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森羅万象

暗闇での殴り合い 何処から来るか判らぬ (2018.07.27)

昭和の風林史(昭和五七年七月十日掲載分) 
ぬるさもぬるし先二本
待つは仁。
相場自然の流れに戻るのを
ひたすら待つだけ。
下がる時がくれば下がる。
小豆期近限月は取引所の指導もあって
解け商いが進行している。
国会でも問題にされた七日の
O社大量買いは
時局を配慮しなかったという事で、
O社東京の責任者N氏は
六カ月10%の減俸ということで恭順を示した。
折からO社O社長は入院開腹手術。
経過は良好。
市場では買い主力は今月も
納会受けて立つだろうと臆測されている。
市場管理要綱に
「同一の商品取引員が
二回以上連続して受渡全数量の
三分の一又は50枚以上受渡をした場合
及び逆鞘納会で受けた場合であって
本所が必要と認めたときは
委託者の住所、氏名等の報告を
求めるものとする」―とある。
しかし、だからどうなのか?
市場関係者の俵読みでは
今月も
三市場千枚の渡し物はあるはずだ―。
来月もまた
千枚ぐらいは渡し物が出るだろう―と。
商社筋は
六月末外貨残を千二百万㌦と読んで、
七月→九月一万二千㌧の入荷。
北海道からの転送分を考えると
九月末は三十万俵の在庫。
新穀百万俵出回りなら、
需給面に不安なし。
目下のところ
〝さわらぬ豆にたたりなし〟
という商社筋の感覚だが、
どこかで勝負の決着をつけるところが
必らずあると満を持しているようだ。
天候のほうは
中間地帯の旱魃が心配されている。
買い方にとっては
期待のよりどころでもある。
それにしても先二本は下がりたがっている。
相場は正直なものだ。
下がる潮時がくれば、
どなた様が買っても下がる。
売り屋は共産党に期待したり
役所や取引所に期待しすぎた事を
ようやく判りかけてきた。
そのようなものを
期待して売っても駄目だ。
要するに日柄による相場、
自然の流れを待つこと。
死んだはずのファンダメンタルズが
モノを言うだろう。
●編集部註
 先週も述べたが、
眼に見えているものが全てではない。
 恐らく、暗闇での殴り合いが続いている。
殴打する音だけが聴こえるも、
お互い何処からパンチが飛んで来るか判らない。
 そうして、この時の小豆相場では
買い方も売り方も共に傷つく事になる。 
先週、風林火山が書いたように、
確かにBGMは
ニノ・ロータが作曲した映画
『太陽がいっぱい』のテーマ曲、
泣きのトランペットが良く似合う。 
繰り返すが
眼に見えているものが全てではない。
 この『太陽がいっぱい』という映画も
ある大きな暗喩が込められた作品として
非常に有名な作品だ。
 その暗喩を、
日本で一番最初に解き明かしたのは、
淀川長治である。