昭和の風林史(昭和五七年四月五日掲載分)
踏むなかれ大暴落が来る
凶作の翌年は
三月旗四月乗せ五月崩れとしたものだが、
五月待たず四月崩れも多い。
今年の小豆は去年と違うと思う。
振り返ってみると五年間も上げた勘定だ。
高値になれてしまった。
市場は強気の声ばかりだが、
弱気だっている。
ただ時節柄、ものをいわないだけだ。
次期枠二千五百万㌦なら暴騰だ―という。
筆者は暴騰せんと見る。
一瞬買ったらおしまいだ。
買い玉がこの場合上値を抑えるからだ。
中国、台湾にモノがないというが、
なければ中国安徽小豆が一万㌧ある。
このうちの五千㌧を買ってくればよい。
また小豆の枠が足りなければ
白系の枠で竹小豆を入れる。
竹小豆はスソものの増量用に手当てする。
強気は格付けの手直しがあれば
輸入小豆の黒板の値は四万円だという。
これは昔にもあったことで
明治31年(戊戊11月甲)前年米不足で
輸入米の値段暴騰。
三月29日三期限月総解け合い。
格付けを改正し
外国米との格差七円に改め四月四日発会。
この時相場は
10円80銭から16円20銭に暴騰したが、
瞬間天井。あと続落。
12月には9円まで売られた。
今の小豆は10年前の47円(豊作)型でないか。
夏の天気は悪くないと見る。
作付けは三万一千㌶を上回る予想。
最低90万俵収穫と予測。
台湾、中国は増産に入るだろう。
目先、買い方の努力相場で陽動しても
六千円は抜けない。
政策があるからだ。
相場師による買い占め、買い煽りは
実需者を刺激するだけで
自由化の声が高まる以外にない。
このようにみてくると、
強気は、月にうそぶく虎である。
売り方は忍の一字で
時間待ちが最後の勝者。
今月は上に行けないし、
来月は崩れる。
九紫火星戌の年の特色は
六月崩しでもある。
強気も信念だが
烏合の衆のにぎやかさは虚である。
売り方は音なしの構えで熟すのを待て。
すでに五年の上げ相場、
この終焉待つべきものあり。
●編集部註
昔からのアノマリーに
戦争が起こると商品価格が上がる―というものが。
実際、第一次世界大戦で
鈴木商店は大儲けした。
この辺りは
城山三郎の小説「鼠」や
漫画「栄光なき天才たち」に詳しい。
この時イギリスとアルゼンチンとの間で
フォークランド紛争が勃発。
アノマリーでは買いである
ただ、現代の戦争は昔と違い
情報の伝達スピードが速い。
この紛争や湾岸戦争が勃発した時の
日米の金相場を見てみるとその違いが良くわかる。