1ランク上目指す 名工建設 8月29日 (2018.08.28)
リニア開業足場固める
フローでも次世代に一歩踏み込む
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名工建設(1869)は一服。前期連結最高益を更新し高水準。リニア開業の足場を固めた。2000年に稼働したJRセントラルタワーズを口火に、17年オープンしたゲートタワーまで助走期間。昨年から往来に弾みがついたという。8月下旬、筆頭株主のJR東海(9022)が南アルプストンネルのリニア準備工事に着手し、27年品川~名古屋開業に向けてカウントダウン。開業後、ガイドウェイ中心に保守・メンテナンスが新たなビジネスチャンス。16年からJPタワー名古屋の一角で稼働した旧本社再開発の物件が直前期から収益に貢献。ストックビジネスにも活路を見出した。事実、第15次中期計画2年目(2014年3月期)から尻上がり。新幹線大規模改修工事や北陸新幹線プロジェクトなど支援材料。JR東海関連の特命工事が売上高の6割といわれる。何しろ、直近5期で総資産833億円(43.1%増)、純資産444億円(80.4%増)に様変わり。売上高も約2割増加。5月10日発表された第17次中期計画(3年)も、安全優先の企業風土定着をはじめ4項目の骨子を踏襲し、重大な労働災害・鉄道運転事故ゼロを掲げた。受注高850億円(第16次800億円)、売上高同(同800億円)、経常利益率4.5%(同3.0%)が目標。1ランク上の水準。直近5年で足場ができただけに地についた印象。JR東海が金子社長(62)に若返り、今期の連結業績予想を慎重に構えたのに見合うものだ。18、19次中期計画まで通算9年積み上げるとリニア開業に間に合うとみられ、17次の今期が肝腎。安直な働き方改革によらず、連結レベル(前期末1269人)でスキルアップに取り組む方針。昨年民営化30年を迎えたJR東海が手掛かり。1日350本の東海道新幹線を運行しながらリニア準備工事が本格化。2020年に現在の700系が引退し、すべて時速285キロで走るといいダイヤを組めるという。昨年12月JR西日本「のぞみ34号」で起きた台車異常に温度センサーを設置。超音波探傷による点検も打ち出した。同社も事故・災害防止が最重要課題になっている。
2019年3月期(連結)は、売上高885億円(0.1%増)、営業利益38億円(33.3%減)、経常利益40億円(32.3%減)、純利益27億5000万円(35.7%減)の見通し。配当18円(中間9円)を据え置く予定。設備投資5億9500万円(前期7億2300万円)の計画。繰越工事761億円(5.1%減)に対し受注高860億円(3.2%増)を見込み横ばい。ならすと、右肩上がりで量より質の改善に傾注している。災害に備えBCP(事業継続計画)やBCM(同マネジメント)に熱心で、3月に日本政策投資銀の格付最高位の評価を取得した。社内でドローン操縦士を育成中。1941年創業以来の活況。100年に1度と考えられ、フローのほかストックでも次世代に一歩踏み込んだ。