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森羅万象

提灯 カチカチ山の泥舟ご用心 (2018.09.20)

昭和の風林史(昭和五七年八月二八日掲載分) 
輸大結局踏んだめんたる
小豆は「金屋」の踏みと13号台風買いだが、
あとが悪くなる。
輸大は踏んだめんたる。「金屋筋」が砂糖を受けると
前宣伝が利き過ぎたが、
役所も取引所も神経を逆立てているから、
受けようにも受けられなかったのか、
もともと受ける気がなかったのか。
「金屋」は、
あこぎな現物まがいのほうの商売が、
金相場の大暴騰で、
本職のほうの背中に火がつき
カチカチ山の泥舟だ。
本来、
人を泣かせて怨を買うような商売は
長続きしない。
遠からず定期市場からも
姿を消す運命にある。
小豆は三万円大台の抵抗だった。
手亡相場のほうが、
お先に失礼とばかり暴落納会した。
手亡は小豆の先行きを暗示している。
各地の読者からの電話は、
かなり風林に提灯がついていることを
知らしめる。
提灯がつきすぎると、
用心しなければならない。
しかし小豆は売りのままでよいと思う。
来月になれば
二月限という重しが先にぶらさがる。
トレンドは、一時的に強く見せても
結局は安いですよ―といっている。
輸入大豆の各地納会は暴騰だった。
渡しものが薄い。
輸大納会を見て、つくづくと
〝相場は誰にも判らない〟ことを
思い知る。
朝まだ明けぬ夜中の一時、二時、
シカゴを聞いたり、
穀取相場に張りついて、
大豆本職プロ中のプロも、
五百丁棒戻しするなど考えもしなかった。
『ファンダメンタルズに
暴騰は、なかったのだが』と
負けおしみを言っても
現実に、この納会を見ては、
あなたはほんに〝フンダめんたる〟。
期近が締って逆ザヤならば
先のほうも上がるしかない。
そのうち
産地に早霜被害拡大
などというテレックスでも入れば、
底した相場は
天井するまで高いだろう。
いい球くるのを待ってホームラン。
●編集部註
 相場における〝仕手〟は、
能における〝シテ〟から来ている。
今のような電子決済、
ネット注文中心ではない、
人海戦術による取引の中で、
金の力にものを言わせて買っていく様は、
能舞台に
颯爽と現れるシテ方のような存在で
あったのだろう。
 仕手はグループごとに
「〇〇筋」で呼ばれていた。
では「金屋筋」は誰か?
 〝あこぎな現物まがい〟
〝金相場〟でピンと来た人も
居るのではないか。
永野一男の事を指している。
 後に暴漢に刺殺された
豊田商事創設者だ。
彼は81年4月に会社を設立。
82年に豊田商事と名を変えたので、
1年弱で悪名が轟いていた事が判る。
 何故、
金上昇で背中に火がついたかは、
恐らく判る人には判るであろう。