手ときているから
店が食われる。
ともあれ週間棒も
今週が日柄の分岐点である。
はきはきした動きになろう。
●編集部註
 自己玉の必要性については
理解出来るのだが、
何も知らない素人は
「向い玉と何が違うのか」となるだろう。
 そもそも向い玉など
素人は知らないだろう、
というツッコミを入れる人は
漫画を読んだ事がないのだろう。
全19巻、1600万部売れた
「ナニワ金融道」の中で
商品先物取引が悪徳商法のように
紹介された影響力は計り知れない。
この作品では、商品取引員が
故意に顧客と真逆の取引を行っている事が、
さも当たり前のように描かれている。
 一度ついたイメージを
払しょくするのはなかなか容易ではない。
〝まやかし〟の〝インチキ〟
という印象がついた市場にお客さんが
戻ってくるのはなかなかに難しい。
 思えば、昨今は
深い思慮も読解力も洞察力もない人が
「叩いても良し」と勝手に判断し、
脊髄反射的にネットの世界で
容易叩く事の出来る時代である。
今なら大炎上案件であったといえよう。
 その時代にSNSが隆盛していたら
確実に大炎上していた事件は何か―と、
時々考える事がある。