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企業レポート

夜明け前 藤久 3月6日 (2018.03.05)

あく抜けし来期浮上 
根本から変えるプロジェクト発足 
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 藤久(9966)はあく抜け。3、4Q収支均衡。来期浮上。夜明け前とみられる。2月8日の下方修正によるもので、役員報酬を減額(3ヵ月)し無配を表明。今期締めた上、中期計画を見直す運びだ。全業態既存店売上高によると、2Q累計月次すべて前年割れ。5.1%減収、営業損失5億4800万円の折り返し。前期から各種改善策が本格化したものの、一般客がネット通販や100均など競合他社に流れ、既存店トータル94.9%(前期98.5%)にとどまった。1月93.6%に過ぎない。商品区分にしても、毛糸のリバウンドを除き和洋裁服飾品、手芸用品、生地など軒並み減収。このため、30(2Q末485)を目安に不採算店撤退を検討中。前回、大手のユザワヤやイオンの商業施設「パンドラハウス」も大苦戦と述べた。同社がトップで市場規模4000億円(映画2200億円、音楽ソフト2500億円)といわれる。2017年の消費支出を2人以上の世帯で見ると、実質-0.3%。14年-2.9%、15年-2.3%、16年-1.7%に続き4年連続水面下。東日本大震災の11年が-2.2%だけにきつい。しかし、既存店の底上げに努め新規顧客を開拓するほか、4月稼働を目指し実店舗とネット通販の境界を取り除き流通ルートを拡大するオムニチャネルの構築に意欲。新たなアプリ開発に取り組んでいる。来年から上昇運で後藤社長(60)も同運だけに期待をもてる。2022年(創業70年)まで次世代の仕込みに相当し、32年(同80年)から42年(同90年)にかけてリターンが見込まれる。これまで立ち上げたクライ・ムキ式ソーイングスクール(2Q末238)や岡本啓子ニットスタジオ(同42)、高橋恵美子のやさしい手ぬい教室(同9)など6つのカリキュラム導入実績が有力な手掛かり。生地や関連素材、部材など店舗内で難なく揃うためだ。めいめいスクールが10、20年たつと一本立ち。30、40年先のマーケットを担うもので「人口オーナス」に強い。教えることが学ぶことにつながるわけだ。新業態を導入したクラフト工房(2Q末12)、ビーズスタジオ・同セレクト(同26)も注目される。現場が最も力を発揮できる考え方、仕組みをつくり上げることが先決という。短期的な戦術でなく、ビジネス価値、組織再編、人材育成など会社を根本から変える「デザインの木プロジェクト」 が発足した。
 2018年6月期(非連結)は、売上高210億4700万円(1.6%減)、営業損失5億3800万円、経常損失5億3000万円、純損失10億3400万円に見直した。設備投資4億2300万円(前期4億2200万円)の計画。前回述べたように、今、来期反転が見込まれる。3月2日の時価総額69億円(2Q末純資産107億円)。巻き返し復配が射程圏に入ると大幅な水準訂正。業界トップだけに、これから1年が決め手と考えられる。夜明け前そのもの。来年朝日が差し込むと本物だ。

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