昭和の風林史(昭和五七年月二十一日掲載分)
上値残すが売り場所狙い
強気のようで強気でない。
弱気のようで弱気でない。
上値残すがしんどくなった。
小豆の上値は、
まだあるはずだがしんどい。
三千三百円は半値回復。
三千八百円で五分の三。六割地点である。
もうひと鞭いれて
四千円といきたいところだが、
今やると馬が潰れる。
三千円台の庭の中で
陣幕張って休養したいが、
これとてタイムリミットがある。
相場は、やみくもに買えばよい
というものでないから、
そこのところが難かしい。
大阪の自己玉は買い急増した。
あまりよいお手々でない。
東京は売り多いまま。
ここは、強気のようで強気でない。
弱気のようで弱気でない。
そういった表情しかとる道はない。
少し遠い先の事を考えると、
増反→順気→豊作予想。
買い方現物抱かされる。
買い玉ふえざるを得ん。
とどのつまり日柄を食って、
ぶっ倒れる。
それはもっと先の事。
来月新ポに新穀11限を
幾らのサヤに買いきるか。
三万五千円とか六千円の11限なら
売り有利になろう。
今は、
相場が若いという買い方にとっては、
なによりの強味がある。
それと安値を売り込んだ玉を
掴まえている。
踏むか踏まぬか、踏まぬか踏むか
―請求書を突き出すところが
三万四千二百円地点。
この時、踏まない人は、
あくまで踏まない事である。
さすれば買い屋が
日柄で自滅するときがくる。
買い屋はどうしたらよいのか。
今年の天気が悪いと願うしかないが、
相場記者のカンでいえば
本年豊作型とみる。
三万五千円だ七千円だ
という相場ではない。
四千円台御の字ならば、
利乗り玉ほどほど利食い。
飛びつき買い厳禁。
あとは寝て待て売り場出現。
相場潰すに現物いらぬ。
日柄食わせば自然死ぬ。
●編集部註
長い目で見ると、
この年の5月の上げは
大きな下げトレンドの中に
パッと咲いた仇花であった。
切り上がりの相場基調は、
6月の高値から一転して
弱保合いに変化する。
それに気づくか否か。
小豆相場とは関係ないが、
同じ頃のシカゴ大豆相場も、
大きな下げトレンドの中に
パッと咲いた、
買いの仇花であった。
1980年10月高値を天井とする大きな下げ相場は、1982年10月に大団円を迎える。
この2年での下落率は何と47・57%。ただその間、何週間かの反騰場面はある。この時のシカゴ大豆は、反騰で「もう」底であろうという夢を買い方が見た時期と重なる。「まだ」であったと気付く頃に、底がやって来る皮肉。